Trends in Glycoscience and Glycotechnology
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7 巻, 35 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 多くの局面をもつタンパク質
    Arvan L. Fluharty, 佐藤 いずみ
    1995 年 7 巻 35 号 p. 167-189
    発行日: 1995/05/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    セレブロシドサルフェート活性化因子 (CS-Act) は、セレブロシドサルフェートや他の多くのスフィンゴ糖脂質の異化に関係する小さなタンパク質である。それはまた一般にSAP-1あるいはサポシンBとも呼ばれている。CS-Actは標的脂質に結合し、膜あるいはミセルからそれらを. 引き出し、水溶性酵素に近付きやすくすることによって機能すると考えられている。このタンパク質はおそらくこれらの脂質の膜間の輸送においても役割を果たしているにちがいない。熱やタンパク質分解酵素に対する異常なほどの安定性が注目され、内部ジスルフィドで安定化されている複合両親媒性ヘリックスバンドル構造が提案されている。CS-Actは、異染性白質萎縮症という珍しい疾患において欠損しており、その原因となる突然変異が明らかにされている。CS-Actタンパク質はずっと大きな前駆体、プロサポシンに由来し、それは関連する生化学活性を持つと考えられる構造的に類似したファミリーを生じる。比較的豊富なCS-Act、その他のサポシンおよびプロサポシンは、これらのタンパク質やメッセンジャーRNAの解剖学的および発生学的分布とともに、それらが最初に想像されていたよりもずっと奥深い生物学的役割を担っていることを示唆している。
  • Kurt J. Henle, Sunita M. Jethmalani, William A. Nagle, 伊藤 ユキ
    1995 年 7 巻 35 号 p. 191-204
    発行日: 1995/05/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    ストレスに対する細胞の応答は遺伝子発現制御のモデルであり、変化する環境に細胞が応答するために遺伝的に保存された機構のよい例である。細胞のストレスに対する応答には、糖鎖生物学的な因子がかなり関係している。こうした因子め性質はよく調べられてはいないが、“古典的な”熱ショックタンパク質 (HSPs) が機能するために必要であり、HSPsの機能を補うはたらきがある。この総説は、哺乳動物のストレス応答における糖鎖生物学的成分に焦点をあて、現在までに同定されているいくつかの主要な熱ストレス誘導糖タンパク質についてのべる。たとえば、GP50とGP62では遺伝子発現及びグリコシル化が熱許容性の誘導に伴って起こるが、P-SG67とP-SG64の場合には“敏速な”(すなわち、熱ストレス開始の数分内) グリコシル化が起こる。CHO細胞のGP50は、サーピンファミリーに属するレチノール酸で誘導されるマウスのJ6遺伝子産物とホモロジーがあるが、P-SG67とP-SG64は多くの機能を合わせ持つERタンパク質であるカルレチクリンのグリコシル化された変型である。この総説では、ストレス糖タンパク質のあり得る機能とそのHSPsとの関係について議論する。ストレス糖タンパク質に対する分子プローブを用いることにより、ストレス糖タンパク質の機能を理解する研究と、それらの糖タンパク質を生物工学に利用することが容易になるはずである。
  • Maria L. Jaramillo, J. C. Bell, 日向 昌司
    1995 年 7 巻 35 号 p. 205-221
    発行日: 1995/05/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    細胞接着分子 (CAM) は、細胞増殖や個体発生の重要な過程で、特に神経系において重要な役割を果している。この総説では、細胞接着分子であるカドヘリン、インテグリンおよび免疫グロブリンスーパーファミリーとさまざまなシグナル伝達系との関係に関する証拠を対象とする。また、CAMの働きは細胞接着や移動を調節するだけでなく、細胞増殖や分化因子に対する応答も直接調節する。この総説は神経誘導、神経芽細胞の移動、軸索の成長と誘導およびミエリン化のような、神経系における多くの発生過程の調節で、CAMとそのシグナル伝達系の果たしている役割に関する知見に焦占を合わせている。
  • A. Rebbaa, E. G. Bremer, J. Portoukalian, 大須賀 壮
    1995 年 7 巻 35 号 p. 223-234
    発行日: 1995/05/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    多くの腫瘍型において、その腫瘍をもつ患者の血清中でガングリオシド含有量が増加することが観察されている。また血清中のガングリオシド組成を調べた結果、変化したガングリオシド種は対応する腫瘍に多いものばかりであった。腫瘍に外科的処置を施すと血清中のガングリオシドは平常値に戻ることから、血液中で増加したガングリオシドは増殖中のガン細胞由来のものであると考えられる。シェディングは細胞にあるすべてのガングリオシドで見られるが、セラミド部分の構造によりシェディングの速度は異なり、C16からC20の長さの脂肪酸を含む分子種 (TLC上で見られる2重バンドのうち下側) の速度が非常に速い。血清中の組成を変化させるガングリオシドのシェディングの機構は完全には解明されていないが、どうやらガングリオシドは単量体としてシェディングされているらしい。実際、ラットの静脈にミセル状のガングリオシドを注射したところ、平衡状態に達したとき血清中のガングリオシドは高密度リポタンパク質と高い親和性を示し、アルブミンとも明らかに結合していた。一方、腫瘍からシェディングされたガングリオシドは内因性ガングリオシドと同じ組成を示し、その多くが低密度リポタンパク質と一緒に存在していたが、アルブミンには全く付いていなかった。in vivo では、シェディングされたガングリオシドが赤血球や白血球に取り込まれると、免疫調節に影響を及ぼす。低濃度では抗原として作用するが、量が多くなると免疫応答を阻害するようになる。しかしガングリオシドによる阻害の度合いは、オリゴ糖部分とセラミド部分の構造に依存する。マクロファージによるインターロイキン-1の産生と放出されたインターロイキン-1による胸腺細胞の活性化に対する効果がもっとも強い。
  • Paulo A. S. Mourão, Ricardo P. Vieira, 苅谷 豊
    1995 年 7 巻 35 号 p. 235-246
    発行日: 1995/05/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    硫酸化フコース多糖とフコース含有コンドロイチン硫酸は、棘皮動物の組織中に見い出されてきた主要な硫酸化多糖である。ナマコの結合組織には、多量のフコース含有コンドロイチン硫酸が存在する。この多糖は、コンドロイチン硫酸様の構造を示すが、β-D-グルクロン酸の3位に結合しそこから伸展する多数の硫酸化α-L-フコース(6員環)を有している。メチル化分析とNMRスペクトルによる解析から、枝分れフコース中のグリコシド結合の位置および硫酸化部位には、多様性があることが分かった。我々は、3,4-ジ-O-硫酸化-α-L-フコース(6員環)単位がグリコシド結合(1→2)を介して、4-O-硫酸化-α-L-フコース(6員環)に結合した2糖単位が主要成分であることを提唱した。これらのナマコのグリコサミノグリカンにみられる珍しいフコースの枝分かれ構造は、コンドロイチン硫酸骨格へのコンドロイチナーゼ類やヒアルロニダーゼ類の接近を妨げる。我々は、フコースの枝分かれ構造により、海洋環境中において存在する微生物の作用でナマコの体壁が消化されずにすむのではないかと考えている。
    棘皮動物由来の硫酸化フコース多糖は、4糖の繰り返し単位を有し、各残基は1→3-結合α-L-フコース(6員環)である。しかし、それらは、硫酸化の程度および位置において差異を示す。ウニのフコース多糖は次の構造を持つ:
    [3-α-L-Fucp-2(OSO3)-1→3-α-L-Fucp-4(OSO3)-1→3-α-L-Fucp-2,4(OSO3)-1→3-α-L-Fucp-2(OSO3)-1]n
    そして、ナマコでは次の構造を持つ:
    [3-α-L-Fucp-2,4(OSO3)1-3-α-L-Fucp-1→3-α-Fucp-2(OSO3)-1→3-α-L-Fucp-2(OSO3)-1]n
    この型の通常構造に関する報告は、これまでに見当たらず、褐藻類由来の同様な1→3-結合α-L-フコース(6員環)を骨格とする硫酸化フコース多糖類における無秩序な硫酸の置換構造と対比的である。
    棘皮動物において報告された硫酸化多糖は、動物のグリコサミノグリカンや海洋藻類の硫酸化多糖と共通の性状を有する。この観察は、これらの巨大分子の分子進化に関して興味ある疑問を喚起する。さらに、棘皮動物由来の硫酸化多糖は、生体高分子の生物活性あるいは工業的応用への新しいアプローチをデザインするうえで重要であろう。
  • 瀬古 玲
    1995 年 7 巻 35 号 p. 247-248
    発行日: 1995/05/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
  • 西本 友之, 茶圓 博人
    1995 年 7 巻 35 号 p. 249-250
    発行日: 1995/05/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
  • 平林 淳
    1995 年 7 巻 35 号 p. 251-253
    発行日: 1995/05/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
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