Trends in Glycoscience and Glycotechnology
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4 巻, 19 号
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
  • Bendicht U. Pauli, Robert C. Johnson, Joanne Widom, Chao-Fu Cheng, 山形 ...
    1992 年 4 巻 19 号 p. 405-414
    発行日: 1992/09/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    ある器官に存在する血管支それぞれが発現している内皮細胞接着分子が転移の器官選択性に関係している。肺の血管に構成的に発現している2種の接着分子についてここで記そう。第一の分子はネズミのB16メラノーマ細胞を結合する内皮細胞接着分子Lu-ECAM-1である。90kDaLu-ECAM-1は、B16メラノーマ細胞の接着と肺転移を選択的に促進する。固定化したLu-ECAM-1へのメラノーマの付着は、抗Lu-ECAM-1mAb6D3、可溶性Lu-ECAM-1、ラクト-N-フコペンタオースによって投与量依存的に阻害される。in vivo では、Lu-ECAM-1をmAb6D3により妨害するとB16F10の肺での腫瘍結節形成が阻害される。しかしLu-ECAM-1は、他の肺転移腫瘍細胞 (例えばKLN205癌細胞)や肺以外の他の器官に転移する腫瘍細胞系 (例えば肝転移B16-L8-F10、RAW117-H10) とは結合せず、又これらの転移には影響を与えない。そして、リンパ球や好中球とも結合しない。第二の接着分子は、ラットのジペプチジルペプチダーゼIV (DPP IV) である。このシアロ糖タンパクは、非転移性細胞にくらべて転移性細胞の表層により大に発現されているフィブロネクチンを介して肺転移性の前立腺癌や乳癌細胞と結合する。フィブロネクチンの発現の増加に伴ない腫瘍細胞のβ1とβ3インテグリンも増加する。DPPIVの結合はRGP以外のフィブロネクチンの配列によって仲介され、またそのペプチダーゼドメインとは無関係である。これらの構成的に発現される接着分子は血流にのって運ばれる癌細胞がある部位の血管に特異的に定着するのに役立っていると信じられている。そしてまだどのように信号が送られるのか知られていないが、腫瘍細胞の内皮への結合を高め、そしてギャップジャンクションを介する情報交換を開始させることで腫瘍細胞を血管外に遊出させ、第二の器官での腫瘍増殖を促進させるような別の (一時的に発現される) 接着分子を増やすように働いているのであろう。
  • Jean-Pierre Zanetta, Sylvain Lehmann, Ali Badache, Didier Thomas, Susa ...
    1992 年 4 巻 19 号 p. 415-426
    発行日: 1992/09/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    脳組織において、様々な糖結合タンパク質が検出されているが、そのうち、単離され、その機能が明らかになっているものが数種ある。β-ガラクトシド結合レクチン、マンノース結合レクチン、グリコサミノグリカン結合タンパク質である。これらは脳の発生において、種々の機能を持つ。β-ガラクトシド結合レクチンは、軸索が目的の場所に伸びていく時や、あるいは神経突起伸張、細胞内輸送、核の機能に関与すると考えられている。マンノース結合レクチンは、未成熟なニューロンの移動の接触誘導や髄鞘形成、シナプス形成などの細胞接着、あるいは認識メカニズムに関与する分子として働くことが示されている。β-ガラクトシド結合レクチン、マンノース結合レクチンともに、それぞれ、実験的アレルギー性脳脊髄炎、多発性硬化症といった脱髄によって起こる病気を理解する上で興味深い。マンノース結合レクチンの特異的な機能として、接触阻害の喪失と悪性細胞の特異的なホーミングが挙げられる。
    脳組織において、様々な糖結合特異性や機能を持つ数種の糖結合タンパク質が同定されている。これらの中には、細胞内輸送、免疫細胞のホーミング、その他特異的な細胞接着のプロセスに見られる現象など、一般的な現象に関与しているものもある。細胞接着に関連して、i) シナプス形成の第一段階で、ニューロンを認識する機能を果たす膜結合性のマンノース結合レクチンR1、ii) ミエリン構造の安定化や軸索と髄鞘化細胞との間の結合形成、発生段階のニューロン移動の接触誘導などの接着プロセスにおいて働く可溶性マンノース結合タンパク質CSLがある。これらの分子は、病理学にも関係があり、例えばβ-ガシド結合レクチンは実験的アレルギー性脳脊髄炎に、また、CSLは多発性硬化症に関係している。悪性細胞の接触阻害喪失のプロセスやホーミングのメカニズムにおいて、細胞接着や細胞認識の糖生物学的システムは重要である。
  • Neeraj Jain, Bishnu D. Sanwal, 内山 孝司
    1992 年 4 巻 19 号 p. 427-436
    発行日: 1992/09/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    骨格筋筋芽細胞が分化する際、細胞は整列した後、筋管を形成するために融合する。高マンノース型の糖タンパク質が細胞分化に関与していると示唆されてきたが、高マンノース型糖鎖の欠損した突然変異体筋芽細胞は、筋管を形成することができる。細胞融合に参加する筋芽細胞が、幾つかの新たな糖タンパク質を合成するという証拠がある。細胞は、翁化する前にインテグリン受容体を介して細胞外マトリックスと結合する。筋芽細胞の細胞間接着はカルシウム依存性及びカルシウム非依存性の二つの機構を介して生ずる。前者のタイプの相互作用はホモフィリックであり、膜に局在するN-及びM-カドヘリンによってもたらされる。カルシウム非依存性の機構には神経細胞接着分子 (NCAMs) の、特にグリコシル-フォスファチジルイノシトール残基を介して細胞膜に結合するタイプのものが関与している。NCAM分子群はシアロ糖タンパク質であり、多型分子として存在する。燐脂質結合タイプのヒトNCAMのcDNAを筋芽細胞に導入すると、細胞は速やかに筋管に分化する。
  • Thomas G. Honegger, 広橋 教貴
    1992 年 4 巻 19 号 p. 437-444
    発行日: 1992/09/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    哺乳類の雄性生殖器道から得た精液や、色々な無脊椎動物あるいは脊椎動物の精子や卵から多くのグリコシダーゼが見出されている。その一部はすでに単離され、性質も明らかになっているが、受精における真の機能を明らかにするのは予想以上に難しいことがわかってきた。ホヤやマウスでは、受精の成立に不可欠な過程の一つである非細胞性卵外被への精子結合に、グリコシダーゼが関与しているという証拠が比較的最近示されている。さらに、哺乳類精子のピアルロニダーゼならびにおそらくβ-N-アセチルグルコサミニダーゼは、精子の卵外被通過とくに卵丘通過に関与していると言われている。しかし、精子による卵外被通過の正確な機構、あるいはそのような機構が哺乳類の受精一般に当てはまるのか否かは、今だに論議の的である。これまでのところ、ホヤとマウスでは卵のグリコシダーゼが遅い多精拒否に関与していることを示唆する結果が得られている。
    以上をまとめると、グリコシダーゼが配偶子間相互作用、とりわけ精子と卵外被マトリックスとの相互作用において、重要、かつ不可欠な役割を演じていると考えて良いであろう。
  • その機能に関する展望
    Anna H. K. Plaas, 妹尾 春樹
    1992 年 4 巻 19 号 p. 445-455
    発行日: 1992/09/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    細胞外マトリックスは、巨大分子間の静的および動的な相互作用のネットワークにより成り立っている。この相互作用によって結合組織は特異的な生物機械的性質を持ち、細胞の活性を調節している。この論文で論じられているマトリックス糖タンパク質であるフィブロモジュリンは、多数の結合組織で見つかっており、そこでは主として線維性コラーゲンに結合している。39kDaのコアタンパク質のアミノ酸配列は、他のコラーゲン結合性プロテオグリカンであるデコリンやルミカンと広範な相同性を示す。フィブロモジュリンは5ケ所のN-結合グリコシル化部位を持っている。これらの部位は発生の過程で調節を受けながら、ポリラクトサミン鎖で置換される。このポリラクトサミン鎖は様々な構造と硫酸化のパターンを示す。フィブロモジュリンの構造上の特徴を議論し、これら間質性の小型プロテオグリカンの仲間が、今まで想像されていたようなコラーゲン細線維形成の修飾という役割を越えて、他の機能を持つことを示した。
  • Koichiro Miyajima, Keiko Tanaka
    1992 年 4 巻 19 号 p. 457-463
    発行日: 1992/09/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    リポソームの凍結融解、および凍結乾燥に及ぼす糖の保護機構に関して、内水相マーカーの漏出、ラマンおよびNMR分光、熱分析 (DSC) を用いて研究した。凍結状態ではリポソームの表面は濃厚な糖水溶液またはガラスで覆われ、氷晶からの機械的破壊やリポソームの融合から保護される。単糖、二糖、そして三糖は、単糖ユニットあたり同じような保護作用を示した。乾燥過程では、レシチンの極性基であるリン酸基に水和した水分子は糖分子によって置換され、リポソームは液晶状態を保たれる。液晶状態の脂質膜は再水和過程で強い安定性を示した。二糖と凍結乾燥されたこのリポソームは、リン酸基と適当な分子の大きさを持つ糖分子との水素結合が重要であることを示している。
  • ウィーガント ヘルベルト, 伊東 信
    1992 年 4 巻 19 号 p. 465-467
    発行日: 1992/09/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
  • ダムレ シュリダールP., 山形 達也
    1992 年 4 巻 19 号 p. 469-471
    発行日: 1992/09/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
  • 東 順一
    1992 年 4 巻 19 号 p. 473-475
    発行日: 1992/09/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
  • 福井 宏至
    1992 年 4 巻 19 号 p. 477-478
    発行日: 1992/09/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
  • Kazuaki Kakehi
    1992 年 4 巻 19 号 p. 479-482
    発行日: 1992/09/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
  • Junko Kato
    1992 年 4 巻 19 号 p. 483-488
    発行日: 1992/09/02
    公開日: 2010/01/05
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