Trends in Glycoscience and Glycotechnology
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6 巻, 29 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 糖鎖生物学者への機会と挑戦
    Subroto Chatterjee, Nupur Ghosh, 新村 幸雄
    1994 年 6 巻 29 号 p. 187-198
    発行日: 1994/05/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    ラクトシルセラミドは多くのスフィンゴ糖脂質生合成において大切な役割をもっている。従って、その調節に関与する生化学機構は、それ自身およびその関連化合物の生物活性に大きなインパクトを与える。この総説では低密度リポタンパク質 (LDL) によるラクトシルセラミド生合成調節の役割に焦点をおく。我々は正常に機能するLDL受容体をもつ正常細胞で、UDP-Gal: グルコシルセラミド1,4ガラクトース転移酵素 (GalT-2) がLDLにより調節され、ラクトシルセラミド生合成が抑制される証拠を提示する。これとは逆に、LDL受容体を欠く場合、例えばホモ接合型の家族性高コレステロール血症あるいは腎癌の場合に、LDLはLDL-受容体非依存性経路 (“スカベンジャ-経路”) により細胞内に入り、GalT-2を促進的に調節しラクトシルセラミドの細胞内レベルを増加させる。本総説ではさらに、酸化されたLDLのシグナル伝達によって大動脈平滑筋細胞の増殖が誘導され、GalT-2が動脈硬化の病態生理における極印としての役割をもつことを議論する。
  • G. Mugnai, E. Barletta, A. Mannini, 大須賀 壮
    1994 年 6 巻 29 号 p. 199-214
    発行日: 1994/05/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    ガングリオシドなどの細胞表面の構成成分がフィブロネクチンをふくむ細胞外環境中のいくつかの生体活性物質を認識できる事実により、昔から接着過程に高級ガングリオシドが関与すると考えられていた。つまり、初期の研究では高級ガングリオシドがフィブロネクチンの受容体として機能している可能性が調べられた。しかし、ガングリオシドのフィブロネクチン受容体としての役割が納得いくまで立証されたことはなかった。さらに、インテグリンがマトリックス接着性タンパク質の細胞表在性糖タンパク質受容体であることが分かり、細胞接着におけるガングリオシドの役割は不確かなものとなった。
    その後、接着部位の分子構築の、言い換えれば細胞の組織培養基質への接着を仲介する構造の、観察からそこに高級ガングリオシドが優先的に分配されていることが分かった。さらに、接着部位でインテグリン受容体と高級ガングリオシドが一緒に存在していることも分かった。これらの発見により、高級ガングリオシドが細胞接着に関与している可能性を再び髣髴させ、高級ガングリオシドとインテグリンのような細胞接着に関与する構成成分間での相互作用に焦点が定められた。実際、細胞外マトリックス中のリガンド (フィブロネクチンやビトロネクチン) に対するインテグリン受容体の親和性を制御することで、ガングリオシドがインテグリンの機能に影響を及ぼすことが明らかにされた。さらに、ガングリオシドによりインテグリンの機能制御が神経細胞の分化に影響することが示された。つまり、高級ガングリオシドはインテグリン機能の膜結合型調節因子として働いているのであろう。
  • Kunihiko Suzuki, 佐藤 いずみ
    1994 年 6 巻 29 号 p. 215-227
    発行日: 1994/05/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    通常はリソソーム内に局在している一連の比較的小さな糖タンパク質が、短い親水性の先端基をもったスフィンゴ糖脂質の生理的分解の補助因子として機能する。GM2活性化因子タンパク質の遺伝子欠損では、テイサックス病の古典的幼児型と本質的に区別できない臨床上および生化学上の表現型になる。ヒトの第5染色体上にあるある単一遺伝子がGM2活性化因子タンパク質をコードする。2つの相同タンパク質sap-Bおよびsap-Cの遺伝子欠損は、それぞれ異染性白質萎縮症およびゴーシェ病と似ている障害を引き起こす。さらに2つの推定上の活性化因子タンパク質sap-A、sap-Dも、in vitro でいくつかのスフィンゴ脂質の分解を活性化することが知られている。しかしながら、in vivo のsap-A、sap-Dの生理学的意義は確立されていない。sap-Aあるいはsap-Dの特定の遺伝子欠損によって引き起こされた病気の状態が知られていないのである。4つの sap タンパク質はすべて互いに相同性があり、おそらく翻訳後タンパク質分解プロセシングによって、第10染色体の遺伝子の単一前駆体翻訳産物によって産生されている。最近、ある一家族内において、スフィンゴ脂質活性化因子遺伝子の開始コドンに突然変異が起こった二人の患者が同定された。患者のすべての繊維芽細胞では、前駆体タンパク質、そして結果的には4つのスフィンゴ脂質活性化因子タンパク質すべてが欠損していた。その患者は複雑な病理、そしていくつかのスフィンゴ脂質の異常蓄積を呈した。それにより、sap-Aとsap-Dの両者は in vitro 実験で基質となる脂質に関しては in vivo でも活性化因子機能を持つが、必ずしも必要ではないことが示唆される。例えば、3つの sap タンパク質 (B、C、D) によりスフィンゴミエリン分解が in vitro では活性化されるにもかかわらず、これらを欠く患者の組織スフィンゴミエリンレベルには異常がなかったのである。これらの遺伝子欠損は、個々のスフィンゴ脂質活性化因子タンパク質の特異性を明らかにするのに役立っている。
  • Hans-Joachim Gabius, 平林 淳
    1994 年 6 巻 29 号 p. 229-238
    発行日: 1994/05/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    ヤドリギは、ケルト人によって伝統的にすべての病を癒す「万能薬」とみなされていたことが古代ローマの歴史家プリニウスによって記されている。しかし一方では、北欧神話にでてくるバルドルの物語のように、致死毒をもった兵器としての側面もあわせもつ。けっして科学的な根拠に裏付けられたわけではないが、こういった伝承が今世紀になってR. スタイナーがヤドリギ抽出物を癌治療へと用いるひとつのきっかけになった。今日の西ヨーロッパでは、いわば非科学的といえる種々のヤドリギ製剤が出回り、かなりの人気を博している。しかし、一般に主張されるような医学上の効用については、いまだに科学的な証明がなされておらず、無神論的立場をとる医学界での評価を受けていない。効用についての判断に際し明らかに障害となっているのは、市販の抽出物中に含まれる各化合物の濃度が明記されていないことだ。そこには生理活性を示す物質も含まれているはずだが、どのように処方すべきかも定っていない。このように、現状では真相解明以前の問題で、用いる側の願望が先行し、性状が明らかにされた物質を用いた無作為試験などによる将来につながる方策が取られていない。しかし、最近になって臨床研究へと発展させるべく、地道ではあるが着実な生化学的、細胞生物学的、そして実験動物を用いた研究がなされるようになってきた。ここで焦点を当てるのはヤドリギに存在するレクチンである。動物腫瘍モデルを用いた in vitro、in vivo の実験によると、ある種のガラクトシド結合性レクチンがさまざまな生物応答反応を調節することが示されている。レクチンによる免疫調節能の医療効果については早急には結論づけられないが、このような神話や伝説が伏線となって現在のレクチン研究が医療応用に向けて動き出そうとしている。
  • 吉田 友昭
    1994 年 6 巻 29 号 p. 239-241
    発行日: 1994/05/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
  • 鈴木 明身
    1994 年 6 巻 29 号 p. 243-244
    発行日: 1994/05/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
  • 平林 淳
    1994 年 6 巻 29 号 p. 245-246
    発行日: 1994/05/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
  • ワシントンでの糖質工学会議 (1994年2月28-3月2日) の報告
    Noboru Tomiya
    1994 年 6 巻 29 号 p. 247-252
    発行日: 1994/05/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
  • 父の足跡を慕って
    Donald L. MacDonald, 橋爪 斌
    1994 年 6 巻 29 号 p. 253-267
    発行日: 1994/05/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
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