海綿の細胞における認識・接着は Ca
2+ に依存する糖鎖と糖鎖の相互作用によって始まる。海綿の一種である
Microciona proliferaでは 2×10
4 kDa の日輪型をしたプロテオグリカン様の巨大分子複合体の一部である 200 kDa の N 結合型グリカン(g-200)が凝集要素として自己認識に関わる。自己相互作用のエピトープとなる糖鎖の一つは β-
D-Glc
pNAc3
S-(1→3)-α-
L-Fuc
p という硫酸化された二糖の断片である。この二糖のエピトープを合成し,牛血清アルブミン・金ナノ粒子・金薄膜と結合することによって多価の g-200 同士の自己認識を二糖レベルで模倣することを試みた。タンパク質との複合物は UV および SPR 実験に用い,金ナノ粒子との複合物は TEM を用いた観察に,糖結合金薄膜は AFM を用いた実験に用いた。すると,10 mM の CaCl
2 存在下においてどの状態の二糖も,
Microciona proliferaの細胞や凝集因子でコートしたビーズの場合のようにポリマーレベルで行った結果と完全に一致が見られた。
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