東北森林科学会誌
Online ISSN : 2424-1385
Print ISSN : 1342-1336
ISSN-L : 1342-1336
4 巻, 2 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
論文
  • 酒井 秀夫
    原稿種別: 論文
    1999 年 4 巻 2 号 p. 1-6
    発行日: 1999/10/25
    公開日: 2018/03/19
    ジャーナル フリー
    タワーヤーダのけん引力を利用して集材と同時に枝払いを行う林内枝払い機械を皆伐に適用し,チェーンソーによる伐倒・枝払い後,数本まとめて集材する従来の全幹システムと,全木材を1本ずつ林内枝払い機を介しながら枝払い,集材する全木システムについて,立木1本当たりの処理時間を比較した。材が細くてチェーンソーの枝払い能率が良い場合,最大集材距離が100〜140m以下と短く,集材本数が3本/回以上になると,全幹システムの方が有利になる状況が生じる。しかし,最大集材距離が100m以上あり,材がある程度大きい皆伐作業においては,全幹システムとの作業能率の比較にこだわらなくてもよいことが確認された。枝払い機の燃料消費は0.13ℓ/m3で,プロセッサの1/12〜1/14,チェーンソー造材の1/6である。
報文
特集「東北地方の野生鳥獣の保全と森林管理」
報文
  • 斉藤 正一
    原稿種別: 報文
    1999 年 4 巻 2 号 p. 19-23
    発行日: 1999/10/25
    公開日: 2018/03/19
    ジャーナル フリー
    山形県におけるニホンツキノワグマの生息数と狩猟圧の関係を既往資料から検討した。ここ20年間で狩猟者が約半数になったのに対して,クマの生息数は約1400頭,捕殺数もその約1割で安定していた。クマの個体数推移の簡易モデルによりシュミレーションすると,生息数の約20%を捕殺すると個体群が絶滅する可能性があった。また,生息面積の小さな個体群では捕殺率が高く個体群を存続させるためには捕殺数の管理が必要であることが示唆された。
  • 大井 徹
    原稿種別: 報文
    1999 年 4 巻 2 号 p. 25-28
    発行日: 1999/10/25
    公開日: 2018/03/19
    ジャーナル フリー
    岩手県のニホンジカによるスギ造林木への食害発生時期は,餌植物の現存量が低い時期と一致し,被害の発生と餌の欠乏の関連が示唆された。また,枝葉食害はこの時期全般にわたって発生し,剥皮食害はこの時期後半にのみ発生した。被食部位のうち樹幹形成層部は一般栄養成分が高くリグニンが著しく少なかったが,シカの餌欠乏期後半には,この部分が肥大し,剥皮しやすくなるので樹皮食害が起こると推測された。しかし,この時期どのスギも一律に食害されるのではなく,造林地によって被害本数割合は大きく異なった。すなわち,被害程度は,局所条件によって左右されると考えられた。シカの糞粒密度はシカの生息地利用強度の指標と考えられているが,この糞粒密度が被害本数割合と有意な相関をしたので,シカの個体密度の低減が剥皮食害の軽減に有効であると推測できた。しかし,相関係数は小さく,その他にも被害程度に影響を与える要因があると考えられた。今後,シカ個体群の保全と被害の軽減を両立させるためにはこのようなシカの密度に依存しない被害要因を探ることが必要である。
  • 鈴木 祥悟, 由井 正敏
    原稿種別: 報文
    1999 年 4 巻 2 号 p. 29-31
    発行日: 1999/10/25
    公開日: 2018/03/19
    ジャーナル フリー
    東北地方のブナを主とする広葉樹林の繁殖鳥類は,樹洞営巣性鳥類が優占する群集組成となっている。森林の伐採は,樹洞営巣性鳥類の比率を低下させ林縁性鳥類の比率を高くする。樹洞営巣性鳥類の保護には,伐採率を低くし樹洞木を残存することが大切である。また,人工林での巣箱設置試験の結果,おもにシジュウカラの誘致・増殖に効果があった。樹洞営巣性鳥類を誘致して増殖する手段としては,巣箱の供与が有効であると考えられた。
  • 安藤 貴
    原稿種別: 報文
    1999 年 4 巻 2 号 p. 33-36
    発行日: 1999/10/25
    公開日: 2018/03/19
    ジャーナル フリー
    岩手県内のカラマツ人工林において生物多様性の保全を目的に,調査区を設け共存する広葉樹の調査をおこない,樹木群集の出現種数,多様度指数,林分階層多様度に検討を加え,多様性の実態を明らかにした。さらに生物多様性保全のためには混交複層林に誘導することが好ましいとして,共存広葉樹を利用して混交複層林に誘導する時期と方法について述べる。
  • 由井 正敏
    原稿種別: 報文
    1999 年 4 巻 2 号 p. 37-38
    発行日: 1999/10/25
    公開日: 2018/03/19
    ジャーナル フリー
    北上山系の生物多様性の保全を図るため,有史以来の本山系の開発の歴史と野生動物の盛衰との関係を検討し,盛衰の原因を把握するとともに,生息の現状を分析した。これらに基づき,生物多様性の保全上望ましい本山系の森林管理の方策を検討した。
記録
feedback
Top