植物にはヒドロキシプロリン(Hyp)に富む糖タンパク質(HRGP)が存在する。HRGPのHyp残基はβ-アラビノオリゴ糖鎖によって修飾されている。このβ-アラビノオリゴ糖鎖を分解する酵素はこれまで未発見だった。しかし最近、
Bifidobacterium longum JCM1217からその分解酵素群が発見された。本稿では、それらの酵素の一つであるGH127 β-L-arabinofuranosidase(HypBA1)の立体構造について述べる。HypBA1はX線解析によりアポ状態とβ-L-arbinofuranose複合体の結晶構造がそれぞれ2.2 Åと2.0 Åで決定された。その結果、HypBA1は極めて新規な活性中心を有していることが分かった。このことから、HypBA1はZn
2+に配位したCysを求核性触媒残基とする、グリコシダーゼとして全く新しい反応機構をとることが強く示唆された。生化学的解析もこれを支持した。HypBA1には細菌、真菌、植物にホモログ遺伝子が数多く存在し、活性中心の触媒残基は保存されている。したがって、同様の反応機構をとる酵素が多数存在することが予想される。
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