東北森林科学会誌
Online ISSN : 2424-1385
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ISSN-L : 1342-1336
10 巻, 2 号
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特集「東北地方の松くい虫被害を見直す」
記録
論文
  • : 媒介昆虫抑制のための戦略と秋田の海岸マツ林における取り組み
    星崎 和彦, 佐野 さやか, 桜庭 秀喜, 田渕 範子, 吉田 麻美, 及川 夕子, 蒔田 明史, 小林 一三
    原稿種別: 論文
    2005 年 10 巻 2 号 p. 82-89
    発行日: 2005/09/30
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    秋田市の海岸林でマツ材線虫病被害木の炭化による防除活動を開始したので,その根拠を検証するとともに,新しい防除戦略を提案した。北東北のマツ材線虫病は,被害木が年間を通じて発生し,マツノマダラカミキリ成虫は夏枯れ被害木のみに産卵するという特徴がある。調査地ではマツノマダラカミキリの羽化脱出は6月後半から始まっていた。したがって効率的な防除のためには,7月以降に衰弱した夏枯れ被害木を特定し,これを翌年の羽化脱出期までにもれなく処理してマツノマダラカミキリの個体数を抑制することが重要となる。またマツノマダラカミキリの幼虫は,被害木の樹冠内の細い幹や枝に多かった。よって確実な防除のためには末木枝条を残さず処理する必要がある。炭化防除法には,枝条が焚き付けに利用されることでもれなく処理される利点がある。また今まで捨てられてきた被害木を木炭,木灰,木酢液という生物資源として再利用する点で資源循環的でもある。さらに,炭焼き自体にはボランティア参加者を自然増加させる効果があり,定期的に炭焼きを行うことで被害の早期発見等に市民の監視が効く可能性もある。今後,防除効果をモニタリングする必要がある。
報文
論文
  • 澤内 寧子, 野堀 嘉裕
    原稿種別: 論文
    2005 年 10 巻 2 号 p. 100-105
    発行日: 2005/09/30
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    本研究ではヒノキアスナロの年輪幅をデジタルカメラで撮影した画像で解析し,個体・産地ごとに年輪幅変動に同調性があるかどうかを調べ,ヒノキアスナロで標準年輪曲線が作成できるかを試みた。材料は青森県内の6産地から採取された材12本分である。1個体につき2〜4方向において撮影した画像から年輪を読んだ。実測年輪幅を標準化後に個体内・産地ごと・青森県内全体でクロスデーティングし同調性があるかを調べた結果,全ての個体内で非常に高い相関を示した。また産地内においても個体間で有意水準1%で高い相関関係があった。その後,青森・津軽・下北地域ごとに産地間で相関関係を調べたところ有意水準1%で有意であった。さらに青森県全体で相関をみたところ3地域間共に高い相関が得られた。このことより,ヒノキアスナロの年輪幅変動は個体内ではもとより産地・地域さらに県内全体できわめて高い同調性を示していることがわかった。これより,すべての標準値を平均することにより青森県全体で1758年から1990年の232年分のヒノキアスナロの標準年輪曲線を作成することができ,ヒノキアスナロの井戸枠材や柱材の年代特定に利用できる可能性も示唆された。
報文
記録
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