Trends in Glycoscience and Glycotechnology
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13 巻, 71 号
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
  • Miki Yokoyama, Jin-Ichi Inokuchi, Ken Kitajima
    2001 年 13 巻 71 号 p. 217-218
    発行日: 2001/05/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
  • Sen-itiroh Hakomori
    2001 年 13 巻 71 号 p. 219-230
    発行日: 2001/05/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    最初にマイクロドメインの概念がつくられて来た過程を回想し、ついで現在考えられている幾つかの組成と機能の異なったマイクロドメインについて概説した。膜組成の物理的性質 (物性) の相違にもとづき或種のリピドは、ほかの膜リピドから分離して、クラスターをつくり、原形質シグナル伝達分子や貫膜性レセプター、それに伴う膜成分と会合し、いくつかの異なるマイクロドメインをつくる。典型的な例として(i)GSLとスフィンゴミエリンがcSrc, Srcファミリーキナーゼ、小型G-蛋白と会合して形成されるグリコシグナルドメイン(GSD)、(ii)高濃度のコレステロールとカベオリン、GPI-アンカーやシグナル伝達分子からなるカベオラメンブレン、(iii)インテグリン-テトラスパニン複合体とGSLからなるマイクロドメイン、(iv)細胞成長因子レセプターがコレステロール含量の高い膜と会合しているマイクロドメインなどがある。(iii)と(iv)の組成については不明の点が少なくない。これら異なったマイクロドメインの量や性質は細胞の性質により大きく異なることが考えられる。
  • Toshinori Sato
    2001 年 13 巻 71 号 p. 231-238
    発行日: 2001/05/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    生体膜におけるスフィンゴ糖脂質は「ラフト」中に存在していると考えられており、本特集のミニレビューにおいて述べられているようにその生物学的な意味を知るための研究が行われている。ラフトが形成されることによる糖脂質の生化学的な機能への影響を明らかにすることは重要であるが、糖脂質が集合してドメインを形成する物理化学的な要因について研究することも必要である。ここでは、脂質単分子膜を生体膜モデルとして用いることで、糖脂質の認識機能に与えるマトリックス脂質の影響、気-液界面単分子膜の表面圧-分子占有面積等温線の解析、および原子間力顕微鏡による混合脂質膜のトポロジー像の観察を行い、糖脂質が集合構造を形成するドライビングフォースについて検討した結果を紹介する。
  • Massimo Masserini, Daniela Ravasi, Sandro Sonnino, 樺山 一哉, 井ノ口 仁一
    2001 年 13 巻 71 号 p. 239-250
    発行日: 2001/05/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    近年、哺乳類の細胞膜ドメインの構造や機能への関心が高まり、特に膜を介したシグナル伝達、細胞接着、脂質/タンパク質複合体の選別機構への関与が興味の対象となっている。細胞膜ドメインに共通した特徴は、スフィンゴ糖脂質、スフィンゴミエリン、コレステロールなどの脂質が主要な成分を構成している特異な脂質組成にある。一連の理論的考察といくつかの実験データからスフィンゴ糖脂質がドメインの形成や機能において重要な役割を果たしていることが示唆されている。この総説ではドメインの生成、構造、機能におけるスフィンゴ糖脂質の関与について、この分子の強い両親媒性や特異な化学的性質に着目して論議する。これらの性質によりスフィンゴ糖脂質はその他の膜脂質と区別され、自己会合したり他の膜構成成分や外部のリガンドなどと相互作用することが示唆されている。また、これらの相互作用によりスフィンゴ糖脂質は相分離を起こし、膜上でドメインの核を形成する; すなわちスフィンゴ糖脂質ドメインは他の脂質やタンパク質を含む複雑なドメイン形成の中心的役割を果たしている。以上のことから、スフィンゴ糖脂質はドメインに動的性質を付与し、細胞機能の調節に不可欠であると考えられる。
  • Kohji Kasahara, Yutaka Sanai
    2001 年 13 巻 71 号 p. 251-259
    発行日: 2001/05/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    スフィンゴ糖脂質とコレステロールは生体膜においてミクロドメインを形成し、グリコシルホスファチジルイノシトールアンカータンパク質、糖タンパク質、プロテオグリカンを含む特異的なタンパク質が付着するラフト (いかだ) として働いていることが提唱されている。そのミクロドメインは膜を介するシグナル伝達に関与していると考えられている。ここではミクロドメインの物理的性質、シグナル伝達における複合糖質の機能的役割について論じる。
  • Petr Dráber, Lubica Dráberová, Martina Ková ...
    2001 年 13 巻 71 号 p. 261-279
    発行日: 2001/05/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    T細胞、B細胞、マスト細胞上の抗原受容体のような細胞表面受容体は、リガンドもしくは抗体を介して集合化し、シグナル経路を動かすことによって、多様な機能応答を引き起こす。細胞の活性化は、細胞膜上のグリコシルホスファチジルイノシトール (GPI) アンカー型糖タンパク質、あるいはある種の糖脂質の集合によっても開始される。膜複合糖質の架橋がシグナル伝達に繋がるかどうかは、これらの複合糖質が、スフィンゴ糖脂質、コレステロール、シグナル伝達分子が濃縮されている膜ミクロドメイン (lipid rafts) に局在化することが重要であるという報告が近年増えている。このドメインは低温において非イオン性界面活性剤に可溶化され難く、低密度であるため密度勾配超遠心操作によって簡単に単離される。また、ある条件下では lipid raft を顕微鏡で観察することができる。lipid raft を膜貫通シグナル伝達のホットスポット (シグナロゾーム) とする概念は魅力的な仮説であるが、この問題は議論の余地があり、in vivo における lipid raft の特性と機能についてはあまり知られていない。このミニレビューでは、マスト細胞とその派生細胞の生化学的、形態学的、そして機能に関する最近の研究に基づいて、膜を介するシグナル伝達における lipid raft の役割について述べる。
  • Yohko U. Katagiri, Nobutaka Kiyokawa, Junichiro Fujimoto
    2001 年 13 巻 71 号 p. 281-290
    発行日: 2001/05/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    志賀赤痢菌や腸管出血性大腸菌の産生するシガ毒素 (Stx) はリセプターである細胞表面のGb3に結合し、細胞傷害を誘発して細胞を死にいたらせる。ヒト腎臓尿細管由来腫瘍細胞ACHNやバーキットリンパ腫(BL) Ramos 細胞等の培養細胞において、この細胞死はアポトーシスであることが示されている。TritonX-100処理後ショ糖密度勾配遠心により得られる TritonX-100不溶性の低密度マイクロドメイン Raft にはGb3、スフィンゴミエリン、コレステロールが局在していて、 Stx 添加後の初期シグナル伝達機構を研究する上で格好の材料である。 Stx 感受性ACHN細胞の Raft では、 Gb3はSrc型キナーゼの Yes や Lyn と会合していた。 Raft タンパクは Stx添加後10分でチロシンリン酸化の亢進がみられ、30分で元のレベルに復帰した。Yes の酵素活性は3~10分で増強するので、Raft 内の Yes が Raft タンパクのチロシンリン酸化亢進の原因であると考えられる。しかしながら、Raft から回収される Yes は不活性型で、Stx 添加後も活性の増強はなかった。一方、Triton 可溶性分画の Yes は活性型で、Raft タンパクのチロシンリン酸化亢進と同様のカイネテックスで活性が変動した。Stx はGb3と共に細胞内に取り込まれると言われており、Yes もStx/Gb3複合体と一緒に挙動して細胞内で活性化を受け Triton に対する可溶性が上昇して Triton 可溶性分画に回収されたと考えられる。Gb3の結合に与るStx Bサブユニットだけでも Yes の活性化はおきるので、Stx のGb3への結合そのものが Yes の活性化を誘導し、更には細胞のアポトーシスにつながるものと考えられる。
  • Tatsuro Mutoh
    2001 年 13 巻 71 号 p. 291-299
    発行日: 2001/05/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    これまでのカベオラあるいは細胞膜 raft に関する一連の研究は、こうした細胞膜上の特殊な構造物中に糖脂質やコレステロールが濃縮して存在し、極性を有する上皮細胞などの膜タンパクのソーテイングや細胞膜を介する情報伝達に重要な役割りを担っていることが明らかにしてきた。しかし、ごく最近まで実際生体内でこうした構造物が存在するか否かに関しては議論のあるところであった。最新の知見によれば確かに生体内でこうした細胞膜上の特殊な構造物が存在することが明らかとなっている。
    カベオラあるいは細胞膜ラフトは一般の細胞の細胞膜上に存在する糖脂質特にGM1ガングリオシドなどの酸性糖脂質やコレステロール, スフィンゴミエリン、レセプター型チロシンキナーゼ、Gタンパク、c-Src, グリコフォスファチヂルイノシトール結合タンパクなどの情報伝達分子がこうした構造物に局在することが明らかとなっている。一方、神経系細胞におけるこうした構造に関する知見の集積は大変興味深い研究テーマであるにもかかわらず未だ乏しいのが現状と言えよう。神経系細胞の分化生存、障害からの防御反応などの生物学を考える上で、神経成長因子 (NGF), 脳由来神経栄養因子 (BDNF), ニューロトロフィンー3/4(NT-3/4) などの神経栄養因子類の果たす役割の重要性はすでに多くの研究者の認めるところとなっている。われわれの報告を含めいくつかのグループがこうした神経栄養因子類の高親和性機能的受容体である Trk ファミリーチロシンキナーゼがまさにこの構造中に存在しており、その機能はこうした構造中の構成要素により制御されていることを明らかにしている。この総説では、神経系細胞に焦点を当て神経細胞の機能発現にカベオラあるいは細胞膜ラフトが如何に関与しているかについて細胞内情報伝達の観点より現在まで蓄積された知見について概説してみたい。
  • Akira Kobata
    2001 年 13 巻 71 号 p. 301-303
    発行日: 2001/05/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
  • Katsumi Ajisaka
    2001 年 13 巻 71 号 p. 305-318
    発行日: 2001/05/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    本レビューでは、糖タンパク質糖鎖および糖ペプチドの簡便な合成法の開発を目指して行った研究結果を整理して示した。N-結合型糖鎖の合成では、まずリパーゼを利用した化学合成法で母核3糖を合成した。さらに側鎖の合成では、酵素法で合成した直鎖のオリゴ糖ブロックを位置選択的な反応によりマンノース誘導体に結合することにより、分岐したオリゴ糖ブロックの新規な合成法を示した。そのようにして合成した母核3糖と側鎖のオリゴ糖ブロックを化学合成法で適宜繋げることにより、N-結合型糖鎖を構築することができることを明らかにした。
    一方糖ペプチドの合成法に関しては、ペプチド合成機で合成したGalNAcを付加したペプチドに対し、エキソ型の酵素で逐次糖鎖を延長する方法、あるいはエンド型酵素を利用して糖鎖を丸ごと転移させて一挙に長い糖ペプチドを合成する方法について、実際に幾つかの糖ペプチドを合成した結果を例として解説した。
  • Noboru Yamazaki, Yoshifumi Jigami, Hans-Joachim Gabius, Shuji Kojima
    2001 年 13 巻 71 号 p. 319-329
    発行日: 2001/05/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    糖鎖生物学的現象から有機材料への応用の道筋を見つけるために、我々は、生物の各種認識システムに重要な役割を果たしている糖鎖とタンパク質との相互作用に着目した。このような相互作用の応用研究がさまざまな分野で非常な興味を持たれており、その例として合成的研究や新しい機能性材料開発への応用などがある。本報告では、新しいネオ複合糖質としてのネオタンパク質・リポソームコンジュゲートの調製と特性評価を行い、そして、モデル系や生体系を使ったこれらネオ複合糖質の認識機能の評価結果を報告する。これらのコンジュゲートの調製は、次のような手順で行った。つまり、混合ミセルの調製、リポソームの調製、ネオ糖タンパク質のリポソームへの化学的カップリング、そして、段階的酵素反応によるグリコシレーションである。これらのコンジュゲートの糖鎖特異的な認識機能については、モデル系や in vitro のアッセイで評価した。また、in vivo のアッセイでは、エーリッヒ固形癌の担癌マウスを使って評価した。その結果、単糖やオリゴ糖を導入した各種のリポソームにおいて糖鎖に特徴的な体内動態結果が得られた。これらの新規な糖鎖導入材料は、組織特異的なドラッグターゲティング用材料とともに、糖鎖の分子認識研究などにも応用できると考えられる。
  • 羽渕 脩躬
    2001 年 13 巻 71 号 p. 331-332
    発行日: 2001/05/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
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