東北森林科学会誌
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15 巻, 1 号
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論文
  • 織部 雄一朗, 半田 孝俊, 田中 功二
    原稿種別: 論文
    2010 年 15 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 2010/03/31
    公開日: 2017/07/27
    ジャーナル フリー
    ヒバについて,ジベレリン(GA3)ペースト剤の剥皮挿入処理の着花促進効果を評価し,処理するクローンと処理時期による着花促進効果の違いを分析した。104個体から枝を3本ずつ供試し,2006年7月に,このうちの1枝には剥皮した部位にGA3ペースト剤を塗布し,他の1枝には剥皮処理を施し,残りの1枝は対照とした。GA3を投与しなかった枝には花はほとんど着生しなかった。GA3を投与したほとんどの枝には花が着生し,雄花の数は雌花の数よりも多かった。2006年7月に実施した実験結果をもとに供試木から,雌花が多いクローン,雄花が多いクローン,葉芽が多いクローンをそれぞれ3クローン選び,各クローンから3ラメットを供試した。各供試木の2枝には2007年7月に,別の2枝には2007年8月にGA3ペースト剤を剥皮挿入した。7月および8月の処理で着生した雌花の数と雄花の数には,クローンによって差が認められた(P<0.01)。8月の処理では7月の処理に比べて,着生する雌花の数には違いが認められなかったが,着生する雄花の数は減少した(P<0.01)。
  • 水田 展洋
    原稿種別: 論文
    2010 年 15 巻 1 号 p. 6-10
    発行日: 2010/03/31
    公開日: 2017/07/27
    ジャーナル フリー
    数ヵ所に保管したスギ小径丸太の約15ヶ月間にわたる含水率変化を調査した。初期含水率は平均145.7%,約15ヶ月後の含水率は平均27.8%となり,全ての丸太で含水率の減少が確認された。どの保管地点でも静置1ヶ月後から約5ヶ月後にかけて含水率が顕著に減少し,その後減少幅が小さくなる傾向が見られた。保管地点別では,アスファルト舗装の土場で最も含水率が減少した。保管地点間の一元配置分散分析を行ったところ,約4ヶ月後から保管地点間に有意差が見られた。丸太状態の林地残材は林内土場や林道端等に放置しても含水率の低下は期待できないと考えられてきたが,本研究では山土場や林内に放置した場合でもある程度含水率が低下した。乾燥期間はアスファルト舗装土場の場合5ヶ月程度が有効であり,それ以上放置しても含水率の低下は少ないと考えられた。層位については,全ての保管地点で下層の含水率が高くなった。本研究では下層丸太と地面の間には台木は敷かず,下層丸太は直に地面に接している状態であったため,接している地面の種類や含水状態によって下層丸太の含水率の低下状況が変わってくることが示唆された。
  • 杉田 久志, 高橋 利彦, 柴田 銃江, 星野 大介, 櫃間 岳, 八木橋 勉, 中村 克典
    原稿種別: 論文
    2010 年 15 巻 1 号 p. 11-19
    発行日: 2010/03/31
    公開日: 2017/07/27
    ジャーナル フリー
    落葉広葉樹下層の発達したアカマツ林においてアカマツが抜き伐りされた事例について,伐採前および伐採15年後の調査結果から林分構造の変化を解析した。伐採前にはアカマツの林冠層の下でコナラを主としてカスミザクラ,クリなどの高木性広葉樹が下層を形成し,アカマツ—広葉樹二段林の様相を呈していた。アカマツ伐採15年後には,コナラ,カスミザクラ,クリ,アカシデなどが高さ11〜23mの林冠層を形成したが,樹冠投影面積は9%を占めるにすぎなかった。高さ3〜10mの第2層では,クリ,ホオノキなどの高木種やヤマモミジ,コシアブラ,オオモミジ,コミネカエデなどの中高木種,エゴノキ,ヤマウルシなどの小高木種がみられた。胸高直径3cm以上の本数密度は,同等の上層平均樹高をもつ標準的なコナラ二次林と比較すると著しく低密度であり,林分の混みあいかたの指標である緊密度は0.26であった。このように,本調査地ではアカマツ抜き伐り後に成立したコナラを主とする落葉広葉樹林は伐採後15年を経ても疎林状態にあり,将来この地域にマツ材線虫病が侵入した場合にも一定程度の森林劣化は避けられないものと考えられる。
報文
  • —腐朽部の進展と関係づけて—
    橋本 良二, 伊藤 京平, 白旗 学, 森 茂太
    原稿種別: 報文
    2010 年 15 巻 1 号 p. 20-25
    発行日: 2010/03/31
    公開日: 2017/07/27
    ジャーナル フリー
    上層木の年齢が約50年のニセアカシア林で,立木の幹基部の応力波伝播速度と形成層近傍の木部組織の呼吸速度を測定した。立木の調査に先立ち,118の伐根について応力波伝播速度を測定し腐朽状態を調べた。腐朽木の本数比率は44%で,腐朽木は小径木から大径木にわたっていた。伝播速度は腐朽部無しのもので高く,腐朽部面積率の増大とともに低下し,両者の関係は二次式で近似された。立木39本について,伐根での調査結果を踏まえ,応力波伝播速度と呼吸速度との関係を腐朽の進展と関係づけて検討した。伝播速度と呼吸速度の関係は,呼吸速度0.002 μmol CO2 g-1 s-1以上では一定の関係は認められなかったが,それ以下では有意な正の相関が認められた。腐朽部の進展については,樹勢の衰退と無関係に起こるステージと密接に結びついて起こるステージがあるように推察された。
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コラム
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