Japanese Journal of Tropical Medicine and Hygiene
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11 巻, 3-4 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 七條 明久, 三舟 求真人, 坂本 国昭, 山田 昭
    1983 年 11 巻 3-4 号 p. 217-224
    発行日: 1983/12/15
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    ビオチン・アベジン酵素抗体法 (BAP) 法によって, 迅速な狂犬病ウイルスの感染価の測定, 及び中和抗体測定が可能であることは, 先に報告した。今回, BAP法による中和抗体測定の検出感度を, 従来から用いられてきたマウスを使用する方法, 及び迅速螢光フォーカス形成抑制法 (RFFIT) による測定法とで比較した結果, BAP法は抗体検出感度の点で, 最もすぐれていることが判明した。次いで, この方法により多数の狂犬病ワクチン接種者の血中の中和抗体を測定した結果, 中和抗体価の推移を鋭敏に測定することが可能であった。BAP法は, このような結果に加えて, RFFITと異なり, 染色標本は非常に安定であり, 長期の保存に耐えること, 螢光顕微鏡を要せず, 通常の顕微鏡で観察可能なこと等, 多くの利点があり, 多数の検体処理を必要とする血清疫学的研究に有用な方法であると思われる。
  • 藤田 紘一郎, 田島 和雄, 月舘 説子, 小田 力, 黒川 憲次, LIGIA MONCADA, 上田 正勝, 森 章夫, 日沼 頼夫
    1983 年 11 巻 3-4 号 p. 225-233
    発行日: 1983/12/15
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    フィラリアの旧流行地, 長崎県・五島の2地区住民のフィラリア抗体価を調べた。フィラリア抗体価は, 血清をアニサキス抗原で吸収後, 犬フィラリア抗原による間接赤血球凝集反応で求めた。一方, 同一血清について, 成人T細胞白血病ウィルスに対する抗体価 (ATLA抗体価) を螢光抗体法で調べた。ATLA抗体陽性者群のフィラリア抗体価は, いずれの地区においても陰性者群の抗体価より有意に高く, この傾向は住民の各年齢層でみられた。また, 過去において確実にフィラリア仔虫を有していた人達のATLA抗体陽性率は, 同地区の住民より高く, 特に女性の場合は, はるかに高い陽性率を示した。以上の事実から, フィラリア感染は, ATLVのウイルス血症発現に何らかの意味で関与していることが推察される。
  • 小早川 隆敏, 川端 真人, 朝日 博子, 熊田 三由, 保阪 幸男
    1983 年 11 巻 3-4 号 p. 235-241
    発行日: 1983/12/15
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    Schistosoma japonicum, Schistosoma mansoni, Echinococcus multilocularis, Nematospiroides dubius, Trichinella spiralis, Trichuris muris, Hymenolepsis nana, Toxoplasma gondii, Plasmodium vinckei, Plasmodium berghei, Pla5modium chabaudiを実験的に感染させたマウス血清中に於ける補体依存性の抗胸腺細胞自己抗体の出現を, C57BL/6Jマウスの胸腺細胞を標的としたtrypan blue dye exclusion testで検索した。上記寄生虫感染は, 種及び感染個体により胸腺細胞殺滅効果に差はみられたが, 何れの種も同自己抗体の産生を誘導した。力価は, Schistosoma japonicum, Schistosoma mansoni感染血清に於いて, 最高16倍であった。反応至適温度は, 概して4℃であったが, 37℃の方がより強い殺滅効果を示す例もあり, 冷式型のみでなく, 温式型の抗体も関与するものと考えられる。なお同自己抗体は, マウス胸腺細胞で完全に吸収される。
  • 吉村 裕之, 近藤 力王至, 赤尾 信明, 大西 義博, 井門 慎介, 宮脇 晴夫
    1983 年 11 巻 3-4 号 p. 243-248
    発行日: 1983/12/15
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    患者は34歳男, 測量技師, 現在長野県伊那市に居住。主訴 : 左上臀部腫瘤。1974年1月より約1年間, アフリカギニア共和国の山岳河川流域で測量工事に従事。1977年5月より約半年間, ガボン共和国にてギニアと同様の環境で生活従業した。この間, 飛来昆虫による刺咬に甚しく悩まされた。帰国後の1979年, 左上臀部に腫瘤を認め次第に増大した。1982年3月16日皮下腫瘤摘出術施行。腫瘤の大きさ30×20×20mm。割面灰白色結合織性。病理組織所見 : 多数の好酸球と円形細胞の浸潤を伴う限局性線維性肉芽組織内に線虫の断面像を7~10箇認める。虫体横断像で大きさ360×220μm (平均), 角皮の厚さは5~7μmで2層からなり, 外層にほぼ40μmの間隔で突起 (transverse ridges) が配列している。内層には前記の各突起間に2本の線条 (striae) が認められる。体腔内に2箇の子宮腔の断面があり, 腔内には発育卵細胞とミクロフィラリアが多数認められる。以上の形態学的所見をNeafie (1972), Beaver and Orihel (1965) らの記載と照合してO.volvulusの雌成虫と同定した。本例は日本人のO.v.感染例として最初の報告例である。
  • 井関 基弘, 林 薫, SIMON M. GATIKA, T. K. ARAP SIONGOK
    1983 年 11 巻 3-4 号 p. 249-256
    発行日: 1983/12/15
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    1980年5月から11月の間にケニアのNaivasha, Kitui, Machakos, Taveta及びNandi Hillsの住民2,114人から採取した糞便についてホルマリン・エーテル法により腸管寄生原虫のシストの検査を行い感染状況を調査した。
    その結果, 赤痢アメーバは31.8%, 大腸アメーバは52.3%と極めて高率を示し, その他は小形アメーバ4.8%, ヨードアメーバ8.7%, ランブル鞭毛虫8.3%, メニール鞭毛虫10.4%であった。腸トリコモナス及びEntamoeba hartmanniも少数例検出されたが, 大腸バランチジウムやイソスポーラなどは検出されなかった。総陽性率 (陽性総数/検査総数) は75.1%にも及び, 飲料水, 食物など生活環境が糞便によって高度に汚染されていることが示唆された。陽性率に男女間の有意差は認められなかった。年齢別にみると, 4歳以下の乳幼児でもすでにかなり高率に感染がみられるが, ランブル鞭毛虫を除き, 特に30歳代から40歳代で最高値を示した。ランブル鞭毛虫は若年齢層ほど高い陽性率を示し, 4歳以下が最高であった。
    本調査は日本国際協力事業団 (JICA) の医療協力「ケニア伝染病研究対策プロジェクト」の一環として行われたものであり, その撲滅対策を, 戦後日本で実施され成果をあげた寄生虫予防対策事業との関連において考察した。
  • 山浦 常, 白坂 龍曠, 松本 克彦, 和田 芳武, 小林 和代, 岡本 雅子
    1983 年 11 巻 3-4 号 p. 257-260
    発行日: 1983/12/15
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    The stool examinations on long-term visiters to developing countries were carried out to investigate the epidemiology of parasitosis imported to Japan. The subjects of the investigation were 716 Japan Overseas Cooperation Volunteers who returned in 1981-1982. The infection rates of parasitosis among the volunteers before departure (Yamaura et al., 1981) were compared as controls of this survey. Formalin-ether sedimentation method, zinc sulfate centrifugation-flotation method and Harada & Mori's test-tube cultivation method were used for stool examination. Rizopoda was identified by Hydenhain's iron-hematoxylin staining.
    The results are summarized in Table 1 and Table 2 :
    1) The infection rates among returned volunteers (28.4% in 1981 and 23.2% in 1982) were much higher than the rate before departure (2.5%, 5/198) (Table 1). No relation between infection rate and sex of the volunteers was recognized.
    2) The highest infection rate was found for Giardia lamblia (12.6%, 90/716). Entamoeba histolytica was observed in 2.2 per cent (16/716). High infection rate of E. histolytica was observed among the volunteers returned from Ghana (14.7%, 5/34). More than two species of parasites were found in 20.7 per cent of positive cases (Table 2).
    3) The infection rates of volunteers returned from Bangradesh and from Nepal were 68.0 per cent and 56.1 per cent respectively.
    These two rates were found to be significantly higher than that from other 24 countries. The ratio of helminth infection to protozoa infection in African and Central-and South American countries was lower than that in Asian and Oceanian countries (Table 2).
  • 1983 年 11 巻 3-4 号 p. 261-275
    発行日: 1983/12/15
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
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