特殊教育学研究
Online ISSN : 2186-5132
Print ISSN : 0387-3374
ISSN-L : 0387-3374
17 巻, 4 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 上野 益雄
    原稿種別: 本文
    1980 年 17 巻 4 号 p. 1-11
    発行日: 1980/03/31
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    ろう教育方法史上、ろう教育における手話の位置づけについて、筆者は、「手話は、単に、口話法が開発される以前に用いられていたにすぎない」とは考えない。そこには、より積極的な意図があったであろうと考えた。そうならば、手話は、教育方法の中で何らかの重要な位置づけをもっていたにちがいないと推測した。本稿では、1853年の時点で、手話の位置づけをめぐって、いくつかの立場による相違を明らかにした。それらは、大きく分けて、3つに分れることが示唆された。(1)教育の初期段階において手話を用いるが、できるだけなくしていく。方法的手話に対しては反対である。(2)教育の初期段階のみでなく、手話は、ろう唖者にとって必要であり、文指導は、文法的、方法的手話を用いる。(3)自然的手話は、望ましいものではなく、もし使うなら、英語の語順に沿った手話を用いる。但し細かい点については、この中にちがいがみられる。
  • 保坂 真理
    原稿種別: 本文
    1980 年 17 巻 4 号 p. 12-21
    発行日: 1980/03/31
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    本研究は聴覚障害児に対する格助詞の習得を目ざした単文の指導プログラムを作成し、そのプログラムに従ってろう学校に在籍している聴覚障害児7名(小学部4年生)を実際に指導し、その結果からプログラムの良否を検討することを目的とした。指導プログラムは記号論理学の枠組と認知心理学的考察に基づいてデザインした。すなわち、格助詞の機能が明確に示せるのは可逆能動文であるとして、相互に交換可能な2つの名辞を含む文を指導材料とし、単に格助詞を単独に指導するのではなく、格助詞が変われば文の意味が変わるということを絵や実物を提示することによって理解させるという手続きをとった。指導前、指導直後、指導後3か月にテストを行い指導の良否を検討した結果、7名中3名に有意な(サイン検定、5%水準)改善があり、その効果は3か月後も持続していた。従って、本研究で用いた指導プログラムを有効であったと考えた。
  • 橋本 厚生
    原稿種別: 本文
    1980 年 17 巻 4 号 p. 22-33
    発行日: 1980/03/31
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    肢体不自由児を持つ家族と精神薄弱児を持つ家族の障害児出生によるストレスを、障害の診断時頃から小学部入学前後時頃までの間について、アンケートにより遡及的に調査した。ストレス、特に心理的ストレスと家族内部の相互行為によるストレスの大きさとその時間的推移パターンは、両親年令、社会的地位、経済的地位、障害程度の各階級間に相違を示した。社会的地位もしくは経済的地位の高い家族のストレスは初期に小さく、次第に増大していくパターンを示すことが比較的多く、この両属性が低い家族の初期のストレスは大きく、次第に減少してパターンを示すことが比較的多い。
  • 山田 欣徳
    原稿種別: 本文
    1980 年 17 巻 4 号 p. 34-43
    発行日: 1980/03/31
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    本研究は、米国における私立教育プログラムに依存している障害児のための「学費還付制度(tuition reimbursement system) 」を中心とした学費助成の実態と無償教育の在り方を、判例を通して明らかにすることを目的とした1970年代の10州にわたる21判例を取り上げ、各州毎に学費還付制度や学費還付制度に関する判例を概観し、学費の一部を還付する制度、親の学校選択に基づく無償教育要求、施設における教育(費)、一連のニューヨーク州の判例の展開について、新しい知見が得られた。大部分の判例は、無償教育を支持しており、特に公立学校で受け入れを拒否された貧困家庭の障害児にとって福音となった。しかし、親の「適切な」私立教育プログラム要求は、認容されなかった。今後「全障害児教育法」による大幅な財政改革に伴って、学費に関する判例は減少することが予想される。
  • 石川 清明, ニッ山 実
    原稿種別: 本文
    1980 年 17 巻 4 号 p. 44-50
    発行日: 1980/03/31
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    言語発達遅滞を伴った場面緘黙症の1症例(初診時8歳4ヵ月、女児)をとりあげ、その改善過程において母親ならびに治療者との対人関係にどのような変化がみられるかを明らかにし、治療上の示唆を得ようとした。再育児心理療法を実施し、改善過程から次の知見を得た。(1)滅黙症状の消失と治療的退行とは深い関連があるのではないかと考えられ、特に、治療者ならびに母親に対してambivalentな感情表出ができるような対人関係をとれることが重要な役割を果しているものと推測された。(2)緘黙症状の改善には、治療者との関係のみでなく家庭における母親との関係が変化することが重要であると考えられた。(3)治療場面は、心理的葛藤を克服するためのリハーサルの場になっていたと考えられた。(4)治療場面以外での緘黙状態は、限定された友人、学級担任、学級集団の順に消失した。(5)言語発達遅滞の改善が、緘黙症状の改善に先行してみられた。
  • 中野 善達, 斎藤 佐和
    原稿種別: 本文
    1980 年 17 巻 4 号 p. 51-62
    発行日: 1980/03/31
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
feedback
Top