日本ハイパーサーミア学会誌
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17 巻, 2 号
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  • 塩山 善之, 寺嶋 廣美, 田仲 和宏, 松田 秀一, 中村 和正, 國武 直信, 木村 正彦, 上原 智, 岩本 幸英, 増田 康治
    2001 年 17 巻 2 号 p. 69-76
    発行日: 2001/06/01
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    1996年5月から1999年1月に8例の下肢脂肪肉腫に対し, 患肢温存を目的とした術前放射線温熱療法を行った.腫瘍は8例中7例が直径10cm以上で, 組織型は全例, 粘液型脂肪肉腫である.放射線療法は4MV X線にて30Gy/2週間を行い, 温熱療法はBSD-1000を用いて放射線照射終了後15分以内に開始し, 腫瘍内温度42℃以上30~40分で週2回加温を原則とした.広範腫瘍切除術が術前放射線温熱療法が終了した2週間後に行われた.全例で患肢温存可能で, 局所再発はなく, 重篤な副作用は認めなかった.観察期間は12~49ヶ月 (平均34ヶ月) で, 2例は遠隔転移のため死亡した.
  • 温熱・化学・照射療法の寄与
    野添 忠宏, 伊藤 修平, 二木 元典, 木村 和恵, 石田 真弓, 佐伯 浩司, 大賀 丈史, 北村 薫, 杉町 圭蔵
    2001 年 17 巻 2 号 p. 77-84
    発行日: 2001/06/01
    公開日: 2010/01/29
    ジャーナル フリー
    他臓器浸潤を伴う高度進行食道癌例が長期生存を得るための要因を検討した.1965年より2000年までに, 当科において切除・再建術を施行した他臓器浸潤食道癌132症例を対象とした.術後5年以上の生存症例11例 (A群) と術後5年未満の癌死症例121例 (D群) で, 臨床病理学的因子を比較, 検討した.術前治療を施行した症例のうち著効症例の頻度はA群 (30.0%, 3/10) がD群 (6.9%, 7/101) より有意に高かった (p=0.0341).また著効を得たA群の3例は, 全て術前HCRによるものであった.結論として, 他臓器浸潤を伴う高度進行食道癌の長期生存に温熱・化学・照射療法 (HCR) が寄与していると思われた.
  • 光森 通英, 柴田 徹, 永田 靖, 平岡 真寛, 長谷川 正勝, 長江 英夫, 鬼頭 恭二
    2001 年 17 巻 2 号 p. 85-91
    発行日: 2001/06/01
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    デキストラン-マグネタイト複合体 (DM) は交流磁場中で発熱することが知られており, これを応用した細胞内あるいは血管内温熱療法が提案されている.本研究では生体内におけるDMの発熱能の時間的変化についてマウスを使った実験を行った.500mg-Fe/kgのDMをC3H/Heマウスに静脈内投与し, 直後および1, 2, 4, 7, 14, 21, 28, 56日後に屠殺し, 肝・脾を摘出した.摘出後直ちにこれらを100kHz, 24000A/mの交流磁場に5分間曝露し, 温度上昇を測定した.また, 各標本の鉄濃度も測定した.肝・脾ともに投与直後に最も高い発熱能を示した.発熱能は時間の経過とともに急激な低下を示し, 28日後には発熱は見られなかった.一方組織中の鉄濃度は不変であり, 発熱能の低下がDMの組織からの排出によるものではなく, 代謝によるDMの構造の変化によるものであることが示唆された.以上より, DMを使った温熱療法においてはDM投与から磁場印加までの経過時間も重要な因子と考えられた.
  • 長澤 弘, 稲田 啓子, 渡辺 克人, 稲富 秀夫
    2001 年 17 巻 2 号 p. 93-99
    発行日: 2001/06/01
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    我々は先の実験でヤマユリ, レンゲ, ニガウリ, ショウガがマウス乳癌の予防に効果的であることを明らかにした.本研究では外科的に乳癌を摘出したマウスの再発期間に対するこれら生薬類の有効性, および再発癌に対する全身温熱療法 (WBH) とグルコースの併用 (GW) についてのこれらの生薬の関与を検討した.2ヶ月齢からのニガウリ (0.5%) の飲水による摂取は乳癌の再発期間を延長した.また, ニガウリはGWの乳癌増殖抑制効果をある程度促進させた.一方, ヤマユリ, レンゲ, ショウガは乳癌の再発期間に影響しなかったのみならず, GWの効果を無効にした.これらの結果はWBHを効果的に行うためには, 患者のそれまでの抗癌療法に関する十分な情報の必要なことを強く示唆するものである.
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