Japanese Journal of Tropical Medicine and Hygiene
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1 巻, 1 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 伊藤 洋一, 板垣 博, テフェラ ウオンデ
    1973 年 1 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 1973/08/20
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    エチオピア産Biomphalaria属の2種の貝にエチオピア人の患者から分離したマンソン住血吸虫ミラシジウムを実験的に感染させ, その感受性を比較した。その結果, 各地から採取したB. Pfeifferi rueppelliiでは67~100%の感染率が得られたのに比し, B. sudanicaではわずかに9%の感染率しか得られなかった。また両種のエチオピアにおける分布状態を調査したところ, B. Pfezlfferi rueppelliiはエチオピア全土に亘り分布しているのに比し, B. sudanicaは南部湖水地区の一部の湖水にしかその棲息が認められなかった。
    これらの結果より, エチオピアにおけるマンソン住血吸虫の主要な中間宿主はB. Pfezifferi rueppelliiであると考えられる。
  • 田中 生男, 井上 義郷, 多田 功, 岩本 功, テフェラ ウオンデ
    1973 年 1 巻 1 号 p. 7-11
    発行日: 1973/08/20
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    エチオピアにおいては, とくに, その南西部にオンコセルカ病が存在することが知られ, また, 他のアフリカ地域で, そのベクターと判明している, Simulium dannoswm, S. woodi などのブユが生息することが確認されていたが, 自然感染ブユは発見されなかった。筆者らは1971年同国に滞在し, 8月と11月に行なったbiting catch によって得た, 野外のS. damnoswn から, 多数のOnchocerca volvulusを得た。
    Gojeb, Didessa 両河岸から得た個体約1000のうち, 975個体について解剖を行なった結果, 前者で10.2~12.9%, 後者で20.0~40.6%の陽性個体を得た。ブユ体内におけるO. volvulus の発育段階別では, sausage typeのものが最も多かったが, 約11%の個体が発育終期のものを保有していた。
    biting catchによって採集されたブユは, ほとんどがS. damnosum であったこと, および, 他種のブユからは全くフィラリアが発見されなかったことから, エチオピアにおいても, S. damnoswn がオンコセルカ病の主要媒介種であるという確証を得た。
  • 多田 功, 岩本 功, テフェラ ウオンデ
    1973 年 1 巻 1 号 p. 13-24
    発行日: 1973/08/20
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    エチオピア南西部のオンコセルカ症患者について皮膚切片からのマイクロフィラリア (mf) 遊出を定量的に検討した。にれは従来のSkinsnip法が定量的でないため, 精密なMFD (皮膚内mf密度) を必要とする実験のための検討である。その結果, 皮膚片は細切すべきでないこと, 更に生理的食塩水中でのインキュベート時間は十分長く行なうべきにとが明らかにされた。この方法で近接皮膚領域のMFDを計測した結果, きわめて満足すべき値を得た。唯この際, 大きさの極端に異なる皮膚片相互のMFDは多少異なるにとが判明した。にの定量的方法を用いて, 皮膚を温めた場合のMFDを測定したが加温による変動はまちまちで一定の成績を示さなかった。
  • テフェラ ウオンデ, 多田 功, 岩本 功
    1973 年 1 巻 1 号 p. 25-28
    発行日: 1973/08/20
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    エチオピア南西部には下肢象皮病患者が多く, その地域はまたオンコセルカ症の流行地でもある。従来より象皮病の成因については種々の説があるが, 著者らは本症とオンコセルカとの関連を追求するため, イルバボール州に住む下肢象皮病患者10名のそけい部リンパ節の組織学的検索を行なった。その結果, 9例のリンパ節についてオンコセルカのマイクロフィラリアを見出した。更に, リンパ節にはマイクロフィラリアないしはオンコセルカ感染に対するものと考えられる組織学的所見を認めた。こうしてリンパ系の閉塞が起こり, 二次的に下肢の象皮病が成立したと考えうる所見であった。この結果から, 従来東アフリカの象皮病の成因について, 非フィラリア性のものとする説に対し, 再検討を要すると結論する。
  • 塩川 優一, 村上 正中, 只野 寿太郎, 山田 俊彦
    1973 年 1 巻 1 号 p. 31-37
    発行日: 1973/08/20
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    Primary and secondary school children in Ryukyu Islands were subjected to throat culture for hemolytic streptococci (HS) to study the incidence of HS as a whole, group and type distribution, and the prevalence of rheumatic heart disease. The results were compared with those obtained in school children in Fuchu City of Tokyo Metropolis by the similar procedure.
    The incidence of HS as a whole was much higher in Hateruma, Ishigaki and Koza of Ryukyu Islands than in Fuchu City. In typing of group A streptococci by T-agglutination it was interesting to see that the dominant type in Hateruma and Ishigaki was T-11, while in Koza it was T-12, which was similar to the dominat type in Tokyo and other part of Japan. The incidence of rheumatic heart disease in Koza, Ryukyu, was 10 times as high as Fuchu, Tokyo Metropolis, as expected. The discrepancy of types of streptococci in Ryukyu Islands is worth mentioning, and further investigation is continued by us.
  • 錬石 昇太郎, 福島 和子, LEONARD A. SAGAN
    1973 年 1 巻 1 号 p. 39-50
    発行日: 1973/08/20
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    ヘモグロビン濃度ならびにヘマトクリット値が季節的に変動するという観察は一般には容認されていないが, 日本で行なわれた研究はこれを肯定している。
    ここに報告するものは, 広島市および長崎市における成人健康調査対象者について1958-63年の5年間に収集した29,482件の血液標本からヘモグロビン濃度ならびにヘマトクリット値の月別平均値を求め解析した成績である。これらの値が季節的に変動することが明確に認められた。ヘモグービン濃度もヘマトクリット値も, 気温および湿度に対して明らかな負の相関を示した。
    調査対象を性, 年齢および相対的体重値別に分類すると, 高年齢層は若年齢層に比べ, また, 肥満群は軽体重群に比べ, 季節的変動の幅が大きいことが認められた。季節的変動の幅は, 検査で高値を示す群では小さく, 低値を示す群では逆に大きいことが特徴的であった。その両極端は, 男子における40歳未満の軽体重群と40歳以上の肥満群とに認められた。
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