近年,東北地方南部ではナラ類集団枯損被害が拡大している。森林の炭素吸収機能の評価,また里山の保全のためにもミズナラを主とする二次林の重量成長に関する情報は必要不可欠である。本研究では山形県鶴岡市内の中山間部にあるミズナラ二次林で樹幹解析と軟X線デンシトメトリーにより樹幹部の重量を求め,毎木調査データと合わせてミズナラ二次林樹幹部の炭素重量を推定した。樹幹部の容積密度は30年生以降連年値が急激に低下する傾向がみとめられたが,これは年輪幅の減少に伴い道管部の比率が増大するためと考えられた。樹幹部の材積と重量には極めて高い相関が認められた。毎木調査データから幹材積合計を求め,林分全体の樹幹部の重量を推定したところ,ミズナラの幹材積合計は316.4m
3/ha,その他の樹種は168.0 m
3/ha,合計484.4 m
3/haの蓄積,樹幹部の重量はミズナラが294.4 ton/ha,その他の樹種が63.2 ton/ha,合計で357.6 ton/haと算出された。炭素換算ではミズナラが147.2 ton/ha,その他の樹種で31.6 ton/ha,合計で178.8 ton/haとなった。
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