本論で我々は、心臓血管システムの三つの重要な機能分子-線維芽細胞増殖因子 (FGFs)、リポタンパク質リパーゼ、アンチトロンビン (AT)、の作用を介するHSPGの役割を紹介する。HSPGは、FGFレセプターを介するFGFのシグナル伝達を調節し、リポタンパク質リパーゼを重要な作用点に局在化させ、ATの抗凝固活性を直接刺激する。これらの多様な作用機構は、すべてそれぞれの機能分子とHS鎖の糖配列の間の高く特異的な相互作用によるということができよう。これらの糖配列は、主としてヘパラン硫酸鎖の中の
N-、2-
O-、6-
O-、3-
O-硫酸基の適切な配置により決定されている。すなわち、HSPGの生物学的機能は、HSの精巧な構造を決める生合成機構により制御されている。特に内皮細胞が作るAT結合部位は、3-
O-スルホトランスフェラーゼ-1の律速活性により制御されている。知られているHSスルホトランスフェラーゼの構造と機能特性の比較から、異なる前駆体/生成物相関関係を持つ複数の異性体が存在し、少なくともその一部は順序の定まった生化学的経路の中で機能する。これらの観察から、我々は精巧なHS配列の合成制御のモデルを記述したい。
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