ピラノース環の立体配座を、アキシアル配向した置換基がより多い立体配座に固定して行ったL-
O-ラムノシル化反応とD-
O-グルコシル化反応について述べる。本稿では、このような立体配座をアキシアル・リッチな立体配座と呼ぶ。どちらの糖も、隣接したトランスジオールに嵩高いシリル基を導入すると、そのピラノース環をアキシアル・リッチな立体配座に固定できた。このように立体配座を束縛したL-ラムノース誘導体は、トリクロロアセトイミデート体としてグリコシル化反応を行うと、β体のラムノシドを優先して与えた。ただし、α:β比が最高で1:4であり、実用性を唱えるレベルではなかった。一方、アキシアル・リッチなグルコース供与体を用いた場合は、アノマー位での立体選択性が最高でα:β = 2:98の、高β選択的な反応が進行した。この場合、ピラノース環の立体配座がイス形ではなく、アキシアル・リッチなねじれ舟形であることが、選択性発現の鍵であった。この方法は、β-
O-グルコシド結合の構築法として長く利用されている2位アシル保護基の隣接基関与に基づく立体選択性の発現法を用いない方法であり、隣接基関与法では合成しにくい構造形式である2位配糖型β-
O-グルコシド合成に、その特徴を活かすことができた。
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