Trends in Glycoscience and Glycotechnology
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16 巻, 92 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • Taeko Miyagi, Kengo Kato, Seiji Ueno, Tadashi Wada
    2004 年 16 巻 92 号 p. 371-381
    発行日: 2004/11/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    細胞ががん化すると、細胞表層シアル酸量が変化する。このシアル酸変化は、がん細胞の悪性形質と深く関わっていると考えられている。この変化の機構と意義を明らかにすることを目的として、糖タンパクや糖脂質の非還元末端からシアル酸を除去するシアリダーゼに着目して、研究を行ってきた。哺乳動物細胞には現在まで4種のシアリダーゼが同定されているが、それらはがん化でそれぞれ異なった挙動を取ることがわかってきた。主にリソソームに局在するシアリダーゼの活性とmRNAのレベルはがん化で減少し、細胞膜に局在するシアリダーゼの場合は逆に上昇している。前者は足場非依存性や転移能に影響し、この遺伝子の導入によって、これらの形質は対照細胞の方向へ戻っている。一方、後者のシアリダーゼについては発現亢進ががん細胞のアポトーシスを抑制し、siRNAの導入によってアポトーシスが促進される。本稿ではこれまで明らかになったがんにおけるシアリダーゼの変化と意義について紹介したい。
  • Kazuhide Totani, Nozomu Yasutake, Takeomi Murata, Taichi Usui
    2004 年 16 巻 92 号 p. 383-392
    発行日: 2004/11/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    エンドグリコシダーゼによる二糖単位の糖鎖の転移と縮合について筆者らの研究を二つ紹介する。最初に、我々は Trichoderma reesei 由来の市販のセルラーゼ粗酵素中に、p-ニトロフェニルβラクトシド (Lacβ-pNP) あるいはラクトサミニド (LacNAcβ-pNP) から、ラクトース (Lac) あるいはN-アセチルラクトサミン (LacNAc) 二糖単位を一度に転移する活性を見いだした。本酵素活性を利用してアルキルβラクトシドなど種々のβ-ラクトシドを合成した。本酵素は、転移反応だけでなく二糖単位とアグリコンの縮合反応も触媒した。1-アルカノール、アルカンジオール、アリルアルコール、グリセロール、Man、Glcなどが二糖単位の受容体となり、アルカノールのアルキル鎖長がC2からC12へと伸びるにつれて転移や縮合の効率は低下した。共存するβ-ガラクトシダーゼの除去により、ラクトースとグリセロールの縮合効率は40%に達した。本酵素を用いた縮合反応により、Lac やLacNAcを有する様々な配糖体の実践的合成が可能となり、人工糖脂質前駆体の新奇合成に道を開いた。粗酵素の精製と加水分解における基質競合試験の結果から、Lac あるいはLacNAc単位の転移と縮合は一種類の酵素によって行われ、それはエンドβ(1-4)-グルカナーゼの一種であることが示唆された。
    次の例として、複合糖質糖鎖の構造や生理機能解析に広く用いられている Escherichia freundii 由来のエンド-β-ガラクトシダーゼが、GlcNAcβ1-3Gal二糖単位を位置選択的にGlcNAc残基の4位OH基に転移する活性を有することを紹介する。本酵素の糖転移能を利用することにより、ポリ-N-アセチルラクトサミンの簡便な酵素合成が可能となった。
  • Yoji Kato, Seiko Ito, Yasushi Mitsuishi
    2004 年 16 巻 92 号 p. 393-406
    発行日: 2004/11/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    キシログルカンは、全ての高等植物の一次細胞壁の主要多糖である。イネ科植物とナス科植物から得られたキシログルカンは、大部分の双子葉植物から得られたキシログルカンに比べて、置換されていないグルコース残基をより多く有している。精製された、Penicillium sp. M451あるいは Geotrichum sp. M 128のキシログルカンに特異的なエンド-1,4-β-D-グルカナーゼ、精製した Geotrichum sp. M128由来のオリゴキシログルカンの還元末端に特異的なセロビオハイドロラーゼ、さらには Eupenicllium sp. M9由来のイソプリメベロース生成加水分解酵素は、イネ科植物およびナス科植物のキシログルカンのβ-1,4-D-グルカン主鎖のO-6位でキシロースが結合していないグルコース残基の配列を決定するために非常に有効である。本レビューでは、キシログルカンに特異的な酵素を用いた双子葉植物のキシログルカンの構造研究、さらにはイネ科ならびにナス科植物から得られたキシログルカンの構造研究について述べる。
  • Channe Gowda, Rajeshwara Achur, Arivalagan Muthusamy, Keiichi Takagaki ...
    2004 年 16 巻 92 号 p. 407-420
    発行日: 2004/11/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    マラリア地帯の住民は一般に、成人するとマラリアに対する免疫を獲得する。しかし、妊娠した女性は以前自然に免疫を獲得したにもかかわらず非常にマラリアにかかりやすく、特に初回の妊娠時にかかりやすい。それは表現型の異なる Plasmodium falciparum が、感染した赤血球 (IRBCs) の結合により胎盤で隔離されるためである。始めて妊娠する女性は、大きなレベルで胎盤のマラリア原虫にさらされないので、表現型に特異的な免疫を欠いている。それゆえ、妊娠中の感染は臨床での発現の多くと関連している胎盤マラリアを引き起こす。胎盤での P. faliparum IRBCsの結合は、胎盤の絨毛間腔に局在する低硫酸化アグリカンファミリーであるコンドロイチン硫酸プロテオグリカンによって主に仲介される。IRBCの結合はコンドロイチン硫酸鎖の4硫酸化及び非硫酸化二糖単位両方の繰り返しの関与を必要とする。至適結合のために必要とされる最小の構造モチーフは二つの4硫酸化二糖類と四つの非硫酸化二糖類を伴った十二糖類である。IRBCの表面に発現された var 遺伝子群の産物である P. falciparum 赤血球膜タンパク1は、IRBC結合のためのリガンドとして提案された。この総説で、我々は胎盤コンドロイチン硫酸プロテオグリカン受容体の構造について現在の我々の知識と、マラリア原虫リガンドの同定、そしてIRBCが結合するために必要なコンドロイチン硫酸の構造を要約する。
  • T. N. C. Ramya, Avadhesha Surolia, 鈴木 康夫
    2004 年 16 巻 92 号 p. 421-425
    発行日: 2004/11/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
  • 東 伸昭
    2004 年 16 巻 92 号 p. 427-428
    発行日: 2004/11/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
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