ポリ-
N-アセチルラクトサミンは
N-アセチルラクトサミン (LacNAc) 繰り返し構造を持つ特異な糖鎖であり、また、シアリルルイスxのような、さらなる糖鎖修飾のためのバックボーンとなる。ポリ-
N-アセチルラクトサミンは
N-グリカン、
O-グリカン、および糖脂質に結合しており、i-β1,3-
N-アセチルグルコサミン転移酵素(iGnT)とβ1,4-ガラクトース転移酵素 (β4Gal-T) 遺伝子ファミリーのメンバーによりβ1,3結合N-アセチルグルコサミン (GlcNAc) とβ1,4結合ガラクトース (Gal) が交互に付加して合成される。ムチン型
O-グリカンにおいてポリ-
N-アセチルラクトサミンはコア2およびコア4分岐糖鎖上に形成され、コア2およびコア4分岐糖鎖はそれぞれ、コア2β1,6-
N-アセチルグルコサミン転移酵素 (C2GnT) およびコア4β1,6-
N-アセチルグルコサミン転移酵素 (C4GnT) により合成される。
コア2分岐糖鎖のガラクトースの付加においてはβ4Gal-TIVがβ4Gal-T遺伝子ファミリーのメンバーの中で最も効率よく働き、また、iGnTとともに作用してコア2分岐
O-グリカン上にポリ-
N-アセチルラクトサミンを合成するということが見出された。一方、
N-グリカン上のポリ-
N-アセチルラクトサミン合成においてはβ4Gal-TIが最も効率よく作用するということが示された。β4Gal-TIVの働く効率はβ4Gal-TIと対照的に受容体のLacNAc繰り返し構造が増加すると劇的に減少するが、これはいろいろな細胞で見られる、コア2分岐
O-グリカンのポリ-
N-アセチルラクトサミン鎖が
N-グリカンの場合よりも短いという知見とよく合っている。コア4分岐
O-グリカンのポリ-
N-アセチルラクトサミンはiGnTとβ4Gal-TIにより最も効率よく合成されるということが見出された。しかし、iGnTはコア4分岐へ効率よくGlcNAcを付加できないため、コア4分岐におけるポリ-
N-アセチルラクトサミン合成はコア2分岐の場合よりも効率が悪い。このようにコア2およびコア4分岐
O-グリカンにおけるポリ-
N-アセチルラクトサミン伸長はiGnTとβ4Gal-T遺伝子ファミリーの異なるメンバーにより特異的に制御されている。
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