放射線腫瘍学会 (JASTRO), 温熱療法研究グループ参加施設より集められた子宮癌の温熱療法症例を分析し温熱療法の意義を検討した.111例のうち, 扁平上皮癌III期40例, IVa期18例および術後または照射後再発40例, 計98例について検討した.放射線治療は基本的な方法にて行われ, 温熱療法はThermotronRF-8, Thermox1000, BSD1000, ERS100A, HMS-020を用いて週1~2回, 計5~10回行われた.IIIb期ではCR58%, PR35%で奏功率は93%, IVa期ではCR39%, PR55%で奏功率は94%であった.累積5年生存率はIIIb期で65.2%, IVa期で37.3%であった.再発例では外部加温28例で50% (14/28), 腔内加温12例で100% (12/12) の奏功率であった.腔内加温は腫瘍が小さい症例に行われ, 44~45℃と高い腫瘍温度が得られた事が良好な結果をもたらしたと考えられた.子宮頸癌IIIb期, IVa期, 再発例の放射線治療に温熱療法を併用する事は, 局所制御率の改善により生存率の向上に寄与すると考えられた.
JASTRO温熱療法研究グループによる子宮頸癌の温熱併用放射線治療症例を分析した.IIIb期40例では, CR58%, PR35%, 奏功率93%であり, 5年累積生存率は65.2%, CR例では80.5%であった.IVa期18例ではCR39%, PR55%, 奏功率94%であり, 5年累積生存率は37.3%, CR例では40%であった.再発40例では奏功率は外部加温で50%, 腔内加温で100%であり, 扁平上皮癌と腺癌との間に差は認められなかった.比較研究ではないため明確な結論は出せないが, 子宮頸癌IIIb期, IVa期, 再発例に対しての放射線と温熱の併用は, 局所の制御率を増強させ, 生存率も延長させる可能性が示唆された.
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