糖鎖認識能を持つサイトカインが存在することが報告されて、糖鎖認識によってサイトカインとその受容体との相互作用が修飾を受けている可能性が示唆されている。本報では、サイトカインの糖鎖認識能について概観し、さらにIL-2における糖鎖認識能の役割について述べる。CTLL-2細胞はIL-2依存的に増殖する。マンノースを5残基あるいは6残基持つ高マンノース型糖鎖によってCTLL-2細胞の増殖ならびにシグナル伝達が阻害されたことから、高マンノース型糖鎖がIL-2によるT細胞増殖のモジュレーターとして働くことが示された。また、IL-2受容体の各サブユニットを独立に発現させると、IL-2と弱い結合しか見られないことから、IL-2刺激によってどのようにIL-2とIL-2受容体α, β, γサブユニットとの高親和性複合体が形成されるのかは不明であった。しかし、我々はIL-2がIL-2受容体αサブユニット上のマンノースを5残基あるいは6残基持つ高マンノース型糖鎖と特定のペプチド鎖をデュアルに認識することを見出した。IL-2とIL-2受容体αサブユニット複合体形成がシグナル伝達に必要な高親和性複合体の形成の引き金をひくものと思われる。
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