東海社会学会年報
Online ISSN : 2435-5798
Print ISSN : 1883-9452
12 巻
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  • 長野県天龍村の事例から
    丸山 真央, 相川 陽一, 福島 万紀
    2020 年 12 巻 p. 46-58
    発行日: 2020年
    公開日: 2022/03/25
    ジャーナル フリー
    農山漁村の多くで託齢化と人口減少が進行する中で, 進学・就職・結婚等で他出した家族員が定期的に帰省して老親の生活をサポートする機能に注目が集まっている. 現状の地域社会研究や村落研究では,かかるサポートの存在を指摘するのにとどまっていて,サポートの有無を規定する背景要因は十分探索されていない. 本稿では, 全国有数の高い水準で高齢化が進行する山間地域で実施した調査の結果を用いて,過疎山村における他出家族員の「生活サポート帰省」の実態とその有無の規定要因を明らかにする. 他出家族員の生活サポート帰省がある世帯は4分の1程度であり,その有無に対しては,在村家族員(親)の性別,年齢,世帯構成,近所づきあいの程度,他出家族員(子)の居住地が影響していた. つまり,男性高齢者の単独世帯, 近所づきあいの少ない世帯, 1時間圏内に居住する他出家族員がいない世帯では,他出家族員の生活サポート帰省がない傾向がうかがえた.
  • 普通科職業学科の違いに注目して
    長谷川 誠
    2020 年 12 巻 p. 59-66
    発行日: 2020年
    公開日: 2022/03/25
    ジャーナル フリー
    本稿の目的は,高卒後の進学行動において大学と専門学校を分化する要因について,普通科,職業学科の違いに注目し,中学から高校進学後の成績階層の変化や,中等教育のキャリア教育に対する評価と職業体験が生徒の進学行動に与える影響について検討することである. 分析の結果,大学,専門学校を分化する要因には,中学成績の位置だけでなく,高校進学後の成績階層の変化や,学科特有のキャリア教育や職業体験学習の取組みに対する評価等も影響を与えていた. 普通科出身は,成績の高低に関わらず大学に進学しつつ,専門学校へは下降した者が進学する傾向がある一方で,職業学科出身は大学,専門学校のいずれにおいても成績が上昇した者が多かった. また,キャリア教育の面でみても,普通科では進路指導機能が働きづらい様子がみてとれた他,職業学科は就職意識を高めながら進学し,学校の先生の介入が影響している等,学科によって違いがみられたのである. そして最後に,こうした視点をもつことは,高卒後の進学行動,進路分 化に関する研究における分析視角が,経済的事由や中学時の成績等の基礎学力問題だけでは不十分であることを示唆していると論じている.
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