土壌構造を壊さず現地環境により近い条件で測定可能なレジンコア法を適用して野外培養し,表層土壌の窒素無機化の定量を試みた。現地窒素無機化の測定は土壌とイオン交換樹脂からなるカラムを現地に約1年間野外培養し,回収した土壌とイオン交換樹脂中の窒素量をもとに算出した。培養終了後に回収した土壌中に残存する窒素量は少なく,窒素無機化に及ぼす影響は小さかった。また,土壌と樹脂に残存する合計窒素量に占める土壌中の割合は小さく,無機化した窒素の大部分が樹脂中に移動,吸着していた。これらから,レジンコア法による現地窒素無機化速度の定量が可能と考えられた。本研究から得られた表層深さ5cmまでの年間の現地窒素無機化量は20.6〜55.6kgN ha
-1yr
-1であり,無機化率は1.4〜5.2%であった。A
0層および土壌から無機化した窒素量はより乾性な尾根の土壌の方が斜面上部の土壌に比べて多く,またアンモニア態窒素の割合が高かった。尾根の土壌では林内雨,A
0層,鉱質土壌からの供給窒素合計量に占めるA
0層の割合が斜面上部に比べて高かった。
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