Trends in Glycoscience and Glycotechnology
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3 巻, 13 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • ラミニンの糖鎖の役割
    Marvin L. TANZER, John W. DEAN III, S. CHANDRASEKARAN, 鈴木 順
    1991 年 3 巻 13 号 p. 302-314
    発行日: 1991/09/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    細胞外マトリックスは組織や器官に骨組みと安定性を与えるものである。また、構成細胞と相互作用し、細胞の行動に影響する情報を提供する。ラミニンは細胞外マトリックス成分が極めて発達した形である基底板の主要な構成因子である。成熟した組織や器官では細胞は基底板に堅く接着しているが、胚組織では基底板は発生の過程の制御に役立っていると考えられている。細胞はラミニンの構造上の特徴を認識することにより、その伝達する情報に応答する。ラミニンの全体の分子構造、ポリペプチドサブユニットの含有量やアミノ酸配列、糖組成、N-グリコシド結合型糖鎖の構造までを含めた包括的な分子構造モデルは既に確立されている。蛋白質部分と糖部分の両方がラミニンに対する細胞の認識や応答に係わっている。我々はここで、特にラミニンの糖鎖部分が細胞応答に関与する際に、その推定される役割に焦点を当て、ラミニンの構造と生物活性について現在までの知見を概説する。細胞表面とラミニンの相互作用モデルが幾つか提唱されている。これらの相互作用に関する知見がさらに発展すれば、ラミニンの糖鎖部分が細胞応答を促進する作用機構について、よりはっきりした定義がなされよう。
  • ABH, ルイス, Ii, P関連, ダフィー, グリコホリンA
    May-Jean KING, 内川 誠
    1991 年 3 巻 13 号 p. 315-326
    発行日: 1991/09/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    ヒトの赤血球型抗原は糖鎖抗原およびタンパク抗原に大きく分類することができる。糖鎖抗原にはABH, ルイス (Le), Ii, P関連抗原などがある。タンパク抗原についてはダフィー抗原 (Fya, Fyb) とグリコホリンAのMおよびN抗原をここでは取りあげた。ABHおよびIi抗原はバンド3, バンド4.5糖タンパクに結合しているポリラクトサミノグリカン、そしてポリグリコシルセラミドに存在している。Lea, LebそしてP関連抗原はスフィンゴ糖脂質として存在する。糖鎖抗原は赤血球上だけでなく、上皮細胞、臓器および分泌液中にも認められる。ある糖鎖抗原は本来の血液型とは異なった血液型抗原を腫瘍組織上に発現するため、腫瘍関連抗原として位置づけられている。ダフィー抗原およびグリコホリンAは赤血球系細胞にのみ認められている。ノウレシ・マラリア原虫 (あるいは三日熱マラリア原虫) と熱帯熱マラリア原虫の無性生殖で発育するメロゾイトは異なったリガンドに付着する。
  • Renato V. IOZZO, 羽渕 弘子
    1991 年 3 巻 13 号 p. 327-333
    発行日: 1991/09/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    ヘパラン硫酸のコアタンパク質に脂質が共有結合すると、これらの遺伝子産物と細胞膜間に新しい分子結合が出来ることになる。プロテオグリカンは糖脂質化することで細胞頂上部へのふるい分けと標的となる膜への移動を行ない、細胞表面のプロテオグリカンが酵素反応により敏速に遊離される機構が出来上がる。プロテオグリカンが脂肪酸でアシル化されることは、疎水的な相互作用と、恐らく受容体を介した結合を仲介し、細胞内のプロテオグリカン/プロテオグリカン同士の相互作用の新しい機構を提供し、代謝回転に直接的な役割を果たすかも知れない。脂質を介した繋留に必要となる微細構造上の要求性や複合的なな酵素反応装置が同定出来ると、プロテオグリカンのこの新しい翻訳後の修飾が機能的に重要であることが明らかとなるであろう。
  • Alejandro ARUFFO, Ivan STAMENKOVIC, 長塚 靖子
    1991 年 3 巻 13 号 p. 334-342
    発行日: 1991/09/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    CD44は多型の分子族で、種々の細胞に発現している細胞表面糖タンパクである。CD44タンパクは、リンパ球の活性化のような細胞-細胞及び細胞・基質の接着を媒介する。本稿で私達は、2つのCD44タンパク、CD44H及びCD44EをコードするcDNAを分離し性状解析を行なった最近の仕事を紹介する。CD44Hは80-90kDの糖タンパクで中胚葉性及び神経-外胚葉性由来細胞のどちらにも発現している。接着実験によるとCD44Hはピアルロン酸に特異的に結合する。この観察と、ハムスターのCD44Hタンパクはハムスターピアルロン酸レセプターに対する単クローン抗体と反応するという発見とを併せ考えると、CD44Hとビアルロン酸レセプターは同一の分子であることがわかる。CD44Eは160kDの糖タンパクで上皮細胞の一つのサブセットに発現しており、CD44Hの細胞外ドメインに134アミノ酸からなる断片が余分に挿入されている。接着実験によれば、CD44Hとは異なり、CD44Eは表面結合性ヒアルロン酸への接着を媒介しない。
  • Jeremiah E. SILBERT, 山田 修平, 菅原 一幸
    1991 年 3 巻 13 号 p. 343-351
    発行日: 1991/09/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    プロテオコンドロイチンのグリコサミノグリカン部分の生合成の順序、グリコサミノグリカンの硫酸化、生合成中間体に関する相当量の情報が得られている。しかしながら、糖鎖の重合化 (polymerization) と硫酸化 (sulfetion) の二つの段階の関係は明白にはされていない。我々の研究室も含めいくつかの研究室での仕事は、硫酸化は重合化とともにゴルジ体の単一の部位で起こり、硫酸化、鎖の伸長及び終了の間には密接な相互関係があることを強く示唆している。これらの相互関係は、プロテオコンドロイチン硫酸の特異的な機能を決定しうる硫酸化の糖鎖上の位置と糖残基上の部位における多様性を制御している可能性がある。
  • Carl P. DIETRICH, 羽渕 脩躬
    1991 年 3 巻 13 号 p. 352-359
    発行日: 1991/09/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    グリコサミノグリカン代謝におけるスルファターゼの作用様式を短くまとめた。今までに得られた証拠によれば、3通りのグリコサミノグリカン分解経路が存在し、それぞれ作用様式の異なる、数種の特異的なスルファターゼが関与していることが示されている。哺乳動物、おそらく他の脊椎動物においても、スルファターゼは糖加水分解酵素とともに逐次的に作用し、各分解のサイクル毎に分子の非還元末端から硫酸基を除去する。無脊椎動物では、スルファターゼはポリマーに直接作用し、ポリマーを同時に分解することなく、高度に脱硫酸化する。脱硫酸化後、糖加水分解酵素の働きでポリマーは分解される。最後に細菌のスルファターゼは、エリミナーゼやグリクロニダーゼ分解によりグリコサミノグリカンから生じた、硫酸化二糖や単糖に作用する。糖と硫酸の再利用におけるスルファターゼの生物学的な役割を考察する。
  • Andrew J. W. FURLEY, 佐野 慎一郎
    1991 年 3 巻 13 号 p. 360-369
    発行日: 1991/09/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    伸長していく軸索の表面に見いだされている主要な糖タンパク質には、イムノグロブリン (Ig) 様ドメインとファイブロネクチンIII型ドメインを持つIgスーパーファミリーの分子がある。発生過程におけるこれらのタンパク質の発現パターンと in vitro での機能に関する研究から、これらのタンパク質が、細胞表面の接着性を調節することにより、軸索の伸長パターンとガイダンスを制御する役割を持つことが考えられている。最近の in vivo の研究からは、軸索の接着性を調節する少なくとも一つの機構には、このファミリーのメンバーであるNCAMのポリシアル酸量の制御が含まれることが示唆されている。このファミリーの分子の多様性と多くのアイソフォームの発見は、軸索伸長とガイダンスを制御する他の機構の存在も示唆している。
  • 瀬古 玲
    1991 年 3 巻 13 号 p. 370-371
    発行日: 1991/09/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
  • Ilkka HAVUKKALA, 渋谷 直人
    1991 年 3 巻 13 号 p. 372-374
    発行日: 1991/09/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
  • 1991 年 3 巻 13 号 p. 375-377
    発行日: 1991/09/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
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