バングラデシュおよび日本で分離した下痢便由来の大腸菌について, 腸管病原菌の頻度および薬剤感受性を比較検討した。腸管病原菌の頻度はバングラデシュの192株中30株 (15.6%), 日本の157株中9株 (5.7%) とその差は約3倍であった。薬剤感受性はアンピシリン (ABPC), ゲンタマイシン (GM), ミノマイシン (MINO), セファゾリン (CEZ), セフチゾキシム (CZX) の5薬剤について, それぞれの最小発育阻止濃度 (MIC) をもって比較した。 ABPCのMICでバングラデシュの株が日本の株よりもやや高値を示した他は, 両国の株間に感受性の差は殆どみられなかった。抗生剤の使用頻度・使用量および耐性菌の出現状況の関係, また両国における社会的・自然的環境と病原菌の分布などについて考察を加えた。
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