肝癌に対し肝動脈内に留置したカテーテルからピラルビシンを注入し, 静脈内濃度を測定し, 温熱併用時と非併用時とで, そのAUCを比較した. 原発性肝癌1例, 転移性肝癌4例にピラルビシン (15mg/m
2) を固有肝動脈に留置したカテーテルから20分で注入し, 注入直後, 30分, 1, 3, 6時間後の血中薬剤濃度を測定した. 3週間後サーモトロンRF8による温熱療法同時併用下に同様に薬剤を注入し, 濃度を測定した. 温熱非併用, 併用時のピラルビシン動注後のAUC (HR×μg/ml) の平均値は各々0.068及び0.062で, 温熱併用, 非併用時のAUCにpaired
t-testにおいて有意差は認めなかった (p=0.563). 白血球数血小板数, 総ビリルビン, AST (GOT) 値の変化にも温熱併用, 非併用時で有意差は認めなかった. ピラルビシンを肝動脈から注入した時の毒性は温熱を併用しても増強しないことが示唆された.
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