腹痛, 嘔吐, 下痢の5歳の男の子の検便で
Cryptosporidium spp. の oocyst を Sheather の庶糖浮遊法, およびModified Ziehl-Neelsen の染色法を用いて検出した。
患児はネフローゼ症候群で免疫抑制剤の服用を続けていたため, 免疫機能低下に基づく慢性のクリプトスポリジウム症を疑わしめたが, 下痢は約1週間でとまり, その後の免疫抑制剤のひき続きの服用にも拘らず, 下痢は再発せず, oocyst も検出されていない。
わが国では, ネコ, ニワトリ, 牛, モルモットから本原虫が見出されているが, ヒトからの検出は今回の症例が始めてである。
一方, 高知医大の中央検査部に各臨床科から検査依頼された112名の糞便の検査では本原虫は検出されなかったが, 患者の大半が大人であり, しかも下痢便でないので見出されなかったのは当然であろう。
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