Trends in Glycoscience and Glycotechnology
Online ISSN : 1883-2113
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ISSN-L : 0915-7352
23 巻, 132 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
ミニレビュー
  • Shinobu Kitazume
    原稿種別: ミニレビュー
    2011 年 23 巻 132 号 p. 161-167
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/29
    ジャーナル フリー
    アミロイドβ(Aβ)の脳内蓄積は、アルツハイマー病と深い関わりがある。Aβ は、β アミロイド前駆体タンパク質APP からβ およびγセクレターゼと呼ばれるプロテアーゼによって切断されて生じる。APP やAPP の切断酵素(セクレターゼ)は膜結合型の糖タンパク質である。最近の研究では、特異的な糖鎖構造が欠如すると機能性糖タンパク質の安定性が低下する例や、構造変化、局在変化などを引き起こして機能不全にいたる例が複数報告されている。実際、特定の糖鎖構造変化はAPP やセクレターゼの機能に影響を与え、Aβ 形成量が変化するようである。この総説では、まずAPP の発現、代謝経路、翻訳後修飾について触れた後に、糖鎖変化がAβ 産生、蓄積、クリアランスに与える影響について解析した、我々の研究も含めた最近の報告を紹介したい。
  • Hans-Joachim Gabius
    原稿種別: ミニレビュー
    2011 年 23 巻 132 号 p. 168-177
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/29
    ジャーナル フリー
    細胞表面上の糖鎖は、周囲の環境と意思疎通するための生化学的シグナルである。糖鎖情報は、レクチンとの最初の結合によって生物学的な応答として翻訳され、この認識過程は後に続くシグナル伝達の引き金となる。糖鎖-レクチン相互作用の特異性は、誤りの可能性を排除すべく優れたものである必要がある。この目的のために、Ca2+がタンパク質-糖鎖相互作用の世界に引き込まれたのだと思われる。興味深いことに適切な糖リガンドの特定を手助けするCa2+の戦略は一つだけではなく、異なった方法がとられる。この総説では、種々のレクチンの糖鎖結合ドメインにおいて不可欠な要素となっているCa2+の様々な機能について解析する。Ca2+の役割は、リガンドとは直接相互作用せずに接触部位の構造を形作ることから、電荷をもつリガンドや中性糖リガンドと直接相互作用することにまで及んでいる。最後に、ガラクトース-Ca2+間の最大4つの配位結合からなる複雑なネットワークについて述べる。
  • Shou Takashima, Shuichi Tsuji
    原稿種別: ミニレビュー
    2011 年 23 巻 132 号 p. 178-193
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/29
    ジャーナル フリー
    シアル酸は負電荷を有する酸性糖である。シアル酸転移酵素は、様々な生命現象において重要な役割を果たしているシアル酸含有糖鎖の合成に関与する酵素である。現在までに哺乳類ではシアル酸転移酵素スーパーファミリーに属する20種類の酵素が同定されている。これらのシアル酸転移酵素は、形成するシアロ糖鎖の結合様式の違いによって、以下の4つのファミリーに分けられる:β-ガラクトシドα2,3-シアル酸転移酵素(ST3Gal-I-VI)、β-ガラクトシドα2,6-シアル酸転移酵素(ST6Gal-I, -II)、GalNAcα2,6-シアル酸転移酵素(ST6GalNAc-I-VI)、α2,8-シアル酸転移酵素(ST8Sia-I-VI)。各シアル酸転移酵素は哺乳類の複雑な生体システムにおいて、それぞれ固有の役割をもつ。この総説では、最近の研究によって明らかになった哺乳類シアル酸転移酵素の機能多様性について述べ、哺乳類が20種類のシアル酸転移酵素を必要とした理由を考察したい。
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