Japanese Journal of Tropical Medicine and Hygiene
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6 巻, 3-4 号
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  • 辻田 純三, 堀 清記
    1978 年 6 巻 3-4 号 p. 157-165
    発行日: 1978/12/15
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    沖縄に生れ育った成人男子7名, 及び本土に生れ育って沖縄へ移住してからの期間が3年以内の成人男子について, 7月に身体計測および30C, 湿度70%の室内に安静を保たせたときの口内温, 及び全身10ヵ所の皮膚温を測定し, その後で42Cの水に両下肢を温浴させ, 背部の局所発汗を濾紙法で測定することにより, 発汗反射の観察を行って次のような結果を得た。
    1.沖縄生育者は本土生育者より身長は低く, 体重は軽く, 四肢の囲径が小さく皮下脂肪厚が薄かった。これらの身体的特徴は一般に高温環境下に生活するヒトの身体的特徴と一致し, 高温環境下での体熱放散に有利な体型, 体格を有することが判った。
    2.沖縄生育者の皮膚温は本土生育者の皮膚温より高く, 乾性放熱能力が秀れており, また口内温と平均皮膚温の差が少ないことから, 身体の熱貫流率が高いものと推定される。沖縄生育者の秀れた乾性放熱能力が, 高温環境下での発汗の発現が遅くて発汗量が少量であるにもかかわらず, 体温上昇度がむしろ低い理由の一つと考えられる。
    3.沖縄生育者の発汗反射発現の潜時の平均値は6.1分で本土生育者の4.0分よりかなり長く, 従来報告されている熱帯佐民の発汗反射の特徴と一致した。沖縄生育者の発汗反射の発現時に起こる発汗速度の増加率は, 本土生育者のそれより低く体温の上昇に対する発汗の増加量が少ないことが示唆された。
    4.沖縄生育者の能働汗腺密度は, 測定されたすべての皮膚部位に於て本土生育者より高く, 発汗による放熱能力が秀れていることが推定された。
    5.沖縄生育者の高温環境下における体温調節能力が, 本土生育者で沖縄へ移住した者より秀れていることは, 生下時より高温環境に曝露される機会が多く, 長期間の高温馴化により獲得されたものと思われる。
  • 片峰 大助, T. K. ARAP SIONGOK, 川島 健治郎, 中島 康雄, 野島 尚武, 今井 淳一
    1978 年 6 巻 3-4 号 p. 167-180
    発行日: 1978/12/15
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    1974年にタベタ地区の3村落の住民に皮内反応と検便, 検尿による住血吸虫卵の検出を試み, 963名の結果について集計を行った。皮内反応の抗原としてはVBS adult S. japonicum antigen (1 : 10,000dilution) を用い, 糞便と尿の検体は集卵法にて検査した。虫卵陽性率はJipe 62.2%, Eldoro 68.0%, Kivalwa 69.6%であった。Jipeでは主にS. mansoni, KivalwaではS. haematobium Eldoroでは両種の浸淫が認められた。Eldoroでは男性より女性に虫卵陽性率が高かったが, JipeとKivalwaでは推計学的に虫卵陽性率の有意な性差は認められなかった。虫卵陽性率は小児では年齢と共に上昇し, 5歳と14歳の間で最高値に達し, 以後次第に減少した。皮内反応の陽性率は全体で76.4%で, 虫卵陽性率より高い。小児では虫卵陽性者の多数で, 皮内反応は弱いか或は全く反応を呈さなかった。
    皮内反応陽性率は年齢と共に増加し, 40歳以上の住民では95%に達した。Jipeでは女性より男性に皮反内応陽性率が高かったが, EldoroとKivalwaでは性差は認められなかった。虫卵陽性の者ではS. mansoni感染者とS. haematobium感染者の間に皮内反応の差は認められなかった。
    1975年にJipe, Kivalwa, Kuwahoma, Chalaの村落住民に検便と検尿を行った。KuwahomaではS. haematobiumの浸淫が認められた。Chalaでは住血吸虫の感染は稀であった。この限られた地域にそれぞれS. mansoni, S. haematobiumの感染が流行する村落, 両種の感染の流行する村落が存在することが確認された。これら両種の住血吸虫症の流行する地域の疫学的調査に於て, 皮内反応にVBS adult S. japonicum antigenを, 検便, 検尿に集卵法を用い得ることが明らかにされた。
  • 野島 尚武, 片峰 大助, 川島 健治郎, 中島 康雄, 今井 淳一, 坂本 信, 嶋田 雅暁, 宮原 道明
    1978 年 6 巻 3-4 号 p. 181-193
    発行日: 1978/12/15
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    ケニア国タベタ地区での淡水産貝類は以下の8属11種である。即ちBtomphalarta pfeifferi (Krauss), B.sudanica (Martens), Bulinus globosus (Morelet), B.tropicus (Krauss), B.forskalii (Ehrenberg), 以上5種は住血吸虫との関係種, Lymnea natalensis (Krauss), Ceratophallus natalensis (Krauss), Segmentorbis angustus (Jickeli), Gyraulus costulatus (Krauss), Bellamya unicolor (Olivier) Melanoides tuberculata (Müller) である。
    B.pfeifferiはLumi川と灌漑用溝に, B.sudanicaはJipe湖畔に, それぞれの多数の棲息をみたが, マンソン住血吸虫の自然感染はB.pfeifferiのみに見られた。B.globosusは灌漑用溝のみに多数棲息し, B.tropicusは灌漑用溝とJipe湖畔に, B.forskaliiは少数ながらあらゆる水系に見出された。ビルハルツ住血吸虫の自然感染はB.globosusのみに見出され, その貝の棲息数が多いと約10%の高い感染率が常時認められた。
    一方これらの実験感染では, B.pfeifferiには3隻のミラシジウムで, B.secdanicaには5隻のそれで100%感染が成立し, 両種ともマンソン住血吸虫の好適な中間宿主であることがわかった。
    B.globosusは1.5~8.5mmの若い貝は5隻のミラシジウムで100%感染が成立し, 11~12mmの成貝では20隻以上のミラシジウムが必要である。ビルハルツ住血吸虫の好適な中間宿主であることがわかった。
    以上からタベタ地区でのマンソン住血吸虫症, ビルハルツ住血吸虫症の媒介中間宿主として, 前者にはB.pfeifferiB.sudanicaが, 後者にはB.globosusが主な役割を演じていることが推測される。
  • 川島 健治郎, 片峰 大助, 坂本 信, 嶋田 雅暁, 野島 尚武, 宮原 道明
    1978 年 6 巻 3-4 号 p. 195-203
    発行日: 1978/12/15
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    この研究は, 1974年, 1975年および1976年の乾期 (9月-12月) にケニア南部のタベタ地区に於て行われた。マンソン住血吸虫の濃厚浸淫地であるJipe部落のJipe湖畔においてはPelomys sp.41個体, Arvicanthis sp.2個体, Dendromus sp.6個体, Thamnomys sp.5個体, Rattus rattus 1個体を採集した。このうち, Pelomys sp.18個体 (43.9%) に住血吸虫の自然感染を認めた。マンソン住血吸虫とビルハルツ住血吸虫の両種の浸淫地であるEldoro部落ではPelomys sp.4個体, Arvicanthissp.3個体, Mastomys sp.3個体を採集し, そのうちPelomys sp.1個体 (25.0%) に住血吸虫の自然感染を証明した。ビルハルツ住血吸虫の濃厚浸淫地であるKivalwa部落ではPelomys sp.1個体, Arvicanthis sp.10個体, Mastomys sp.7個体を採集したが, 住血吸虫の感染は認あられなかった。Pelomys sp.から得られた住血吸虫の成虫について, 雄では腸管が食道腺の直後において2分し, 虫体の前方から2/5ないしは2/6の位置において再融合するものが普通にみられた。精巣の数は5-7個であった。雌では単純な卵巣が体の前部に位置し, 子宮内に認められる虫卵の数は1個であった°また, その卵の形態は卵円形を呈し, 鈍角をなす卵殻端に近い側部に著しい棘を生ずる。その100個の計測値は長径143.2±12.19μ, 幅径57.7±6.58μであった。更に孵化させて得たミラシジウムをJipe湖中に多数生息するBiomphalaria sudanicaに実験的に感染させたところ, セルカリアまでの発育が認められた。これらの特徴をヒトから得たマンソン住血吸虫のそれと比較したところ, 多くの点で一致がみられた。従ってPelomys sp.から得られた住血吸虫をマンソン住血吸虫と同定した。Jipe部落にはマンソン住血吸虫による患者が多数みられ, この住血吸虫の病原保有宿主として, Pelomys属のネズミが, 疫学上, 重要な役割を演じているものと推測された。
  • Treatment with Ornidazole
    Raymond LASSERRE
    1978 年 6 巻 3-4 号 p. 205-210
    発行日: 1978/12/15
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
  • 1978 年 6 巻 3-4 号 p. 211-221
    発行日: 1978/12/15
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
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