Japanese Journal of Tropical Medicine and Hygiene
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14 巻, 4 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 大杉 幸男, 前田 耕平, 吉城 豊子, 螺良 愛郎, 大山 昭夫
    1986 年 14 巻 4 号 p. 261-265
    発行日: 1986/12/15
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    DHFおよびDSS患者から分離された野生株を用い, 哺乳マウス脳に連続的に継代を行い, 継代毎に病理組織学的観察を行い, 症状および脳内ウイルス量と合わせて比較検討した。
    マウス継代歴のない野生株の脳内接種では死亡率は低く, しかも脳の病理組織学的変化も軽微であったが脳内ウイルス量は比較的高値を示した。継代数が増すにつれて死亡率も上昇し, 病理組織変化もその程度は増強し, 血管周囲腔や脳実質に及ぶ炎症性変化が観察された。特にDHF患者由来株では脳実質内に著明な膿瘍形成が認められた。
  • 嶋田 雅暁, 平田 瑞城, 佐藤 克之, EDITH WAMBAYI, JOHN H. OUMA, 青木 克己
    1986 年 14 巻 4 号 p. 267-272
    発行日: 1986/12/15
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    ビルハルツ住血吸虫症では, 感染の強度を表す指標として, 単位尿量中の排泄虫卵数が一般的に用いられている。しかし, 検査毎の虫卵数が異なるのは当然とはいえ, 同じ患者から得られた検体でも, 時にその日々の変動の大きさは無視できないことがある。我々は, 検査毎の虫卵数が出来るだけ一定で変動の少ない方法を見いだすため, この研究を行った。
    ケニア人小学生12名から, 5日間午前11時30分と午後12時30分の2回採尿した。するとどちらの採尿時間のものでも, その尿量と含まれる虫卵数との間には相関はなく, むしろ単位尿量中の虫卵数は, 尿量と逆相関していた。また, 先立つ排尿の時間を無視して午前11時30分に採尿したものと、その1時間後の午後12時30分に採尿したものの検体中の虫卵数を比較すると, 午後12時30分に採尿したものの方が日々の変動が少ないことが明らかになった。
    以上の結果から, 特にコホート研究においては, ビルハルツ住血吸虫症患者の感染の強度を尿中の排泄虫卵数で表す場合, 単位尿量中の排泄虫卵数よりも単位時間当たりの排泄数で表現することが望ましいと考えられる。
  • GAD O. UFOMADU, EKA I. BRAIDE, GORDIAN O. C. EKEJINDU, 多田 功, 高橋 弘, OHN ...
    1986 年 14 巻 4 号 p. 273-283
    発行日: 1986/12/15
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    ジョス高原 (ギニア型サバンナ) 8村の130名から得た回旋糸状虫仔虫の酸性フォスファターゼ活性を検討した。その結果, 13型のパターンが見出されたが, このうち5型は西アフリカの熱帯雨林およびサバンナですでに報告されたものと一致した。8型はアンフィッドとファスミッドに強い活性を示した。高地の仔虫と北方スーダン型サバンナに接する地域の仔虫との間にはパターンに差が見出された。
    今回の研究によりジョス高地の回旋糸状虫仔虫は酸性フォスファターゼ活性において変異が大きく, 他の地域 (イエメン, グアテマラ, ベネズエラおよび西アフリカの熱帯雨林, サバンナ地帯) に比べて著明な差があることが判明した。
  • 高岡 宏行
    1986 年 14 巻 4 号 p. 285-293
    発行日: 1986/12/15
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    ブユでは, 同一雌成虫について複数の栄養生殖環を観察した報告はほとんどない。今回, 室内で羽化, 交尾したウマブユの雌成虫を人から吸血させ, 異なる温度条件下 (12-28℃) で個別に飼い産卵までの期間を調べた。産卵した個体では再吸血を試み, 同様の観察を行った。その結果, 初回吸血ブユ87個体のうち85個体が産卵した。このうち20個体が2回目の吸血・産卵を, さらに, このうち2個体が3回目の吸血・産卵をした。吸血から産卵までの期間の長さは, 各温度条件内でも変動がみられたが, 温度が低くなる程, 長くなった (1.9日-5.5日)。再吸血は産卵直後から1日以内でみられた。2回目および3回目の吸血から産卵までの平均の長さは, それぞれ初回の1.17および1.4倍であった。1個体当たりの平均成熟卵数は226.5 (初回), 179 (2回目) および107.7 (3回目) と減少した。1回の交尾で, 2回目以降に産下された卵からも幼虫が孵化した。2回目の孵化率は初回とほぼ同率であったが, 3回目は低かった。
  • 塩飽 邦憲, 高橋 弘, BERTRAM E. B. NWOKE, CELESTINE O. E. ONWULIRI, GAD O. UFO ...
    1986 年 14 巻 4 号 p. 295-302
    発行日: 1986/12/15
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    ナイジェリア, ジョス高地の3農村の住民を対象として1985年2-3月の期間に, 糞便検査によって腸管寄生蠕虫類・原虫類およびマンソン住血吸虫の検出を, 血液厚層塗抹検査により糸状虫ミクロフィラリアの検出を行った。その結果, 糞便検査を行った668名の住民のうち, 66.8%に何らかの腸管寄生虫およびマンソン住血吸虫の寄生を認め, 寄生率は鉤虫40.3%, 回虫9.1%, 糞線虫0.3%, 鞭虫0.4%, マンソン住血吸虫18.9%, Taenia sp. 0.1%, 小形条虫0.1%, 赤痢アメーバ6.7%, 大腸アメーバ31.4%, ヨードアメーバ11.1%, 小形アメーバ2.5%, メニール鞭毛虫1.6%, ランブル鞭毛虫1.5%であった。6名の児童について糞便の濾紙培養検査を行い, 全てアメリカ鉤虫の感染幼虫と同定した。鉤虫の感染率は, 調査した3村でSop 53.9%, Jebu 33.3%, Maigemu 6.0%と有意な差が認められた (p<0.001) 。334名の住民について血液厚層塗抹検査を行い, 5.2%の住民よりロア糸状虫ミクロフィラリアを, 13.4%より常在糸状虫ミクロフィラリアを検出した。ジョス高地におけるこれらの寄生虫疾患の分布を規定する要因について, 若干の考察を行った。
  • 海老沢 功, 小原 博, 谷 荘吉
    1986 年 14 巻 4 号 p. 303-306
    発行日: 1986/12/15
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    マラリア患者における脈拍の性状に関しては, 一般的な記載は教科書に記してあるが, 不整脈の出現については殆ど記載がない。我々は三日熱と熱帯熱マラリアの混合感染例が入院時心房粗動を起こし, マラリアの治療で自然に治癒した例を経験したので報告する。患者は31歳の従来健康な男性でフィリピンから帰国後, 2日目から発熱したが15病日に入院した。体温は39.1℃, 末梢血液には白血球200につき三日熱マラリア原虫の栄養体と生殖母体が342個, 熱帯熱マラリア原虫の生殖母体が1個あり, 血液1μl当たり合計13,510のマラリア原虫がいた。しかし熱帯熱マラリア原虫のring formは全く検出されなかった。患者は胸内苦悶を訴えたので, 心電図をとったところ心房粗動が認められた (図1) 。
    直ちにクロロキン療法を開始すると36時間後には平熱になった。またその頃には胸内苦悶は消失しており, 心電図も正常に戻っていた。
    三日熱マラリアは一般に良性で死亡例が少ないので, 病理所見の記載は殆ど熱帯熱マラリアに限られている。熱帯熱マラリアでは, 分裂体の感染した赤血球が脳, 腎糸球体, 腹膜や腸絨毛の毛細血管内に停滞して, 血流障害を起こすことは良く知られている。我々は心筋内毛細血管が, 分裂体感染赤血球で充満しているのを経験した。三日熱マラリアでも原虫が成熟して分裂体になると, 膨大した赤血球は変形能を失い, かつ毛細管の狭い所は通過出来なくなることは容易に推定できる。三日熱マラリアの発熱発作時における頭痛, 筋肉痛等は, これで説明出来よう。三日熱マラリアにおける脳症の報告例もある。従って三日熱マラリアにおいて, 心筋内毛細血管が分裂体感染赤血球で充満し, 心筋の酸素欠乏を起こし, 心房細動を起こしたものと考えられる。
  • 1986 年 14 巻 4 号 p. 309-331
    発行日: 1986/12/15
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
  • 1986 年 14 巻 4 号 p. 318-338
    発行日: 1986/12/15
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
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