Trends in Glycoscience and Glycotechnology
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16 巻, 91 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • Chihiro Sato
    2004 年 16 巻 91 号 p. 291-292
    発行日: 2004/09/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
  • Hiromune Ando, Akihiro Imamura
    2004 年 16 巻 91 号 p. 293-303
    発行日: 2004/09/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    シアル酸のα-グリコシドの化学合成は、シアル酸の構造的な特徴である3-デオキシ構造とアノメリック炭素に結合したカルボキシル基の影響により、非常に難度が高い。本総説では、その合成上の難点を克服するためにシアル酸の化学が歩んだ歴史を概観するとともに、最近報告された新しいシアル酸供与体であるN-Trocシアル酸誘導体について取り上げる。
  • Jomy Samuel, Carolyn R. Bertozzi, 宮田 真路
    2004 年 16 巻 91 号 p. 305-318
    発行日: 2004/09/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    ポリシアル酸 (PSA) は、多機能バイオポリマーである。PSAは高等な無脊椎動物や脊椎動物などの真核生物、および、神経侵襲性細菌である Neisseria meningitidis Bのような原核生物など、広い範囲にわたって検出される。哺乳類において、PSAの発現は発生過程により制御され、神経発生、および、細胞の癌化に重要な役割を果たしている。細菌においては、PSAは毒性の原因となる。分光学的手法と免疫学的分析を組み合わせることで、PSAの構造と、その生物学的機能の関連性に対する理解が非常に深まった。天然には存在しないシアル酸類似体を含めた化学的手法の利用は、培養細胞、もしくは、in vivo において、PSA発現の調節を容易にした。非天然型シアル酸の利用が、髄膜炎菌、さらに、癌に対するワクチンの開発につながった。
  • Tatsunori Seki
    2004 年 16 巻 91 号 p. 319-330
    発行日: 2004/09/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    脊椎動物の神経系では、ポリシアル酸 (PSA) はNCAMの糖鎖として同定された。PSAは主に胎生期と生後初期の脳で発現しており、ニューロンの発生において重要な機能を持っている。しかし、成体の脳でも、一群のPSA発現細胞が、例外的な2つの部位に存在している。それは海馬と前脳側脳室下帯で、そこではニューロンの新生が成体になっても続いている。この2つの成体のニューロン新生部位に存在するPSA陽性未熟ニューロンは、形態学的、生化学的、電気生理学的性質が、成熟ニューロンとは異なるとの証拠が集まりつつある。ここでは成体のニューロン新生で見られるPSA発現細胞の性質について記述し、PSAの機能について論議する。
  • Chihiro Sato
    2004 年 16 巻 91 号 p. 331-344
    発行日: 2004/09/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    糖鎖末端には通常1残基のシアル酸が存在するが、そのシアル酸残基の上にさらに数残基のシアル酸が直鎖状に縮重合してシアル酸重合体を形成する場合がある。α2→8結合ジシアル酸 (重合度DP=2) 構造はガングリオシドの構成成分としてよく知られており、細胞接着、細胞分化、シグナル伝達、時期特異的発現など、多くの生物学的機能を果たしている。また重合度が8以上のポリシアル酸構造は神経細胞接着分子上に存在しており、発生や分化に関わることが知られている。しかし、重合度が2から7程度のジ・オリゴシアル酸構造をもつ糖タンパク質の存在や機能についてはこれまでほとんど注目されて来なかった。しかし近年、ジ・オリゴ・ポリシアル酸 (シアル酸重合体) 構造を微量検出する手法が改良され、天然にジ・オリゴ・ポリシアル酸含有糖タンパク質がこれまで知られている以上に数多く存在することが明らかにされてきている。そのため糖タンパク質上のシアル酸重合体構造が、既にガングリオシドにおいて明らかにされてきた機能の一端を担う可能性が、また従来考えられてきたこととは全く異なる新たな機能を担っていること、さらには新たなポリシアル酸の機能が明らかになってくるかもしれない。この総説ではシアル酸重合体の分析法、生合成、存在、機能における最近の知見を述べる。
  • Shou Takashima, Shuichi Tsuji
    2004 年 16 巻 91 号 p. 345-356
    発行日: 2004/09/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    現在までに、マウスシアル酸転移酵素ファミリーでは20種類の酵素が同定されている。その中では、第二のβ-ガラクトシドα2,6-シアル酸転移酵素 (ST6Gal II) と、第六のα2,8-シアル酸転移酵素 (ST8Sia VI) のcDNAクローニングが最近行われた。ST6Gal II はST6Gal Iと対をなす酵素であり、遺伝子のゲノム構造もST6Gal I遺伝子とよく似ている。しかしオリゴ糖、糖タンパク質、糖脂質に対して広い基質特異性を示すST6Gal Iと異なり、ST6Gal IIは糖鎖構造の非還元末端にGalβ1,4GlcNAc構造をもつ一部のオリゴ糖や糖タンパク質にしか活性を示さなかった。また遺伝子の発現様式も両遺伝子では異なっていた。もう一つの酵素であるST8Sia VIは、糖鎖構造の非還元末端にNeuAcα2,3(6)Gal構造をもつ糖タンパク質、糖脂質、シアリルオリゴ糖に対して広い基質特異性を示した。糖タンパク質については、ST8Sia VI はN-結合型糖鎖よりもO-結合型糖鎖を基質として好んだ。また本酵素は糖脂質とO-結合型糖鎖の場合でも、O-結合型糖鎖に対してより高い活性を示した。ST8Sia VI は哺乳動物由来のα2,8-シアル酸転移酵素の中では、O-結合型糖鎖に積極的にシアル酸を転移できるはじめての酵素であった。
  • Paul R. Crocker, 安川 然太
    2004 年 16 巻 91 号 p. 357-370
    発行日: 2004/09/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    単核貪食細胞のような自然免疫系にたずさわる細胞には、宿主と病原体の両方に関わる認識機構を媒介する様々な表面受容体が発現している。これらの多くは糖鎖リガンドと相互作用するレクチン様の受容体である。CD33様シアル酸結合免疫グロブリン様レクチン (シグレック、siglec) は、細胞表面においてシアル酸認識に特殊化された自然免疫系の受容体であり、細胞内ドメイン中にチロシンを持つシグナルモチーフを含む受容体として、近年発見された。哺乳動物種間のCD33様シグレックには数多くの違いがあり、このことはこれらのタンパク質をコードする遺伝子が、急速に進化してきたことを反映している。このような違いがあるにも関わらず、自然免疫系にたずさわる白血球上における全体的な発現分布は非常に似ていることから、自然免疫反応を制御するこれらの受容体に共通に保存されている役割の存在が示唆される。様々な糖鎖を用いた詳細な研究により、それぞれのシグレックにおいて、糖鎖結合特異性が重複しているたけでなく、ユニークな糖鎖結合特異性も示されている。しかし、全てのCD33様シグレックは通常、その細胞表面のシアル酸とシスの相互作用をすることによりマスキングされており、このことは他の細胞上に発現するリガンドとのトランスの相互作用を調節していると考えられる。Neisseria meningitidis のようないくつかの病原体もシアル酸を発現しており、最近の研究から病原体に結合したシアル酸もシグレックのリガンドとして機能し、自然免疫系細胞と病原体との相互作用を増強することが可能であることが示された。これらの相互作用が宿主、または病原体のどちらに有利なことなのかは不明である。
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