日本ハイパーサーミア学会誌
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21 巻, 2 号
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  • 崔 正国, 和田 重人, 近藤 隆, 藤原 美定, 趙 慶利, 小川 良平, 長木 康典, 庄司 美樹, 田渕 圭章, 結城 浩良, フェリ ...
    2005 年 21 巻 2 号 p. 71-80
    発行日: 2005/06/01
    公開日: 2010/04/23
    ジャーナル フリー
    がん治療としてのハイパーサーミアは生物学的な合理性に優れ, 放射線あるいは抗癌剤との併用によりある種の癌では良好な臨床治療効果が得られている.しかし, ハイパーサーミア単独治療では, 十分な癌治療効果が期待できない症例が多い.ハイパーサーミアによる細胞死の一つにアポトーシスがあるが, その程度はがん細胞の種類により異なり, その分子機構は必ずしも明らかになっていない.ハイパーサーミアによるアポトーシスの分子機構の解明およびがん細胞のアポトーシスを選択的に増強する治療法の開発が重要となる.ハイパーサーミアは, 細胞内で活性酸素を生成し, その結果, 細胞と組織に酸化ストレスを与える.そこで, ハイパーサーミアが誘導する細胞内酸化ストレスの修飾によるアポトーシスの増強を目指して, 一連の研究を行った.
    この総説では, 温度依存性のフリーラジカル発生剤, 細胞内過酸化水素誘導剤および細胞内酸化ストレスにより一酸化窒素を発生する薬剤を用いたハイパーサーミアによるアポトーシスの増強効果を示し, その分子機構について考察した.
  • 大高 道郎, 渡辺 純夫
    2005 年 21 巻 2 号 p. 81-93
    発行日: 2005/06/01
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    これまでに我々はHeat Shock Protein (以下HSP) の有する分子シャペロン機能を介した細胞保護作用に着目し, 研究を進めてきた. in vivoの実験系で, 胃, 大腸, 肝臓ではHSP72 (72-kDa heat shock protein, stress-inducible HSP70) が, 膵臓ではHSP60 (60-kDa heat shock protein, chaperoonin homolog) が臓器保護的に機能していることを明らかにするとともに, これらのHSPを効率よく臓器で誘導する薬剤, 物質に関して検討し, 「シャペロン誘導療法」や, 最近では遺伝子治療も視野に入れ, HSPの細胞保護作用, 損傷修復能に関しても検討している.本稿ではこれまでの我々の知見を中心に述べたい.
  • 中村 彌, 伊藤 要子
    2005 年 21 巻 2 号 p. 95-102
    発行日: 2005/06/01
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    マストサイトーマ細胞をマウスの腹腔内に投与するとマウスの全身加温に対する熱感受性を上昇する.本研究ではその腹水の構成成分についてこの熱感受性上昇効果に関する比較を行った.もっともつよい効果を示したのは腹水から分離したグロブリン分画であった.この効果が観察されるのは同種であるLAF1マウスの腹腔内に投与した場合だけでなく, FMA3細胞の移植の不可能なC57L /MsNrやA/JSlc系マウスでも同様に観察された.腹水から分離したこのグロブリン分画をマウスの腹腔内に投与すると循環血液中のグロブリン分画にも同じ活性を有する物質が誘導された.活性を持ったこの血清グロブリンを別のマウスの腹腔内に投与すると, またあらたに循環血液中に同じ活性をもったグロブリンが自己増幅的に産生された.1,000倍希釈によって活性のいちじるしく低下した分画をマウスの腹腔内に投与し, その血清からグロブリン分画を分離, これをさらに他のマウスの腹腔内に投与するという操作を繰り返すことによって熱増感効果は高まった.
  • 鈴木 友昭, 門前 一, 門田 隼, 名本 裕一, 天野 守一, 小野 博史, 大野 由紀子, 前田 佳予子, 福山 篤司, 安藤 聡志, ...
    2005 年 21 巻 2 号 p. 103-112
    発行日: 2005/06/01
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    三酸化二砒素 (以下ATO) は急性前骨髄球性白血病 (APL) や他の白血病に対して効果的な抗癌剤であることが知られており, 世界の注目を浴びている.しかし, ATOの固形腫瘍に対する有用性は研究が始まって間もなく, 今後の研究が期待されている.今回, 我々はATO投与とHyperthermia を併用する順番を変えたとき, 腫瘍成長抑制効果に違いがあるかを検討した.腫瘍体積変化の結果から, 併用処理による相乗効果が見られたが, 両併用群間には腫瘍成長抑制効果に有意な差は見られなかった.また, 腫瘍病理標本上の結果からも大きな違いは見られなかった.
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