ビンヂンは、ウニ精子の先体中の24kDの蛋白質で精子と卵子の接触により放出され、精子が卵膜と種特異的に接着するのを媒介する。初期の研究により卵子上のビンヂンに対するレセプターは硫酸化フカン多糖鎖を含む糖蛋白質であることが知られていた。卵表面あるいは藻より分離してきた硫酸化フカンはビンヂンとかなり高い親和性で結合し (Kd 5x10
-9M) in vitro でのビンヂンによる卵の凝集を阻止する。他の自然界にある硫酸化多糖 (ヘパリン、コンドロイチン硫酸、カラゲナン) にはこのような作用がないことよりビンヂンはα1、2結合のフコース多糖体に特異的に結合するレクチン様蛋白質であろうと考えられた。しかし最近の研究によればビンヂンは従来のレクチンとは異なり多糖鎖上の硫酸エステルを特異的に認識するものと考えられる。ビンヂンの硫酸化フカンに対する結合性はフカン多糖鎖上の硫酸エステルの立体配置を認識するものである。しかし、その後の研究からビンヂンに対する卵表面上のレセプターの種特異性は卵膜糖蛋白質の蛋白構造によって規定されると考えられるようになった。
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