セルロースの合成を触媒するβ-グルコシルトランスフェラーゼと推定されるCel A遺伝子が、1996年に綿から単離された。最近、アラビドプシスの細胞壁突然変異体の研究から、相同遺伝子の
RSW1が同定された。これら2つの独立した研究は、Cel A遺伝子が植物でのセルロース合成に関係していることを強く示唆している。CelAマルチジーンファミリーに加えて、他の2つの関連したβ-グリコシルトランスフェラーゼと推定される遺伝子ファミリーが、アラビドプシスのゲノム解読から同定された。Cel A-like スーパーファミリーの全てのタンパク質は、基質との結合または触媒に関係すると考えられる保存されたモチーフを共有する。
In vitro でのセルロース合成の最近の進歩は、その過程のいくつかの点を明らかにしたが、植物体ではそれらに加えて細胞膜をはさんでグルカン産物を細胞壁に移す過程や、セルロースミクロフィブリルを細胞壁に蓄積する過程がある。セルロースが細胞壁に蓄積する際に、セルロース合成酵素複合体が原形質膜を移動するという、一般に受け入れられているモデルについても再考したい。さらに、β-トランスグルコシダーゼ活性が植物に存在するならば、この酵素によってセルロース合成が起こりうる可能性についても述べる。
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