東北森林科学会誌
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3 巻, 1 号
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論文
  • 國崎 貴嗣
    原稿種別: 論文
    1998 年 3 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 1998/02/25
    公開日: 2018/03/19
    ジャーナル フリー
    大分県のスギ人工同齢単純林における小班面積と直径分布との関係を,ワイブル分布を用いて解析した。生育段階別に小班面積と形状パラメータとの関係を調べたところ,13〜21mの生育段階において5%水準で正の相関関係が見られた。これは,13m階以上の任意の生育段階では,小班面積が大きいほど直径分布の正の歪みが弱くなることを意味する。このような直径分布の面積依存性は,直径の標準偏差が小班面積の増大に伴い減少するために生じる。小班内の局所的地位の空間分布,光を巡る個体間競争,間伐と関連づけて,直径分布の面積依存性に関する作業仮説を提唱した。
  • —沿海地方の2つの自然保存区を事例として—
    片平 修一
    原稿種別: 論文
    1998 年 3 巻 1 号 p. 7-11
    発行日: 1998/02/25
    公開日: 2018/03/19
    ジャーナル フリー
    自然保護区が生物多様性を保全するために重要であるということは世界的に周知の事実である。本論文ではそうした自然保護区のあり方についてを主要な論点としている。ロシアの自然保存区(Zapovedniks)は世界的にも先進的な制度であり研究者のために広大な調査地域を提供することを目的としている。その調査結果は市民に対して還元される。しかしながら自然保存区は正常には機能してこなかった。それゆえに多くの市民は自然保存区の意義を理解していない。さらにロシア市民は経済的困窮のために自然保護について考える余裕はない。以下の論述ではロシア沿海地方の自然保存区の現況について論じる。
  • 熊田 淳, 竹原 太賀司, 青野 茂
    原稿種別: 論文
    1998 年 3 巻 1 号 p. 13-17
    発行日: 1998/02/25
    公開日: 2018/03/19
    ジャーナル フリー
    ナメコ菌株の安定的かつ容易な保存方法を検討するために,市販種菌を木粉培地に接種し,1ヶ月間培養した培地を直接-85℃で1年間保存した。解凍後,保存ビン4部位の菌糸をPDA平面培地に接種した結果,全ての菌糸が再生した。再生菌糸4株の菌糸伸長速度は,4℃で保存した菌株と有意な差が認められず,扁平な菌叢部の出現率も4℃で保存した菌株より低かった-85℃保存ビン上部からの再生菌糸2株は,子実体収穫時期が保存前より3〜6日遅延したが,収量の低下は認められなかった。ビン下部の2株は,収穫時期,収量ともに変化が認められなかった。培養木粉培地を4℃で保存した菌株は,子実体収穫時期が10〜11日遅延し,収量が15〜23%低下した。寒天培地で継代し4℃で保存した菌株は,収穫時期が4日遅延したが,収量の低下は認められなかった。しかし,2ヶ月後に実施した寒天培地継代保存菌株の再試験では,収穫時期が11日遅延し収量が74%低下した。このように,供試菌株は従来の保存方法では栽培特性や菌叢が不安定であった。一方,木粉培地を直接凍結する保存法は,栽培特性と菌叢の安定性が保たれたことから,ナメコ種菌の実用的保存方法と判断された。
  • —1996年空調栽培現場より収集した菌株について—
    熊田 淳, 青野 茂
    原稿種別: 論文
    1998 年 3 巻 1 号 p. 19-23
    発行日: 1998/02/25
    公開日: 2018/03/19
    ジャーナル フリー
    1996年福島県下の同一種菌を用いた空調ナメコ栽培において,子実体収量の低下がみられた。培養培地または子実体から分離した3菌株について,栽培特性および菌叢と核相を調べ収量低下の原因を検討した。分離した1菌株は,対照株に比べ初回子実体収穫時期が10日遅延し,総収量が29%低下した。また,各培養ビンの子実体発生時期と発生量の同調性が喪失した。この菌株を6枚のPDA平面培地に植え継いだところ,4枚の平面培地で脱二核化し,気中菌糸が極めて少ない扁平な菌叢に変化した。他の2菌株については,子実体収穫時期の遅延と収量の低下は認められず,各培養ビンの子実体発生時期と発生量が同調した。しかし,これらの菌株をPDA平面培地に植え継いだところ,扁平な菌叢が部分的に出現した。以上のことから,今回の子実体収量の低下は,扁平な菌叢の出現と脱二核化に起因すると考えられた。
  • —宮城県内北上川水系迫川の花山ダム流域の場合—
    石井 正典, 大沼 良応, 荒木 志保
    原稿種別: 論文
    1998 年 3 巻 1 号 p. 25-31
    発行日: 1998/02/25
    公開日: 2018/03/19
    ジャーナル フリー
    1958年を基準にすると,現在の広葉樹蓄積は20%減少し,反対に針葉樹蓄積は50%増加した。なお,森林蓄積計は数%の減少で,全体的な林況の変化は小さい。以上の林況の変化と降水量・気温を用いて,河川流量への3変数の関わりを調べた。1.年間の流況に対する降水量,気温及び森林蓄積の影響を調べると,降水量の影響は常に大きい。一方,一部の流況を除き気温・森林蓄積の影響は小さい。すなわち,年間の流況に対する影響因子は降水量が中心となる。2.夏期の流況に対する降水量の影響は常に大きい。気温の影響は,平水時流量以下の流量で,その影響が認められる。一方,森林蓄積の影響は一部の流況以外は無視できる。すなわち,夏期の流況に対する影響因子は降水量・気温が中心となる。
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