Trends in Glycoscience and Glycotechnology
Online ISSN : 1883-2113
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ISSN-L : 0915-7352
21 巻, 121 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
ミニレビュー
  • Tadanobu Takahashi, Takashi Suzuki
    2009 年 21 巻 121 号 p. 255-265
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/02/18
    ジャーナル フリー
    硫酸化糖脂質の 3-O-硫酸化ガラクトシルセラミド(スルファチド)は,脳,腎,呼吸器,消化器のような様々な組織に普遍的に存在している。スルファチドの代謝は他の多くのガングリオシドに比較して極めて単純で,スルファチドはセラミドから二つの転移酵素(セラミドガラクトシルトランスフェラーゼとセレブロシドスルフォトランスフェラーゼ)で合成され,一つのスルファターゼ(アリールスルファターゼ A)により特異的に分解される。スルファチドは,神経系,糖尿病,免疫系,血栓形成,細菌感染,ウイルス感染に関連した,生物学的に多機能な糖脂質である。筆者らの最近の研究で,スルファチドがインフルエンザウイルス感染細胞上でウイルス膜タンパク質ヘマグルチニンとの結合を介して,新生ウイルス核タンパク質の核外輸送を促進させるとともに子ウイルス産生を亢進させることを示した。本総説では,ウイルス感染増殖におけるスルファチドの役割についての概説とともに,筆者らの研究のスルファチドとインフルエンザ A 型ウイルスの関係について紹介する。
  • Akihiro Ishiwata, Yukishige Ito
    2009 年 21 巻 121 号 p. 266-289
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/02/18
    ジャーナル フリー
    オリゴ糖や多糖の合成において,グリコシル化は鍵反応として繰り返しおこなわれるため,効率性,立体選択性の両方が重要となる。また,原核生物や真核生物の由来を問わず,様々な生物活性を持つ糖鎖にみられる構造である 1,2-cis グリコシドの合成法としては,決定的なものは少ない。我々は効率性と立体選択性の両面からアプローチして,種々の手法により,1,2-cis 選択的なグリコシル化反応の高効率な立体制御法の開発に成功した。それらの手法は,細菌由来などの種々の複合糖質糖鎖の合成に応用可能であることを示した。
  • Tadashi Yamashita
    2009 年 21 巻 121 号 p. 290-301
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/02/18
    ジャーナル フリー
    スフィンゴ脂質のほとんどは,細胞膜と細胞内膜構造に存在する。その細胞膜上では,多くは raft や caveola と言われる糖脂質とコレステロールに非常に富んだドメイン構造をとって存在する。その細胞外側には,GPI アンカー蛋白質など,細胞間情報伝達分子の受容体が局在し,細胞質側には,src ファミリーキナーゼが結合しており,細胞外から細胞内への情報伝達に関与している。一方,これまで生体内では,その機能が不明であった事象がノックアウトマウスを解析することにより,明らかになってきた。その結果,スフィンゴ脂質は,マウスの初期発生からその存在が必須であり,かつシグナル伝達や各種免疫反応,さらに高次機能に深く関わることが明らかになった。
グライコトピックス
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