日本ハイパーサーミア学会誌
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21 巻, 3 号
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  • 三上 恒治, 村上 卓道, 岡田 篤哉, 丸川 太朗, 中村 仁信
    2005 年 21 巻 3 号 p. 129-137
    発行日: 2005/09/01
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    集束超音波療法 (Focused Ultrasound Surgery;FUS) は, 焦点域の組織のみを壊死させる低侵襲性熱凝固治療である.50年前より超音波ガイドによるFUS治療の臨床応用が報告されてきたが, 不正確な位置情報, 温度測定法の欠如, 治療効果の評価法の欠如により十分な治療成績が得られていなかった.しかしながら, MRIガイドによる正確な位置情報の取得と治療中の温度計測により安全で正確な治療が可能になった.また造影MRIにより治療直後に治療効果を評価することが可能となった.本稿ではMRIガイド下FUS治療の原理, 治療方法と最近の臨床応用について述べる.
  • 井藤 彰, 中原 陽子, 藤岡 正剛, 小林 猛, 武田 湖州恵, 中島 泉, 本多 裕之
    2005 年 21 巻 3 号 p. 139-149
    発行日: 2005/09/01
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    正電荷リポソーム包埋型マグネタイト (MCL) は交番磁場中で発熱することから, 細胞内加温法のための発熱素子として利用されている. 今までに, 様々なガンの移植モデルで高い治療効果が得られているが, 全て可移植性腫瘍における検討であり, 実際のガン患者の状態に近い遺伝性腫瘍を用いた検討は行っていない. 本研究では, metallothionein-I/retを導入したトランスジェニックマウスの遺伝性メラノーマに対するMCLを用いた温熱療法の抗腫瘍効果を調べた. MCLを5-7mm径の腫瘍に投与して, 交番磁場を30分間照射した. 腫瘍温度は5分で45℃に上昇し, そこからは磁場強度を調節することで45℃に一定に保った. 温熱療法は24時間間隔で3回繰り返して行い (repeated hyperthermia, RH), RHは腫瘍が完全に退縮するまでに行った. 腫瘍の完全退縮は1回から3回のRHを行うことで達成された. さらに, RHで完全退縮した腫瘍は, 治療120日後まで再増殖せず, また, 有意な生存の延長がみられた. これらの結果は, MCLを用いた温熱療法はメラノーマに対する強力な治療法になることを示唆している.
  • 大栗 隆行, 今田 肇, 野元 諭, 加藤 文雄, 矢原 勝哉, 森岡 丈明, 中野 敬太, 興梠 征典
    2005 年 21 巻 3 号 p. 151-158
    発行日: 2005/09/01
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    近年, 浸潤性膀胱癌に対して経尿道的腫瘍切除, 放射線治療と化学療法の併用による膀胱温存を目的とした治療が施行され, 膀胱全摘除術に匹敵する成績が報告されている.我々は, 3例の腫瘍径の大きな浸潤性膀胱癌に対し, 局所効果の増感を目的に, 化学放射線治療に温熱療法を加えた膀胱温存療法を施行した. 病期はT2N1M0 (2例), T2N0M0 (1例), 平均腫瘍径は5~7cmであった. 放射線治療は通常分割で66-70Gy, 温熱療法を3-12回, またM-VACを主体とした化学療法を施行した. 治療後, 全3例とも腫瘍は完全消失し, 局所再発や遠隔転移を生じなかった. 治療期間中に膀胱炎や下痢を生じたが, 治療終了後改善し, 重篤な晩期障害も認められなかった. 腫瘍径の大きな浸潤性膀胱癌に対する化学放射線治療に温熱療法を加えた膀胱温存療法は有用で治療成績の改善が期待できる.
  • 石川 仁, 中山 優子, 桜井 英幸, 北本 佳住, 野中 哲生, 清原 浩樹, 塩谷 真里子, 若月 優, 河村 英将, 長谷川 正俊, ...
    2005 年 21 巻 3 号 p. 159-169
    発行日: 2005/09/01
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    切除不能の局所進行胸部悪性腫瘍に対する放射線治療成績は不良であり, こうした症例に対してはより強力な治療が必要と考えられる.我々は治療成績の改善を目的に原発・再発胸部悪性腫瘍に対して温熱化学療法もしくは温熱化学放射線療法を施行し, その有効性について検討したので報告する. 対象は2002年3月から2004年3月までの11症例で, 治療方法は毎週の少量CDDP (30 mg/m2)・CPT-11 (20 mg/m2) 併用温熱療法3クール (温熱療法のみ1クール追加し合計4クール) に照射可能7症例については同時に通常分割照射を用いた放射線療法を施行した.全症例で治療の完遂が可能であり, 初期効果として11例中2例にCR, 3例にPRが得られた.特に, Pancoast腫瘍 (Stage IIIB) については2症例とも現時点で再発なく治療終了後2年以上経過している.毒性についてもGrade3以上の非血液毒性は認められず, 本治療方法は切除不能進行胸部腫瘍に対して安全かつ有効な治療法と考えられた.
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