Trends in Glycoscience and Glycotechnology
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14 巻, 80 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • Tomoyuki Nishimoto
    2002 年 14 巻 80 号 p. 321-330
    発行日: 2002/11/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    酵素的に合成されたオリゴ糖は数多くあるが、澱粉から合成される非還元性グルコオリゴ糖は、かなり少数である。そのような糖質の例として、トレハロースやシクロデキストリンがある。環状四糖 (CTS; cyclo {→6)-α-D-glcp-(1→3)-α-D-glcp-(1→6)-α-D-glcp-(1→3)-α-D-glcp-(1→}) もまた、非還元性グルコオリゴ糖の一種である。この環状オリゴ糖の澱粉からの生成系が、最近、Bacillus globisporus C11株に見出され、二つの酵素が関与したCTS生成機構およびそれらの遺伝子構造が相次いで報告された。これらにより、CTSの工業的製造の可能性とCTSの合成および輸送に関与する遺伝子クラスターの存在が示された。本レビューでは、澱粉からの環状四糖の酵素的生成系を中心に、最新の研究結果について記述する。
  • Masayuki Ishihara
    2002 年 14 巻 80 号 p. 331-341
    発行日: 2002/11/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    キチンやキトサンは創傷治癒促進効果を有し、抗菌活性やマクロファージを活性化させることが知られた活性分子である。我々は、各種創傷に容易に塗布ができ、短時間の紫外線(UV) 照射で不溶性のハイドロゲルを生じる光硬化性キトサン分子を調製した。そのキトサンゲルは各種創傷部を被覆し、創傷部を保護するとともに、治癒を促進することが見い出された。さらにキトサンゲルは生体接着剤として、肺創傷部からの空気漏れや動脈創部からの出血も瞬時に止めることが確認された。このように、光硬化性キトサンハイドロゲルは、新規の創傷被覆剤および生体接着剤として、特に緊急の止血と創傷被覆を要する災害時の緊急医療の場で有用な医療用素材となることが期待できる。
  • Ryo Takano
    2002 年 14 巻 80 号 p. 343-351
    発行日: 2002/11/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    グリコサミノグリカンや海藻の多糖など硫酸化多糖の生物学的および物理化学的な性質を理解するためには、それらの詳しい構造の情報を得ることが必要である。脱硫酸化は、多糖そのものの構造を明らかにするための基本的な手段であるとともに、それらの機能の分子的な機構を明らかにするために必要である。ここでは、硫酸化糖の脱硫酸化法の進展について概括する。
  • Hiroshi Urakawa, Mitsuru Mimura, Kanji Kajiwara
    2002 年 14 巻 80 号 p. 355-376
    発行日: 2002/11/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    植物種子由来キシログルカンの多様性と汎用性を、Tamarindus indicaDetarium senegalense Gmelin を例にとって総説する。植物種子由来キシログルカンは、いずれもセルロース骨格で構成される同様な一次構造をもっている。Tamarindus indicaDetarium senegalense Gmelin 種子粉末は食品添加剤として日常的に食されているが、私たちの体に及ぼす生理的効果は植物種により異なる。キシログルカンのモノマー単位は3タイプある。従ってキシログルカンの生理的機能は、異なるモノマーの並び方によって決まる高次構造に依存すると考えられる。
    光散乱と小角X線散乱は、キシログルカンの溶液中の構造を調べる有力な手段である。まずキシログルカンの溶液中の構造を調べる方法について述べる。光散乱と小角X線散乱の解析結果は、Tamarindus indica は本質的に直鎖状多糖であるのに反し、Detarium senegalense Gmelin は分岐構造をもっている可能性を示唆する。
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