Trends in Glycoscience and Glycotechnology
Online ISSN : 1883-2113
Print ISSN : 0915-7352
ISSN-L : 0915-7352
11 巻, 61 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • Takuya Kanemitsu, Osamu Kanie
    1999 年 11 巻 61 号 p. 267-276
    発行日: 1999/09/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    糖あるいは糖鎖は代謝、細胞間認識、感染といった様々な生体認識現象に一次的に関与しているばかりでなく、癌の転移に伴い発現する糖転位酵素もあり、タンパク質と糖の間の認識機構を調べ阻害剤等の研究を行うことは、将来的に新しい医薬へと繋がる可能性を秘めており重要である。ところが、現時点においては如何なる化合物がこうした生体反応を効率良く阻害するかを予測することは不可能に近い。このような理由から多岐に渡る化合物群の中から、目的に合うものを検索しようとするコンビナトリアルケミストリーの手法に基づく研究が有効である。また、糖が連続するキラルな炭素から成っていることを考えると、糖をキラルテンプレートに利用することも考えられる。本レビューは、盛んになりつつある糖関連ライブラリーに関する研究についての概説を試みるが、あくまでも“糖”が中心になっている研究に限定した。また、今後のライブラリー研究に展開が期待されるものについても割愛させていただいた。
  • 糖鎖レプリカペプチドを中心にして
    Dai Ishikawa, Takao Taki
    1999 年 11 巻 61 号 p. 277-285
    発行日: 1999/09/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    様々な分子ライブラリーを用いて迅速にスクリーニングできる分子認識工学の時代がきている。ここでは分子認識工学の一手法としてバイオコンビケムを位置づけている。そのバイオコンビケムとしてファージディスプレイライブラリーは、目的の分子または組織との親和性に基づくスクリーニングの代表的な手法である。抗原タンパク質のエピトープの決定にファージペプチドライブラリーによるパニングが有効な手段として使われてきた。我々はこの手法を導入して糖鎖認識抗体を用いて糖鎖構造を模倣するペプチドの作成を進めてきた。本法で得たペプチドはそれぞれの抗原糖鎖のもつ機能を代替えすることが明らかとなった。このような実験事実から、我々はこれらのペプチドを「糖鎖レプリカペプチド」と呼んでいる。このレビューでは糖鎖レプリカペプチドの作成と、得られたペプチドがもつ機能についての解析を中心に紹介する。
  • Kazunori Kondo
    1999 年 11 巻 61 号 p. 287-295
    発行日: 1999/09/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    線虫 C. elegans は、発生や神経系を研究するためのモデル生物としてよく用いられていますが、最近、ゲノムの全塩基配列がほぼ決定され、Science (1998), 282, 2011-2045に発表されました。C. elegans は、遺伝子をノックアウトする逆遺伝学的手法や古典遺伝学的手法も使えることから、生物学的機能の明らかでない遺伝子を研究するためのモデル生物として、線虫研究者以外からも注目されてきています。ここでは、自分の研究している(興味のある)遺伝子のホモログが、線虫に存在しているかどうか、インターネット上で検索するにはどうしたらよいのかについて簡単に説明します。DDBJを用いる方法についてはすでに紹介されています [TIGG (1999), 11, 119-127] ので、ワシントン大学及びサンガーセンターのサーチサービスを用いる方法について説明します。
  • 石原 雅之
    1999 年 11 巻 61 号 p. 297-298
    発行日: 1999/09/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
  • Maria Carmelita Z. Kasuya, 山形 達也, 太田 稔久
    1999 年 11 巻 61 号 p. 299-301
    発行日: 1999/09/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
  • Sandbäck Pikas Dagmar, 土田 和徳, 菅原 一幸
    1999 年 11 巻 61 号 p. 303-308
    発行日: 1999/09/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    ヘパリンとヘパラン硫酸 (HS) は硫酸化多糖であるグリコサミノグリカン (GAG) の一種でプロテオグリカン (PG) 巨大分子の一部分である。HSはほとんどの細胞表面や細胞外マトリックスに位置し、そこでそれらは様々なタンパク質に結合することによって生物学的プロセスに影響を与える。本学位論文では、HSの代謝に関与する二つの酵素について研究した。一つはHSを分解するほ乳類のヘパラナーゼ、もう一つはHSの複雑な構造を作り出す生合成酵素の一つ、N-脱アセチル化/N-硫酸基転移酵素 (NPST) である。
    ヘパラナーゼはHSをたった二、三個の部位で切断しHSの断片を生じる。この部分分解の生理学的機能の研究により、ヘパラナーゼが腫瘍の転移、血管新生、細胞増殖の制御、脂質代謝、血液凝固のような生物学的に重要なプロセスに関与することが示唆されている。この学位論文では、細菌の多糖を系統的な化学修飾に基づいた新規の方法を用いて異なるモデル基質を作製することにより、ヘパラナーゼがHS鎖の特別な構造を認識することを調べた (1)。
    HS鎖は異なるタンパク質に結合する際に重要ないくつかの構造的エレメントを含む。そのような特別な構造を作り出すには数多くの酵素を必要とする。これらの酵素のうちの一つ、N-脱アセチル化/N-硫酸基転移酵素 (NDST) はHS鎖中のどの領域が硫酸化されるかを決定する。この酵素の性質の解析はこの学位論文のもう一つの主なトピックである (2-5)。特にこの研究のゴールはHSの構造における異なるNDSTアイソフォームの効果を解明することである。
feedback
Top