エチオピアにおいては, とくに, その南西部にオンコセルカ病が存在することが知られ, また, 他のアフリカ地域で, そのベクターと判明している,
Simulium dannoswm, S. woodi などのブユが生息することが確認されていたが, 自然感染ブユは発見されなかった。筆者らは1971年同国に滞在し, 8月と11月に行なったbiting catch によって得た, 野外の
S. damnoswn から, 多数の
Onchocerca volvulusを得た。
Gojeb, Didessa 両河岸から得た個体約1000のうち, 975個体について解剖を行なった結果, 前者で10.2~12.9%, 後者で20.0~40.6%の陽性個体を得た。ブユ体内における
O. volvulus の発育段階別では, sausage typeのものが最も多かったが, 約11%の個体が発育終期のものを保有していた。
biting catchによって採集されたブユは, ほとんどが
S. damnosum であったこと, および, 他種のブユからは全くフィラリアが発見されなかったことから, エチオピアにおいても,
S. damnoswn がオンコセルカ病の主要媒介種であるという確証を得た。
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