東北森林科学会誌
Online ISSN : 2424-1385
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17 巻, 1 号
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論文
  • 杉田 久志, 猪内 次郎, 田口 春孝, 高橋 利彦
    原稿種別: 論文
    2012 年 17 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 2012/03/31
    公開日: 2017/07/26
    ジャーナル フリー
    カラマツ人工林で強度間伐と重機による地表攪乱を行ったことにより成立した岩手県小岩井農場山林のカラマツ—ウダイカンバ二段林において,上木の伐採によるウダイカンバを主とする下木の被害状況,ウダイカンバ被害木のその後の生存・死亡過程を調査した。ハーベスタによる伐倒・枝払い,ホイールトラクタによる全幹集材を行ってカラマツ・アカマツ上木を伐採したところ,ウダイカンバ下木の75%が重度の被害(根返り,幹折れ)を受けた。無被害のものは16%,軽度の被害(先折れ,幹曲がり)を合わせても25%で,局地的にみられるにすぎなかった。ミズナラなどに比べるとウダイカンバの被害は甚大であり,根返りが多いのが特徴的であった。重度の被害を受けたウダイカンバはその後ほとんどが枯損し,根元から萌芽枝を出して再生することなく死亡した。このように,上木伐採によりウダイカンバ下木は壊滅的な被害を受けることが明らかになった。カラマツ人工林からウダイカンバ林への誘導法として,ウダイカンバ更新後にカラマツ上木除去が必要となる強度間伐と地掻きを併用する方法は,上木除去の際にウダイカンバの壊滅的な被害を回避できないため,得策ではないと考えられる。
  • —福島県古殿町を例に—
    木村 憲一郎, 岡田 秀二, 伊藤 幸男, 岡田 久仁子
    原稿種別: 論文
    2012 年 17 巻 1 号 p. 8-15
    発行日: 2012/03/31
    公開日: 2017/07/26
    ジャーナル フリー
    平成22年度に公表された「森林・林業の再生に向けた改革の姿」のもと,国は森林計画制度の抜本的な改革に着手し,市町村森林整備計画についても所要の見直しを進めている。現在の計画に対してはこれまでに様々な問題が指摘されており,こうした実情を鑑みれば,新たな計画は現計画の地域実態に関する点検・評価を踏まえた上での見直しが求められるであろう。本研究では,福島県古殿町の取組事例をもとに現計画の運用実態を明らかにし,実効性の高い計画とするための条件整理を試みた。結果,現計画は立木竹の伐採行為に対する判断基準として活用されていたが,間伐や作業路網整備などの実行量が目標に達していないなど十分な政策効果が得られていないことが明らかとなった。この原因は,主に森林施業の多くが国の補助金等に依存し町の意思が反映されにくいこと,十分な執行体制が整えられていないこと,計画がそもそも地域の声を踏まえて作成されておらず,マスタープランとしての位置づけが徹底されていないことにあると考えられた。森林法が一部改正されたが,計画の実行性を高めるためには計画と各種補助事業の一体化,執行体制の強化,住民の積極参画が必要であると結論づけられた。
報文
  • 斉藤 正一, 長岐 昭彦, 新田 響平, 春日 勝年, 小笠原 信幸
    原稿種別: 報文
    2012 年 17 巻 1 号 p. 16-20
    発行日: 2012/03/31
    公開日: 2017/07/26
    ジャーナル フリー
    秋田県におけるカシノナガキクイムシ初発日の予測について,山形県での初発日を予測する回帰式を応用して検討した。カシノナガキクイムシの初発日の予測には,基準温度を10℃として4月1日から5月31日までの日平均気温で基準温度を上回る温度の差の積算温度を説明変数,予測する4月1日からカシナガの初発日を目的変数とした回帰式を用いればよい事がわかった。秋田県の予測には沿岸部は由利本荘のアメダスデータ,内陸部では湯沢のアメダスデータを用いることで,それぞれの回帰式で高い精度で初発日を予測が可能と考えられた。
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