特殊教育学研究
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17 巻, 2 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 北野 与一
    原稿種別: 本文
    1979 年 17 巻 2 号 p. 1-8
    発行日: 1979/10/15
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    この報告は、私立金沢盲唖院に関して、松村精一郎の生涯、彼が育まれた石川県の社会的教育的背景、彼の設立の動機、設立経過、閉院の理由、設立者の特質、課題などに若干の考察を行ない、これまでに発表されたいくつかの報告に補充を加えるものである。松村の書簡及び当院に関係する教育史的史料などの文献により考察した結果、(1)松村は天然痘とその余病により、聴覚・言語・運動障害をもっていた、このことが当院の特質であった、(2)彼は障害者に理解のある師に教えられ、協力を惜しまない親友をもっていた、(3)加賀藩に紹介された欧米の盲・聾教育が、松村の成長に間接的に影響していた、(4)中村正直に師事したことや、帰郷途中、京都で楽善会友に出会い、京都盲唖院を参観したことが、松村の設立の動機であった、(5)研究・調査に大阪、京都校を訪れた、(6)経済的変動やコレラの流行、県令の更迭、就学勧誘の努力の不足も閉院の要因であったなどの結論を得た。
  • 小山 充道
    原稿種別: 本文
    1979 年 17 巻 2 号 p. 9-18
    発行日: 1979/10/15
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    本研究は、準備電位の臨床的応用を目標とした基礎研究と位置づけられ、その第1段階として準備電位の準備性について健常成人を用いて検索したものである。実験手続きとしては、従来用いられてきた拇指による随意運動、すなわちスイッチ押し行動が用いられた。随意運動開始までの準備時間として、自由反応条件、0秒後反応条件、2秒後反応条件、4秒後反応条件が与えられた。0秒後反応条件は、周波数125c/sec、音圧約75Bd、持続時間約200msecの連続音を手がかりに受動的に反応することが求められ、2,4秒後反応条件では、運動の開始時は自己プログラミングスケジュールに従い、被験者の意志に委ねられたが運動行動は、頭の中で1から数え始め、"2,4"のところでスイッチを押すことを求められた。その結果、振幅については、自由条件、2秒条件、0秒および4秒条件の順に有意に増大し、緩電位変動の持続時間については、自由条件、0秒条件および2秒条件、4秒条件の順に有意に増大し、自由条件よりも4秒条件の準備電位が有意に大きいことから、自発的な心理的準備時間が長いと、それに対応して準備電位は増大し、つまり電位差が大となり、かつ準備電位の陰性方向への立上りが早くなるということは、準備電位は準備行動の生理学的反映であるとする仮説を支持しているものと解釈された。また準備電位の出現は、大脳賦活水準と賦活閾値に関係し、緩電位の基線変動水準が覚醒水準(arousal level)に対応し、賦活は筋電図発射までの陰性化の持続時間に、また努力(effort)は準備電位の振幅に対応していることが示唆された。本研究では加算回数が少ないことから、準備電位の各成分の生理学的意味づけについては討論されなかった。
  • 河内 清彦
    原稿種別: 本文
    1979 年 17 巻 2 号 p. 19-32
    発行日: 1979/10/15
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    視覚障害者(児)に対する態度構造を自己の意見と社会的望ましさの視点から解明するため特教学生、盲学校教師(関係群)一般学生、普通校教師(無関係群)に質問紙調査を実施した。これらの回答を因子分析した結果、両視点に共通の因子が9個求められた。これらを一般化された拒否、統合教育、特殊能力、依存的な自己中心性、相互作用についての当惑、期待される盲人像、知的能力、家庭生活、失明の影響と名づけた。さらに自己の意見からは「社会保障」の因子が抽出された。またこの次元(因子)の一部を測定する暫定尺度が構成された。最後に因子得点に基づいて各群を比較した結果、最初の3つの次元において関係群と無関係群に、また「相互作用についての当惑」で一般学生と盲学校教師に態度の相違がみられた。これらは視覚障害者(児)を同じ人間としてみるか否かにその原因があると推測されるが、知識だけでは視覚障害者(児)問題の解決にはならず社会との交流の重要性が指摘された。
  • 石川 清明, 谷 俊治
    原稿種別: 本文
    1979 年 17 巻 2 号 p. 33-41
    発行日: 1979/10/15
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    言語獲得期を海外で過ごしたことばに遅れをもつ子供の症例をとりあげ、海外生活経験が伝達行動の障害にどのような影響をおよぼしたのかを明らかにすることを目的とした。得られた主な臨床的知見は次のようであった。(1)乳幼児期から愛着行動の形成が不十分であったと考えられた。(2)渡航前に軽度の言語発達遅滞の存在が推測され、海外在住はそれらの問題を維持、促進させたと考えられた。(3)海外で集団適応に問題がみられた。(4)現地語をほとんど獲得しなかった。(5)海外での養育環境は、masked maternal deprivationの状態であったと考えられた。(6)母国語の発達遅滞は、2ヵ国語使用の環境よりも養育環境の影響を強く受けていたと考えられた。(7) 選択的緘黙症や食事の問題がみられ、その形成要因の1つに海外在住が関与していたと考えられた。(8)海外在住は、障害の早期発見、早期治療を遅らせた可能性のあることが指摘された。
  • 小柳 恭治, 志村 洋, 山県 浩, 永田 三郎
    原稿種別: 本文
    1979 年 17 巻 2 号 p. 42-54
    発行日: 1979/10/15
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
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