Trends in Glycoscience and Glycotechnology
Online ISSN : 1883-2113
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ISSN-L : 0915-7352
24 巻, 135 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
ミニレビュー
  • Yu Nakagawa, Yukishige Ito
    原稿種別: ミニレビュー
    2012 年 24 巻 135 号 p. 1-12
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/05
    ジャーナル フリー
    糖質の持つ生物学的意義が明らかになるにつれ、糖質の機能を分子レベルで理解するためのツール分子として、さらには糖鎖関連疾患の診断・治療薬のリードとしての糖結合分子 (CBM) の学術的重要性は急速に高まっている。特に、合成および化学修飾が容易な低分子型のCBMには大きな関心が寄せられている。本稿では、非共有結合によって糖を結合する低分子型CBMに焦点を当て、超分子化学の分野での進展が目覚ましい人工CBMについて、その代表的な分子設計と最新の研究成果を概説する。さらに、唯一の天然由来低分子型CBM群であるpradimicinとその類縁体にもスポットを当て、これらレクチン様天然物の類稀なカルシウム依存的マンノース結合機構に関する最新の知見についても紹介する。
  • Teruko Konishi, Tadashi Ishii
    原稿種別: ミニレビュー
    2012 年 24 巻 135 号 p. 13-23
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/05
    ジャーナル フリー
    L-アラビノースは植物細胞の主要な構成糖であり、熱力学的に不安定なフラノース(アラビノフラノース(Araf))として存在する。従来、UDP-アラビノピラノース(UDP-Arap)が転移するとき、ピラノース型がフラノース型に変換してArafが生成すると考えられていた。これを追試するため、UDP-Arapを糖供与体としてアラビノオリゴ糖とマングマメ由来ミクロソーム画分を反応させたところ、アラビノピラノースが1つだけ結合したアラビノオリゴ糖が生成し、アラビノフラノースは結合しなかった。そこで、UDP-アラビノフラノース(UDP-Araf)を糖供与体として同じ反応を行ったところ、アラビノフラノースが結合したアラビノオリゴ糖が生成した。以上の結果から、アラビノフラノースはUDP-Arafから合成されると結論した。次に、UDP-ArapをUDP-Arafに変換する異性化酵素(UDP-アラビノピラノースムターゼ(UAM))が、植物細胞中に存在すると推測してイネ芽生えからUAMを単離した。さらに、L-アラビノースの機能を検討する目的で、RNAiによりUAM遺伝子の発現を抑制した組換えイネを創出し、野生株と性質を比較した。その結果、組換えイネでは細胞壁中のL-アラビノフラース量が減少し、植物体は矮性になり、不稔性を示した。このことより、L-アラビノースが植物の成長や生殖に必須であることが明らかになった。
  • Tomohiko Matsuzawa, Takao Ohashi, Mai Nakase, Ken-ichi Yoritsune, Kaor ...
    原稿種別: ミニレビュー
    2012 年 24 巻 135 号 p. 24-42
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/05
    ジャーナル フリー
    分裂酵母Schizosaccharomyces pombeでは、ゴルジ体内腔でガラクトース転移酵素により糖タンパク質のN-およびO-結合型糖鎖にガラクトース残基が転移される。ガラクトース残基は分裂酵母の生育には必須ではないが、タンパク質へのガラクトシル化は細胞形態の維持、性的凝集や各種薬剤に対する抵抗性に重要である。酵母において細胞表層の糖タンパク質は凝集や菌糸状の侵入性増殖に重要な役割を果たす。我々は分裂酵母のgsf2+遺伝子が細胞表層複合糖質のガラクトース残基と結合する凝集素をコードしていることを見いだした。分裂酵母の非性的凝集や侵入性増殖はgsf2+遺伝子の発現により厳密にコントロールされている。またガラクトース残基のピルビン酸の付加はN-結合型のガラクトマンナンのガラクトース残基を覆うことにより負に制御している。このように分裂酵母はガラクトースを特異的に認識するシステムを有しており、Gsf2/凝集素タンパクが細胞間相互作用を成立させるために必須の役割を果たしていることがわかった。
グライコトピック
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