東北森林科学会誌
Online ISSN : 2424-1385
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25 巻, 2 号
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論文
  • 和田 覚, 長岐 昭彦, 新田 響平
    原稿種別: 論文
    2020 年 25 巻 2 号 p. 29-36
    発行日: 2020/10/31
    公開日: 2021/12/21
    ジャーナル フリー
    秋田県内5カ所のブナ林で,シードトラップを用い,ブナの開花及び結実の状況を最長で18年間調査した。健全種子が200個/m²以上落下した豊作が複数の調査地で観測された年は,2005年,2013年,2015年,2018年の4回で,豊作の間隔は最短2年,最長8年,平均約5年であった。南部の調査地ほど開花数の年変動が大きい傾向にあり,その同調性について順位相関行列で検定した結果,北部の1カ所を除く4カ所で相互に相関が認められ,中でも奥羽山脈沿いの3カ所間で強い相関があった。豊凶の地域変異があるとされる北部,中央部,南部で雌花開花数と結実数との関係を解析した結果,南部では開花数が結実数に直接影響し,中央と北部では開花数に加え,種子食昆虫による食害率の影響を受けることが明らかとなった。このような秋田県におけるブナの豊凶の地域性は,積雪環境に応じた地理的クラインを反映している可能性がある。南部の結実パターンには山形県で開発された結実予測の基準指標が適用可能なのに対して,中央と北部では北海道の基準を適用するのが妥当である。
報文
  • 渡部 凌我, 斎藤 昌幸, 江成 はるか, 江成 広斗
    原稿種別: 報文
    2020 年 25 巻 2 号 p. 37-40
    発行日: 2020/10/31
    公開日: 2021/12/21
    ジャーナル フリー
    本研究では,東北地方日本海側に位置する,山形大学附属上名川演習林において実施されたカメラトラップにもとづく哺乳類相について報告する。カメラトラップ調査は以下の2通りの手順で実施され,一方は2014年,2016年,2018年,2019年 6月~7月に森林内部の獣道沿いにカメラを設置し,もう一方は2019年2月~2020年1月に林道沿いにカメラを設置した。これらのカメラトラップ(計3286カメラ日)から,13種の哺乳類を撮影することができた。ただし,2種類のカメラトラップ間では撮影された種数や割合が異なっており,カメラ設置場所や方法の違いが反映されている可能性が考えられた。本研究では山形県でも近年分布を広げているイノシシとニホンジカも撮影され, 今後これらの種の個体群の状況を確認していくことが重要だと考えられる。
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