β-アラビノオリゴ糖鎖は、植物細胞壁に含まれる糖タンパク質であるエクステンシンのハイドロキシプロリン(Hyp)結合型糖鎖である。しかし、β-L-アラビノフラノシド結合が植物に広く分布するにもかかわらず、その分解酵素はこれまで報告されていなかった。2011年に、我々はβ-アラビノオリゴ糖鎖を分解する酵素群の
Bifidobacterium longumからのクローニングと性質決定に初めて成功した。本酵素群は、Ara
fα1-3Ara
fβ1-2Ara
fβ1-2Ara
fβ-HypからL-arabinoseを遊離するGH43 α-L-arabinofuranosidase (HypAA)、Ara
fβ1-2Ara
fβ1-2Ara
fβ-HypからAra
fβ1-2Ara
f (β-Ara2)を遊離するGH121 β-L-arabinobiosidase (HypBA2)、遊離されたβ-Ara2をL-arabinoseに分解するGH127 β-L-arabinofuranosidase (HypBA1)によって構成されていた。本酵素群は
B. longumゲノム上で一つの遺伝子クラスターを形成していたが、他の腸内細菌のゲノム上には保存されていなかった。また、
B. longumはβ-アラビノオリゴ糖鎖を資化することができた。本総説ではβ-アラビノオリゴ糖鎖分解酵素群の機能性と
B. longumで予想される代謝経路について紹介する。
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