学術の動向
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27 巻, 7 号
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特集
ELSIを踏まえた自動車の自動運転の社会実装に向けて
  • 永井 正夫
    2022 年 27 巻 7 号 p. 7_11
    発行日: 2022/07/01
    公開日: 2022/11/25
    ジャーナル フリー
  • 鎌田 実
    2022 年 27 巻 7 号 p. 7_12-7_13
    発行日: 2022/07/01
    公開日: 2022/11/25
    ジャーナル フリー
  • 小林 傳司
    2022 年 27 巻 7 号 p. 7_14-7_17
    発行日: 2022/07/01
    公開日: 2022/11/25
    ジャーナル フリー

     近年、新興科学技術研究において言及されることが多い、ELSI(Ethical, Legal, and Social Issues)研究の誕生の背景を概観し、21世紀においてELSIがRRIへと変容していることの意味を検討する。その上で、今後日本がELSI研究に取り組むうえで留意すべき事項を述べる。

  • 唐沢 かおり
    2022 年 27 巻 7 号 p. 7_18-7_21
    発行日: 2022/07/01
    公開日: 2022/11/25
    ジャーナル フリー

     科学技術の急速な進展がもたらす諸問題を背景に、ELSIへの関心が高まっている。倫理・法制度・社会的課題を予見的に考察しながら、人や社会と科学技術のより良い関係に向けた意思決定が求められている。そのような認識の元、2020年度からRISTEXのELSIに関する研究開発プログラムである「科学技術の倫理的・法制度的・社会的課題(ELSI)への包括的実践研究開発プログラム」が開始された。本稿では、その概要について紹介した後、ELSIへの取り組みが「どのような社会的価値を実現したいか、また実現すべきか」という根源的な観点からの問いを必要とすることおよびその取り組みである「根源的問いと言説化」というプログラム特徴に触れる。最後に、自動運転を対象としたELSI研究が、科学技術のELSI研究全体を牽引する役割を持つ可能性について指摘する。

  • 橋本 正裕
    2022 年 27 巻 7 号 p. 7_22-7_26
    発行日: 2022/07/01
    公開日: 2022/11/25
    ジャーナル フリー
  • 今井 猛嘉
    2022 年 27 巻 7 号 p. 7_27-7_32
    発行日: 2022/07/01
    公開日: 2022/11/25
    ジャーナル フリー

     自動運転技術のレベル4(L4)の実用化が近づく中、関連する法的問題の検討が急務となっている。L4で走行する車両では、その乗員は当該車両の運転者ではないが、車両外からその挙動を遠隔操作する者を運転者と認定できるか、その場合、運転者は如何なる義務を負うのかは、解明されていない。L4でも、交通事故は起こり得る。例えば、L4で走行中の車両が、予期せぬ挙動をして自車に向かってきた対向車との衝突を避けるため、進路を変更した結果、歩行者に自車を衝突させて死亡させることも、起こり得る。この場合、誰が(刑事)法的責任を負うのか。自動運転を制御するアルゴリズム作成者か、自動車販売会社か、乗員か。これらの問題の法的解決策を示さない限り、自動運転車の社会的受容性は確保されない。この検討に際しては、様々な倫理観が併存すること、特定の倫理観の強制は法律の守備範囲を超えることを踏まえつつ、事故に起因する損害の社会的最小化が求められる。

  • 中野 公彦
    2022 年 27 巻 7 号 p. 7_33-7_38
    発行日: 2022/07/01
    公開日: 2022/11/25
    ジャーナル フリー

     運転手を不要とするレベル4の自動運転を目指したバス(モビリティサービス)の実証実験が行われ、それを実現するための法制度の整備も進められている。ただし、様々な道路利用者と同じ空間を共有する一般道走行を考えた場合、機械であっても事故を起すリスクをゼロにすることはできない。機械が起こした事故を社会が受容し、科学技術イノベーションが適切に社会実装されることを目指して行われている、ELSIを踏まえた自動運転技術の現場に即した社会実装手法の構築への取り組みを紹介する。バスの実証実験走行を行い、そのデータの可視化を図り、住民に自動運転に触れる機会を提供する。科学技術コミュニケーションを通じて技術を適切に理解してもらい、法的、制度の課題を挙げ、住民から意見を基に論点を抽出する。それらの活動から、レベル4自動運転のモビリティサービスを全国、そして海外に展開できるモデルを構築することを目指す。

  • 谷口 綾子
    2022 年 27 巻 7 号 p. 7_39-7_45
    発行日: 2022/07/01
    公開日: 2022/11/25
    ジャーナル フリー

     自動運転車(AVs:Automated Vehicles)の社会的実装が現実味を帯びている。本稿では、RISTEXのRInCAに採択されたプロジェクト(代表:中野公彦東京大学教授)で推進されている、AVsの社会的受容に向けた課題を定量的/定性的に把握した成果の一部を紹介する。具体的には、日本におけるAVsの新聞報道の経緯を概観する。その上で、AVs開発や実装を巡る様々な論調に対する人々の意識、AVsの公道実証実験を巡るNIMBY問題について日本とドイツで比較分析した結果(東京23区、愛知県、ベルリン都市圏、ルール工業地帯の各500名、計2,000名を対象に2020年5月にWEBにて実施)を紹介する。そして「クルマ」がわが国で受け入れられてきたプロセスの一端を把握すべく、高度経済成長期のNHK番組にみる自動車の社会的受容を交通事故対策に着目して紹介する。

  • ──人と技術の信頼を考える
    遠藤 薫
    2022 年 27 巻 7 号 p. 7_46-7_50
    発行日: 2022/07/01
    公開日: 2022/11/25
    ジャーナル フリー

     社会学の視座から自動運転技術を考えるとき、三つのアプローチがあり得る。第一は、現代の社会的課題に対して、自動運転技術は、どのようなソリューションとなり得るか、というアプローチである。第二は、自動運転技術の社会的受容の問題である。新しい技術が、その特質を活かして、人びとの生活に埋め込まれていくためには、どのような点に留意しなければならないか、という問題である。第三は、自動運転技術がサイバー−フィジカル連携システムの重要な一部を構成するという問題である。本稿では、この三つのアプローチのそれぞれについて概括的に検討し、人と技術の信頼関係の構築を論ずるものとする。

  • 鎌田 実
    2022 年 27 巻 7 号 p. 7_51-7_55
    発行日: 2022/07/01
    公開日: 2022/11/25
    ジャーナル フリー

     自動運転に関する取組みが本格化したのは2013年で、その後2020年に向けての目標が定められ、それがほぼ到達し、次なる目標として2025年40か所での自動運転移動サービスの社会実装が掲げられている。これに向けて、RoAD to the L4という名称のプロジェクトがスタートして、技術開発から社会実装までの取組みが強化されている。

     本稿では、こういった取組みを紹介し、技術の現状と最近の動向を概説する。

  • 中野 公彦, 遠藤 薫, 鎌田 実, 佐治 友基, 橋本 正裕, 今井 猛嘉, 谷口 綾子
    原稿種別: ディスカッション記事
    2022 年 27 巻 7 号 p. 7_56-7_67
    発行日: 2022/07/01
    公開日: 2022/11/25
    ジャーナル フリー
  • 中野 公彦
    2022 年 27 巻 7 号 p. 7_68-7_70
    発行日: 2022/07/01
    公開日: 2022/11/25
    ジャーナル フリー

     ELSIを踏まえた自動車の自動運転の社会実装を目指して、学術フォーラムで議論が行われた内容を整理し、今後の議論の方向性を述べる。生命科学分野で議論されることが多かったELSIも、社会に大きな変化を与える自動運転の実装が近づき、議論を行う必要が出てきた。法的整備も進められている中ではあるが、倫理的、また法的な検討課題が多く残っている。社会受容性については、過去の技術イノベーションの社会実装例を参考にしながら、境町での実践例を中心に議論された。自動運転を目指したモビリティサービスの定期運行が行われているが、その目的は、自動運転によって移動の過度な乗用車依存を改善し、過疎化、高齢化が進む町の課題解決と活性化を図ることであることが明らかになった。自動運転の社会実装のためには、住民が幸福になる地域社会の未来像を描き、自動運転の社会的便益を認識し、そのリスクとコストを受け入れることが重要である。

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