東北森林科学会誌
Online ISSN : 2424-1385
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18 巻, 2 号
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論文
  • 杉田 久志, 高橋 利彦, 成松 眞樹
    原稿種別: 論文
    2013 年 18 巻 2 号 p. 29-36
    発行日: 2013/10/31
    公開日: 2017/07/26
    ジャーナル フリー
    岩手県雫石町の大滝沢試験地における15年間(1993〜2007)のウダイカンバの種子落下量年変動パターン,種子落下量と翌年実生発生量との関係,撹乱からの時間経過に伴う実生の発生・生残の推移について検討した。15年間に豊作年が1回(1995),並作が4回(1998,2000,2003,2005)出現し,並作以上の平均出現周期は3年であった。ウダイカンバの豊凶パターンはブナと同調していた。種子落下量が多いほど翌年多くの実生が発生しており,発生実生の主体は前年秋に供給された種子由来であることが示唆される。しかし,前年落下種子数に対する発生実生数の割合(実生発生率)はむしろ豊作の場合に低く,凶作の場合に高かった。凶作の場合の実生発生率増加は,落下種子数にかかわらず埋土種子由来の実生が一定量発生することに起因すると考えられる。風倒による林冠ギャップ形成後の年月の経過とともに,豊作・並作の場合の実生発生率は低下した。実生の消失は早い年代に発生したコホートほど緩やかであったが,撹乱11年後以降に発生したものは発生翌年春までにはすべて消失し,撹乱による実生発生・生存の促進には期限があることが示されている。
報文
  • —秋田県長坂試験地における無積雪期間の事例—
    岩谷 綾子, 金子 智紀, 和田 覚, 野口 正二
    原稿種別: 報文
    2013 年 18 巻 2 号 p. 38-42
    発行日: 2013/10/31
    公開日: 2017/07/26
    ジャーナル フリー
    間伐に伴う林況の変化と樹冠通過雨量との対応関係を明らかにするため,秋田県長坂試験地の上の沢と下の沢に間伐区(本数間伐率47%)を,中の沢に無間伐区を設定し,間伐前後3年間における無積雪期の樹冠通過雨量を観測した。間伐により林分の収量比数は上の沢が0.90から0.70へ,下の沢が0.80から0.59へ減少し,樹冠被覆率もそれぞれ5.5%,19.2%減少した。間伐前後3年間における樹冠通過率の平均値は,上の沢では82.1%から82.3%へ,下の沢では80.3%から82.8%へ,それぞれ0.2%,2.5%増加した。間伐による樹冠通過雨量の増加量を水量に換算すると,上の沢では2.4mm,下の沢では29.9mmに相当した。間伐による樹冠通過雨量の変化が小さかった要因の一つとして,過密なスギ人工林では樹冠構造が複層化しているため,下層間伐の場合は間伐後も上層に樹冠が多く残っていたことが考えられた。
  • 宮脇 辰也, 古瀬 茉衣子, 菅原 冬樹, 田中 修
    原稿種別: 報文
    2013 年 18 巻 2 号 p. 43-46
    発行日: 2013/10/31
    公開日: 2017/07/26
    ジャーナル フリー
    発光ダイオード(LED)の照射による,タモギタケとナメコ栽培への影響を検討した。その結果,タモギタケの菌糸成長は,暗黒培養と比較して青色,緑色光照射により抑制され,特に青色光では,白色蛍光灯とほぼ同じぐらいに抑制された。また,青色光照射により,菌糸体重量が暗黒と比べて減少した。一方,ナメコでは,光照射による菌糸成長の抑制ならびに菌糸体重量の減少は,観察されなかった。次に子実体形成に及ぼす光の影響を調査したところ,タモギタケは緑色光と青色光において,成熟した子実体が発生した。しかし,緑色光で生育した子実体の菌傘は白色をしており,変形が目立った。一方,ナメコは,すべての試験区で子実体が形成された。しかし,緑色,黄色及び赤色光では菌傘が小さく,変形が生じるほか,暗黒下では,菌傘色も薄くなった。以上から青色光は菌傘の着色に有効であり,この波長領域を含む白色光も正常な子実体形成と着色に効果があった。
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