東北森林科学会誌
Online ISSN : 2424-1385
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12 巻, 2 号
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論文
  • —陸前高田市有林旧矢作町財産区の事例—
    佐々木 一也, 岡田 秀二
    原稿種別: 論文
    2007 年 12 巻 2 号 p. 49-58
    発行日: 2007/09/30
    公開日: 2017/07/27
    ジャーナル フリー
    本研究は,陸前高田市の旧矢作町財産区有林を事例として取り上げ,成立時期から昭和終期における財産区有林の利用と管理の実態を明らかにすることを目的としたものである。調査は,聞き取り調査と,資料・文献調査によって行った。はじめに,成立時期の姿を整理し,次にその後の管理運営の展開の整理を行った。その上で,昭和終期における利用状況について,農林家からの聞き取り調査結果も踏まえながら分析した。その結果,かつてと同じように村民と強い結びつきがあった財産区有林は,徐々に部落・集落の主導にかかる利用の減退や経営事情の悪化が認められるようになったものの,昭和終期においても,シイタケ原木の払下げを中心とする利用が行われていたこと,また,分収林契約において,地域的まとまりを基礎とするものがなお重要な位置を占めていたことが明らかになった。地域の農林家と財産区有林との関わりに,弛緩は認められたが消滅はしておらず,そのことは財産区有林が古くから村民の生活を支えてきたことを背景としていると考える。旧財産区有林と地域農林家との関わりのその後の展開を把握し,これからのあり方について考察を進めることが今後の課題である。
  • —宮城県登米町森林組合を事例対象として— (英文)
    小川 三四郎
    原稿種別: 論文
    2007 年 12 巻 2 号 p. 59-76
    発行日: 2007/09/30
    公開日: 2017/07/27
    ジャーナル フリー
    近年の山村住民の雇用と暮らしの維持が深刻化する中で,木材生産物に限定しない多様な地域資源による地場産業の確立が地域社会発展の原動力となることから重要である。本論文では,宮城県登米町森林組合を事例対象として聞き取り調査をもとに分析した。その結果,登米町森林組合は,小規模経営の優位性の上で地域の生産者へ接近し,1970年代から地域の生産組織の組織化と協業によって,1994年には特産事業を創設し,身近な地域資源による地場産業の確立に寄与してきたことが明らかになった。登米町森林組合の生産組織の形質は,非木材生産物も含めた多様な事業展開にもとづき,林業労働力確保としての垂直的拡大だけではなく,1970年代以降は水平的拡大となって発現したといえる。今後は,生産者,労働者が自主管理する生産組合として,経営参画や待遇面での保障等を図ることなどが課題であると考えられた。
  • 中村 充博, 鈴木 祥悟, 由井 正敏
    原稿種別: 論文
    2007 年 12 巻 2 号 p. 77-80
    発行日: 2007/09/30
    公開日: 2017/07/27
    ジャーナル フリー
    アカゲラはマツ材線虫病を伝搬するマツノマダラカミキリの幼虫を捕食し,その捕食率は生息密度が高いほど高いことから,マツ材線虫病の防除に役立つと考えられる。アカゲラの生息密度の高い森林タイプを明らかにし,どのような森林へ転換すればよいのか提言することを目的として,過去のセンサスデータを森林タイプによって分類して解析した。その結果,アカゲラの生息密度を高めるのに最適な森林タイプは,針広混交林で中層に広葉樹がある場合であった。マツ材線虫病の蔓延が懸念される林分では,マツ単純林から上層及び中層に広葉樹が混交するような森林タイプへ転換することが有効であると考えられた。
報文
  • 玉田 克志, 更級 彰史
    原稿種別: 報文
    2007 年 12 巻 2 号 p. 81-84
    発行日: 2007/09/30
    公開日: 2017/07/27
    ジャーナル フリー
    菌根菌であるショウロの人工栽培技術の開発に関する試験,及び人為的にショウロ菌根合成を行った苗木のマツ材線虫病発病抑制効果に関する試験をおこなった。その結果,宿主であるマツの根元に培養菌糸体を埋設,接触させることで,野外での菌根合成苗の作出が可能であること,またこの苗木からのショウロ子実体形成が可能であることがわかった。さらに,この技術を用いてショウロ菌根合成をおこなった苗木のうち,マツノザイセンチュウ接種後も健全であったものには,菌根が多く形成されていたことを確認した。ショウロ菌根合成は,マツ材線虫病の発病抑制に効果がある可能性が示唆された。
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コラム
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