Trends in Glycoscience and Glycotechnology
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8 巻, 41 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 代謝に対する影響と応用
    A. Pusztai, S. Bardocz, 荒田 洋一郎
    1996 年 8 巻 41 号 p. 149-165
    発行日: 1996/05/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    食物に含まれるレクチンは、生理活性を持つ成分として重要であり、強力な外来性のシグナルとなる。食物中のレクチンの含量は大きく異なるが、消化管全体に劇的な影響を与え、消化管内の細菌の数、体の代謝、健康にも大きく影響する。レクチンの強い効果は、腸におけるタンパク質分解に対する抵抗性、腸の上皮細胞表面 (高等動物から下等生物に至るまで) に発現している内在性受容体に対する特異的、かつ高い化学反応性に由来する。経口であれ、非経口的であれ、取り込まれたレクチンは強力な免疫原となり、その生理作用が複雑にからみあって免疫機能に干渉することもある。しかし、レクチンの初期効果やバイオシグナルとしての能力は、糖鎖との特異的な化学反応の直接の結果である。こういった反応を想定すれば、レクチンを臨床医学的に、病原体、免疫系刺激物質、ホルモン調節因子、代謝活性化物質の阻害剤として利用したり、トランスジェニック植物における内在性の殺虫剤として利用するといったことが将来的に見込める。
  • 構造、機能、グリコサミノグリカンによる制御
    Louise Richardson, Ralph H. Schwall, Thomas F. Zioncheck, 石原 雅之
    1996 年 8 巻 41 号 p. 167-182
    発行日: 1996/05/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    散乱因子 (SF) とも呼ばれる肝細胞増殖因子 (HGF) は、上皮-間充識細胞間相互作用における重要なパラクリン伝達分子である。この因子は間充識細胞によって分泌され、上皮細胞の増殖、移動、形態に影響を与える。この因子の多様な生物活性は、c-Metと呼ばれる高親和性チロシンキナーゼ受容体との結合 (Kd=0.1-0.5nM) とその活性化によって起こることが知られている。c-Met受容体は多くの上皮や内皮細胞によって発現されているが、間充識細胞には存在しない。c-Metに加えて、HGF/SFは、ヘパリンや細胞表面ではヘパラン硫酸プロテオグリカンとも結合する。この親和性はc-Metの場合と比べて10倍弱い (Kd=1-5nM)。ヘパラン硫酸由来オリゴ糖断片のサイズや電荷密度はHGFとの結合親和性を決める要素であるが、それはFGFのものとは異なることが知られている。細胞培養において可溶性のヘパリンやヘパリン様分子をHGF/SFとともに添加すると、増殖因子の多量体化を引き起こし、細胞増殖促進活性を増強する。最近のデータは、HGF/SFそしてNK1やNK2と呼ばれる削除型異性体への細胞の反応性は細胞表面型ヘパラン硫酸プロテオグリカンによって決まることを示している。これらのデータを基にして、私たちは、ここで繊維芽細胞増殖因子の場合と類似のモデルを提案する。このモデルでは可溶性ヘパリン様分子 (あるいは細胞表面型ヘパラン硫酸プロテオグリカン) が安定なHGF/SFの多量体を形成させ、続いてc-Metレセプターの二量体化や細胞内シグナル伝達を引き起こしていく。
  • その性質と生合成
    Mary C. Gannon, Frank Q. Nuttall, 高田 洋樹
    1996 年 8 巻 41 号 p. 183-194
    発行日: 1996/05/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    グリコーゲン分子の合成は、glycogenin と呼ばれるタンパク質ヘグルコース残基が線状に付加されることによって開始されることが一般に受け入れられている。グルコース残基の付加は glycogenin 自身により触媒され、それによって生じた産物は他の酵素によって枝付けされ伸長される。この過程は骨格筋において最もよく研究されている。骨格筋ではすべての glycogenin 分子がグリコーゲンに取り込まれた形で存在する(1)。したがって、グリコーゲン分子はすべてプロテオグリカンであると考えられている。
    肝臓においては glycogenin は遊離の状態で存在する。すなわち絶食状態では glycogenin はプロテオグリコーゲン分子に取り込まれず、その後の給餌によってのみ取り込まれる。さらに、大部分のグリコーゲン分子はプロテオグリカンではなく、glycogenin とは独立に存在することが予備的な実験により示されている。したがって、肝臓におけるグリコーゲンの性質と生合成過程は骨格筋におけるそれらよりもずっと複雑であるらしい。グリコーゲンの多様な形態の制御も複雑であるようだ。
  • 佐々木 克敏
    1996 年 8 巻 41 号 p. 195-215
    発行日: 1996/05/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    糖タンパク質や糖脂質上のシアル酸含有糖鎖は、細胞接着やレセプター認識などの多くの生物学的現象と関係している。シアル酸含有糖鎖の構造上の多様性とその制御された発現様式は、それらの機能と関連していると思われる。シアル酸含有糖鎖の生物学的機能やそれらの発現制御機構を解明するうえで、シアル酸転移酵素遺伝子は非常に有用である。これまでに12種のシアル酸転移酵素遺伝子がクローン化された。酵素学的な解析により、複数の酵素が同じ糖鎖構造を合成しうることが明らかとなった6個々のシアル酸転移酵素遺伝子は、組織、細胞、発生段階によりそれぞれ特異的な発現パターンを示し、細胞表面糖鎖のシアリル化の様式を転写レベルで制御していることが明らかとなった。クローン化されたシアル酸転移酵素cDNAを用いて、特定のシアル酸含有糖鎖の生物学的機能が直接証明された。また、シアル酸転移酵素cDNAの取得により、シアル酸含有オリゴ糖の大量合成や、医療用の組換え糖タンパク質の糖鎖構造の改変が可能になった。シアル酸含有糖鎖の機能を理解することは、新しい医薬品の創製を含む多くの応用へ繋がるであろう。
  • 平林 淳
    1996 年 8 巻 41 号 p. 217-218
    発行日: 1996/05/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
  • 鈴木 匡
    1996 年 8 巻 41 号 p. 219-220
    発行日: 1996/05/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
  • N-型糖鎖の“非リソソーム”異化過程の最初のステップ
    鈴木 匡
    1996 年 8 巻 41 号 p. 221-222
    発行日: 1996/05/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
  • 1996 年 8 巻 41 号 p. 223-224
    発行日: 1996/05/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
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