特殊教育学研究
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23 巻, 2 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 小畑 修一, 西川 俊, 高橋 秀知
    原稿種別: 本文
    1985 年 23 巻 2 号 p. 1-11
    発行日: 1985/09/30
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    テレビ画面への字幕挿入に際しての文字量や表示時間は、番組の性格や見る人によって異なるものと言われる。現在、聴覚障害者のための文字多重放送では、画面や電子技術上の制約もあって台詞は要約で提示されている。しかし、台詞に忠実な字幕挿入は原作の意図を一層忠実に反映するばかりでなく、口形の動きとの対応が出来ることや字幕挿入の自動化が目ざせること等から極めて重要である。このため、先きに開発した簡便で文字量の調整出来る字幕挿入装置の改良と、各種番組の文字量や表示時間の分析に基づく字幕挿入の数量的範囲の検討とによって、台詞に忠実に字幕が挿入されたビデオを作成して効果を測定することにした。その結果、文字量は画面当り16字2行(32字)で、秒当り4.8字以下を目安とすることが示唆されたので、NHKドラマ「おしん」に字幕を忠実に挿入したビデオを作成し、聾学校専攻科生に提示した所、要約挿入を上まわる成果を得た。
  • 加藤 哲文, 小林 重雄, 山中 貴子
    原稿種別: 本文
    1985 年 23 巻 2 号 p. 12-20
    発行日: 1985/09/30
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    選択性緘黙反応の治療においては、その治療効果が他の場面(例えば学校等)へ般化しないことが問題となる。そこで本研究では、家庭から学校場面への般化を促進する手続きとして刺激フェイディング法を用いた。また対象児に言語遅滞が存在していることから、家庭場面で社会的発語スキル(特に学校場面で必要とされる項目)訓練を行い、発語促進をはかった。フェイディングステップは、場面・人・時間要因から作成された不安階層表に基づいて20ステップとした。最終ステップでは、教室場面で担任教師と発語が可能となることであった。24セッション後、この最終ステップは可能となった。また治療終了1ヵ月後のフォローアップ調査では、訓練項目の発語が維持されているばかりではなく、その他の発語反応や、クラスメートとの発語による相互作用も可能となってきた。
  • 田辺 正友
    原稿種別: 本文
    1985 年 23 巻 2 号 p. 21-28
    発行日: 1985/09/30
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    低出生体重児の発達の予後の問題を、周産期障害との関連性に視点をあてて検討することを目的としてなされた。976名の対象児は、生下時体重(2,500g以上か以下か)および他の周産期障害の合併の有無によって4群に分類され、乳児期および3歳時における種々の行動発達の測定値と精神遅滞・言語発達遅滞を示したものの比率について、比較検討された。その結果、(1)低出生体重児は成熟児に比して、定頸・始歩・始語の獲得時期に遅れる傾向がみられ、とくに、他の周産期障害を合併する低出生体重児群においては、その傾向が目立った。(2)3歳時点での発達検査結果の比較では、低出生体重に他の周産期障害を合併する群は成熟児で他の周産期障害を合併しない群に比して、発達指標が有意に低く、精神遅滞・言語発達遅滞を示したものが高率であった。(3)低出生体重と仮死あるいは黄疽との組合せにおいて、乳幼児期の発達の予後に問題を残す場合が多く、この傾向は、他の周産期障害の重複が多くなるほど著しいことが明らかにされた。これらの結果から、低出生体重児の発達の予後は、単に体重が小さくて出生したという因子のみによるのではなく、周産期の種々の障害の合併が大きく関与していることが示唆された。
  • 福永 善秀
    原稿種別: 本文
    1985 年 23 巻 2 号 p. 29-40
    発行日: 1985/09/30
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    本研究では、言語運用に著しい障害を持つろう児にパースペクティブ課題を課し、その解決様式が前操作的水準から操作的水準への転換過程を発達的に検討し、ろう児の認知能力の特性を明らかにすることを試みた。本実験では、課題解決に必要な解決様式から8つのパースペクティブ課題を操作的に知覚的課題条件と概念的課題条件に区別した。その結果、知覚的課題条件では、前操作期にある児童でも課題解決が可能であり、ろう児は聴児と同等のパーフォーマンスを示した。また、概念的課題条件では、10歳以後に70%以上の達成度に達した。ろう児は、聴児と同時期に操作的水準に達することが明らかになった。しかし、前操作期のろう児、特に8歳児は同年の聴児に著しく劣る傾向が明らかになった。また、前操作期のろう児は、同時期にある聴児と異なるストラテジィーをとることが明らかになった。
  • 河原 国男
    原稿種別: 本文
    1985 年 23 巻 2 号 p. 41-48
    発行日: 1985/09/30
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    本稿では、江戸後期ヨーロッパ系医学書として『解体新書』『病学通論』『察病亀鑑』『扶氏経験遺訓』に着目し、それらの書を通じてどのような運動障害認識が示されているかを検討した。その結果、次のことが明らかになった。人体の生理・解剖学上の観点から「脊髄麻痺」という運動障害が捉えられていた。それは一般化されたかたちで把握され、「局所麻痺」の一種として、さらに上位の概念としては「麻痺病」に疾病分類されていた。このように記述された脊髄麻痺の運動障害は「交感」性の問題としてその原因が理解されていた。そして、この障害に対する処置としては長い時間をかけて自然治癒する可能性をもった「人身」という人間観に支えられ、その精神・身体の両側面を育成、発揮させるような指導法が示されていた。人体について「物に質す」という方法に基づいて、このような指導論を展開させた点に、上記ヨーロッパ系医学書がはたした注目すべき歴史的意義があった。
  • 阿部 治
    原稿種別: 本文
    1985 年 23 巻 2 号 p. 49-60
    発行日: 1985/09/30
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    教育研究データベースを材料に、コンピュータを使用した統計学的手法を用いて、欧米における障害児・者教育研究の動向を明らかにした。アメリカで作成されている教育研究データベースの1つであり、750誌以上の教育関係の雑誌を対象としているCIJE(Current Index to Journals of Education)に収録されている1969〜1983年(15年間)までの全論文(293,600件)の内、特定の障害用語をキーワードにもつ論文(16,747件)を検索し、分析材料とした。キーワードの頻度分析の結果、研究領域の経年変化を知ることができた。また15年間の年度のクラスター分析の結果、研究傾向は69-75、76-79、80-83年の3期間に明確に区分された。キーワードの期間別クラスター分析の結果、前2期の研究内容は、類似していたが第3期の研究内容は前2期とはかなり異なっていることがわかった。
  • 今野 義孝
    原稿種別: 本文
    1985 年 23 巻 2 号 p. 61-66
    発行日: 1985/09/30
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
  • 瀬尾 政雄
    原稿種別: 本文
    1985 年 23 巻 2 号 p. 67-72
    発行日: 1985/09/30
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
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