ケヤキ幼樹が高密度で生立している,オウシュウトウヒ(以下,トウヒ)強度間伐人工林1林分(1.1ha)を対象に,ケヤキ林縁からの距離がトウヒ人工林内の局所的なケヤキ幼樹密度に及ぼす影響を調査した。間伐されたトウヒ人工林と無間伐の広葉樹天然生林(1.2ha)は,ケヤキ林冠木にほぼ同様に隣接しているにも関わらず,トウヒ人工林内のケヤキ幼樹密度が有意に高かった。これは,間伐・集材作業による林床撹乱と林内光量の増加が主な要因と考えられる。トウヒ人工林内のケヤキ幼樹密度は,ケヤキ林縁から離れるほど,低かった。ただし,ケヤキ林縁から近い範囲でも,ケヤキ幼樹密度は2,220〜16,250本/haと,局所的に大きく異なると推定される。
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