Trends in Glycoscience and Glycotechnology
Online ISSN : 1883-2113
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ISSN-L : 0915-7352
22 巻, 124 号
Special Issue on Hyaluronan
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前書き
ミニレビュー
  • Kazu Matsumoto
    原稿種別: ミニレビュー
    2010 年 22 巻 124 号 p. 57-67
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/07/07
    ジャーナル フリー
    ヒアルロン酸はN-アセチル-DグルコサミンとD-グルクロン酸の2糖繰り返し構造からなる線状大分子ポリマー構造の分子である。ヒアルロン酸は非常に単純な構造を持っているが、その機能は、ヒアルロン酸の持つ物性そのものの機能だけでなく、ヒアルロン酸結合タンパクや特異的な細胞表面のレセプターを介して組織の統制や恒常性維持に重要な働きを演じている。
    最近、我々は Prx1-Creトランスジェニックマウスを用いて Has2遺伝子肢芽特異的ノックアウトマウスを作成した。この総説では、我々が作製したHas2遺伝子肢芽特異的ノックアウトマウスの結果をもとに、軟骨でのヒアルロン酸の役割について述べる。我々はさらにヒアルロン酸、アグリカン、リンクタンパクからなるプロテオグリカン会合体についての生化学的・遺伝学的研究について、また、ヒアルロン酸の代表的な細胞表面レセプターであるCD44の役割についても簡潔に述べる。ヒアルロン酸は多くの機能が知られているが、ヒアルロン酸はどのように調節されているのか?ヒアルロン酸はどのように組織の恒常性を維持しているのか?など多くの疑問が残されている。我々はこの総説が、ヒアルロン酸の機能を考える上で重要な機会を提供し、その機能を理解する上での手助けになる事を願っている。
  • Atsushi Kon
    原稿種別: ミニレビュー
    2010 年 22 巻 124 号 p. 68-79
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/07/07
    ジャーナル フリー
    皮膚は生体を被うだけではなく、体温の調節、呼吸、感覚、免疫などの様々な機能を有する重要な臓器である。従って、皮膚の機能が失われてしまえば、生体全体に影響を生じ、我々は生きて行くことができない。最近、ヒアルロン酸は皮膚の発生、増殖、分化、再生、抗加齢などを制御し、皮膚のホメオスタシスを維持する上で非常に重要であることが証明された。その一方で、皮膚の悪性腫瘍の増殖や転移を促進する危険因子であることも明らかになった。従って、皮膚のヒアルロン酸の発現を自由自在に制御できれば、皮膚のみならず全身の健康を維持することができると考えられる。本総説では、皮膚におけるヒアルロン酸と皮膚疾患・病態との関連を中心に紹介し、ヒアルロン酸の重要性について言及する。
  • Lisheng Zhuo, Koji Kimata
    原稿種別: ミニレビュー
    2010 年 22 巻 124 号 p. 80-88
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/07/07
    ジャーナル フリー
    血中ヒアルロン酸(HA)濃度は様々な炎症性疾患や悪性癌の病態進展に関連すると報告されている。臨床では、血中HA濃度が関節リウマチや肝硬変のバイオマーカーとして利用されている。関節滑膜での産生の増加、肝臓類洞内皮での取り込みと分解除去の低下がそれぞれの病態におけるHA濃度上昇の原因である。我々は、炎症時血清由来ヒアルロン酸結合タンパク質SHAP (血清成分インター-α-トリプシンインヒビタ-ファミリー分子の重鎖サブユニットそのもの)がHAに共有結合し、その生物活性を改変し、炎症反応の制御に関与することを見出した。いくつかの疾患において、血中SHAP濃度とHA濃度を測定、比較した結果、SHAP濃度が疾患の段階や他の関連バイオマーカーにより良く関連することが分かった。本稿はこれらの実験結果をまとめ、SHAPはHAより優れたバイオマーカーであることを提唱する。
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